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留学生3


留学生が入ってから1ヶ月ほど経った。


呪いの件に関しては進展なしと師匠がイラついている。時々王宮に連れて行かれて呪い発見器にされているが、あの後学校でも王宮でも呪いを見てはいない。一体何が目的なのか?

その問題とは別で、最近流行り病があるようでいつになく欠席者が多い。学園全体で流行っているらしく、そのせいで師匠が更にイライラしている。貴族子息を預かる学校の対応で精神を削っている様だ。お疲れ様です、師匠。


私とエルは健康状態も精神状態も良好で師匠が仕事に追われている間、大人しく研究室で(主にエルが)課題をこなしている。

そして、最近助手の私は重要な仕事を任されるようになった。それは…食事の手配。っと言ってもエルに渡された手紙兼注文を食堂に咥えて届けると言うなんとも簡単な仕事なのだけど…

初回はエルが事情を説明しに付いて来てくれたが、2回目以降は私のみで行くと会計窓口の人達がなんとも持て囃してくれるのでちょっと気分がいい。まぁ、魔獣が健気にお手伝いしているから甘やかしてくれるんだろうけど。食堂のちょっとしたアイドルになった気分。




──っと話がずれたが、私は今その重要な仕事を終えエルの研究室に変えるところだったのだが、何やら神妙な顔でブツブツ呟きながら歩くエルのクラスへ来た留学生を見つけ、こっそり後を付けている。何故かって?気になったからと言うのとちょっと暇だったから。だって本が好きだとは言え、ずっと読んでると集中力が切れる、そして今は授業中なので彼女がいるのはおかしいし、様子も変だ。彼女の名前は…確かカトリナさんだったはず。



カトリナさんは中庭に着くと奥の方まで進み令嬢らしからぬ行動でドカッとベンチに腰を下ろした。まだ考え事をしている様なのでベンチの後ろの茂みに隠れて様子を見る。


「あー…ダメだわ。何かが違う…。私の知っているシナリオと類似しているけどここは呪いの仕業じゃなかった?でも浄化かけてもどうにもならなかったのよね…」


はぁっとため息をついて空を見上げた彼女は頭の中を整理するかのように独り言をつぶやいている。っというか彼女シナリオとか言わなかった?


「何かがゲームと違う?私がシナリオを変えるまでもなく変わっている?でも1の王子と主人公はくっついてないから2は始まってるってことで良いのかな?あーーー!もうわかんない!」


もしかして彼女、転生者?前世で友人に勧められその系統の小説にてハマった記憶がある。テンプレは確か悪役令嬢転生で、死亡フラグを折ります!ざまぁ的な。


これはエルに報告案件だなっと判断し、回れ右をした時しっぽが茂みに引っ掛かってそれを揺らした。


「何⁈」


まず…くないな。今の私は子狐姿だし、寝てたフリでもしてごまかそう。


恐る恐るこちらを覗いたカトリナさんは私を見て安心したのかホッと息を吐いた。


「あなたはエルランド様の狐さんね。お昼寝してたの?起こしちゃってごめんね」


今起きましたとばかりに伸びをしてその場を去る。彼女が見えなくなるまでゆっくり歩き、視界から外れたら駆け足でエルの元へ戻った。




「おかえり。遅かったな」


注文した軽食が届けられてそれを摘まんでいたエルに先ほどの出来事を話す。


「…分かったような?分からないような?知らない単語がいくつか出てきたが、それは一体何語でどんな意味なんだ?」


「え?日本語ですけ…ど…」


やらかした!っと思った時にはすでに遅し…笑顔のエルがこちらを見ている…既視感…


「説明してくれますよね?」


なぜだろう…コテンと首をかしげる様は美しいのに寒気が…


「はい!喜んで!!」


実は部分的に前世の記憶があること、ゲームとシナリオは本と中の物語りの様なもので前世ではこの国の話が出回ってたが、だたすべてが同じではない事。私は本の登場人物の一部しか知らないが、カトリナさんはもっと詳しく知っていて、たぶん前世は同じ国の出身だろうと言う事を説明した。


「全く…パールは一体いつまで私を驚かせれば気が済むんだ…。これで他に言うべきことは無いだろうな?」


「今、思いつく限りありません!」


敬礼するかのようにビシッと言ったがジト目で見られてしまう。こればっかりははっきりないと言えない。ある日突然思い出すことがあるかもしれないし…


「でも、不思議な話だな。君たちは別世界で生きた。そして、この世界の未来を知っている。そもそも時制が成り立っていなくないか?君たちは死んで過去に戻ったことになるのか?いや、世界からして違うから時間の拘束もないのか?でも…」


「エル!戻ってきてください!今はそれを考えるより呪いをどうにかする方が効率的では?」


「うん?ああ。そう、だな。ただどうやって彼女からその情報を引き出すか…」


「もうここは私が転生者であることをばらすのが早くないですか?」


「もし、彼女が直接出ないとは言え呪術者とつながりがあれば危なくないか?」


「それは無さそうですが、最悪この子狐の体は隠すなりすればいいかなっと。本体ではありませんし」


「しかし、呪術が霊体の状態に干渉できるかもしれない。私は…パールを危険にさらしたくはない」


不機嫌そうに眉根を寄せたエルに根負けしそうになる。心配してくれるのは嬉しい。でも、シナリオを把握できればエルや師匠、他のみんなの被害を最小限にできる。私だってエルが危険かもしれないのに放っておくことはできない。


「ではどうします?他にいい方法はないと思いますよ?若しくは時間と労力が必要になり効率的ではありません」


グーッと更に眉根が寄って不機嫌さが増すが、ここは引けない。お互いをジッと見つめ、少し経った頃エルが折れた。


「…分かった。ただし、師匠にも協力してもらって少し相手に圧力を掛けさせてもらう。師匠にも事情を話さなければいけなくなるが、そこは折れてくれ」


別に一人で確かめる必要もなかったので同意する。



その後、至急呪いに関して報告したいことがあると師匠に連絡すると一刻も置かずに師匠が研究室にやって来てくれ、事情を説明するとパッパッと作戦を立てくれた。難航してた調査に進展がみられて少し機嫌が良さげだった。


蛇足だが、師弟はやっぱり感覚が似ているのか異世界転生の時制について語りだしそうだったのを再度私が止めたのは言うまでもない。



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