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作戦実行中


1日目を無事に終了した後は特にこれと言った急な変化はなく淡々と日々をこなしていった。


急な変化はないもののレイフ先生に引っ付いていないといけないので授業の後や放課後に雑用をしたりとなるべく傍にいる。そうするとレイフ先生信者の女子の視線が痛い。覚悟はしてたけど。それにプラスして報告も兼ねてエルの助手もしているのでレイフ先生信者以外の好奇の視線も痛い。更に更に、最近では王子や護衛兼友人の2人も私に興味を持ったようで話すようになってしまい、あからさまにいろんな女性に睨まれる。視線が突き刺さるというのはこういう事だろう。逆ハー狙いの乙女ゲームの主人公は神経図太いなんてもんじゃなく極太でなければやっていけないだろう。 レイフ先生信者だけで心折れそうなのに…。


そんなこんなではあるけれど幸運なことに視線以外は平和だ。

今日も好奇の視線に晒されながらレイフ先生の元に向かう。手にはエルに頼まれた先生に渡す資料を携えのんびり廊下を歩いていると向かいからレイフ先生が歩いて来た。


「おや、早いですねー。丁度今日は予定変更で来なくて大丈夫と伝えに行こうと思っていたところだったんですが。無駄足にさせてしまいましたね」


「いえ、エルランド様にこちらの資料を届ける様にお願いされたので気にしないで下さい」


先生は資料を手渡すとその場で素早く確認するとにっこり微笑んで頭をポンポンと撫でた。


「エル君に承知しましたと伝えておいた下さい。お疲れ様でした、ルーナさん」


ヒラヒラと手を振って去っていくレイフ先生を見送って先生はイケメンだけど癒し系だなー、なんてのんきなことを考えたのも一瞬。


「そこのあなた。ちょっとお時間宜しいかしら?」


聞いたことのない声にビックリして振り返ると金髪碧眼の強気そうな子が不機嫌そうにこちらを睨んでいた。

この子悪役令嬢っぽい。この平民風情が!とか言われそうっと意識を別次元に飛ばして見つめていると眉根を寄せてさらに睨まれた。


「ちょっと聞こえてますかしら?ここではなんですから近くの庭園でお話ししたいことがありますの。こちらへ」


返事をする前に歩き出してしまった悪役令嬢Aを仕方なく追う。本当は放っておいて良いんじゃないかと思うのだけれど、情報収集できるかもと言う打算で付いて行くことにした。




庭園に着くと他の令嬢に囲まれるかと思いきやそんなことは無く。この子は悪役令嬢Aではないのか?と思いながら促された庭園のベンチに座る。


「単刀直入に言いますが、レイフ先生との距離が近すぎでなくて?先ほどの先生から頭を撫でられるとかうらやま…っんん!自身の行動を見直した方が宜しくてよ?」


羨ましいっていいかけたよね?っというかそう見える様にしてるから作戦的に成功なんだけど…。


(わたくし)は善意でこの様に正面から申し上げておりますが、先生信者の中には過激な方もいるのです。この私が直々に忠告してあげてるのですから感謝しなさい」


「ありがとうございます?」


「なぜ疑問形なのかしら?もしかして、馬鹿なの?状況を客観的に見れていないのかしら?先生に限らずあなたはかなり色々な方々から目をつけられているわよ?お判り?」


頬に手をあてて小首をかしげる姿は可愛らしいですが、残念な子を見る様に見ないで頂きたい。しかし、この状況をある程度作り出しているとは言えないので悔しいけれど知らん顔しておく。


「そうなんですね。気付きませんでした。でも皆さん新参者の私に優しいだけですし、今まで特に虐められてませんし大丈夫ですよ!私、結構逃げ足早いですし」


「…平民上がりとは聞いていたけど鈍いのはそのせいなのかしら…?」


とても不思議そうに無意識に毒を吐かないで欲しい。意外に傷つく小心者なんですけど。


「兎に角!私の忠告を聞いて高位貴族の殿方とレイフ先生から手を引きなさい!」


「なるべく努力しますが、私ごときが高位貴族の方をどうこうできると思います?レイフ先生の手伝いも校長先生から頼まれてるので…いじめられそうなので話しませんなんて言えませんよ?」


「確かに…」


「それなら、皆様の愛好家の方々に逆に頑張って頂いた方が宜しいかと…」


「そ、そうよね…いいわ!これだけハッキリさせたら今日は返してあげる。あなたはレイフ先生の事が好きなの?」


この悪役令嬢Aは遠回しに聞くという事がないので心労は溜まるが裏を読まなくていいので悪くない。貴族としては心配だけど。

さて、どう答えたものか…好きだと言ってしまうのもありだけど、事件解決後が面倒になりそうだ。たぶん、姿をくらますだろうから関係ないかもしれないけど。少ししか話してないけれど、この悪役令嬢Aは嫌いではない。完全なる嘘をつくと後味悪いし、こんな短期間で好きって言うのも真実味薄いかな?


うーんっと考えている間彼女は真剣にこちらを見ている。


「先生は素敵な人なので好意は確かにあります。でも、今はまだ好きと断言できるほど先生の事を知らないのです。これは答えになっていますでしょうか?」


恥ずかしそうに少し俯いてモジモジ答える私って結構演技派なのでは?っと自画自賛している所に悪役令嬢Aの素晴らしいカウンター。


「曖昧ね。答えとしては不十分だわ。でも、正直に答えたっぽいから今日はここまでにしてあげる!」


「はぁ…」


「あと、私の周りの穏健派の方々にはあなたに手を出さないように言っておいてあげるわ。何かあれば私が話を付けに来るからそのつもりでいて頂戴」


「ご配慮痛み入ります?」


「だから、なぜ感謝が全て疑問形なのよ!もういいわ、私も暇ではないの。では、御機嫌よう」


嵐の様な人だ。嵐でもヴァレリアと違って悪い気はしない。あれはツンデレと言っていいのだろうか?


とりあえず、情報源ができたから良しとしよう。

気分よく歩いていると大事なことを忘れていたことに気づいた。


「名前聞いてない!あの子、結局誰?!」



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