留学生2
次の授業は地理。留学生がいると言う事で各国の基本情報のおさらいから始まった。
この大陸には、ヴィグ国を含め4か国あり、北のモーディグ国、西のティスナド、東のヴィグ、南のリークリング。それぞれ崇める神がおり、その神の特性がその国の特徴となったようだ。
「このクラスは地理ですが、今日は簡単に神話の話もしておきましょう。皆さんも祭典などの舞台や語り手から1度は聞いたことがあるはずです」
地理の先生はそう言うとその神話を語り始めた。
ーー昔々この世界の4人の神が現れました。
1人は逞しい武の神、1人は大らかな魔法の女神、
1人は聡明な知の神、そして1人は美しい恵の女神。
世界の片隅にある大陸の国々を気に入った彼らは1人1つ国を決めその国に加護を与えることにしました。
武の神が選んだのは北の国モーディグ。
武の神の加護により人々は素晴らしい身体能力を得ました。
魔法の女神は西の国ティスナドに。
彼女の加護のおかげで人々は他の国にはまねできないほどの魔力を得ました。
知の神は東のヴィグに決めました。
彼の加護を受けた国はどこよりも豊富な知識と発想を手に入れました。
美しい恵みの女神は南の国リークリング。
女神の加護を受けたその国はどこよりも豊かな大地の恵みを授かりました。
神々はその後中央に山を作りそこから各国を見守ることにしました。
神々は去る前に人々の長に告げました。
大きな力は変化をもたらし人々に発展をは授ける。
しかし、利を得ようと存外に欲すれば聖の山より裁きが下り神の加護を失うだろう。
逆に手を取り合えば互いの恩恵を受け発展し続けるだろうと。
人々は神々に感謝し神殿を立て毎年感謝をささげ続けるのでした。
「…という訳で、4か国ともお互いに支えあい今日まで発展してきました。歴史上、1度仲違があった時には中央の山より暗雲が立ち込め各国を覆い災害をもたらしたと伝わっています。おっと今日はここまでの様ですね。」
少し残念そうに先生がそう告げると地理の授業は終了した。
次はから2時間は魔法、魔道具の授業なのでエルは免除されている。サッサと片付けて王子達に挨拶したエルの後を追い研究室に行く。
「今日の授業、興味深かったですね」
部屋に入って何やら用意をしているエルに話しかける。
「聞いたことがなければそうだろう」
「でも、本当に天罰みたいなことあったんですかね?」
「ああ、昔モーディグがリークリングを属国にしようとしたことが発端らしい。当初4か国の王たちで話し合いが持たれたが、形だけで最終的には実力行使に出ようとした。モーディグからリークリングに行くには中央の山は聖地だから突っ切れない。だから、ヴィグかティスナドを通るしかない。でも、両国とも通行の許可を出さなかった。当たり前だろ?リークリングは所謂この大陸の食糧庫。扉を閉められたら困るのはその国だ。嫌気がさしてリークリングはリークリングで鎖国をしようとした。しかし、当時のモーディグ王はこの大陸の統一が更なる発展をもたらすと信じていたらしい。強固な姿勢を崩さず、軍をヴィグに進めてあと3日も経たずに国境に到着して開戦になると言われていた時異変は起きた。中央の山より白き龍が空に昇り暗雲が四方の空を覆い尽くした。雷雨がその時より3日続き、国境の橋は全て流されどの国も他国との交流ができなくなった。畏怖を抱いた王たちはそれぞれの国の聖なる山の神殿に赴き祈りをささげて1週間。空はうそのように晴れたらしい。嘘か本当か、暗雲が立ち込めていた間は魔力が弱かったなんて話もある」
「た、大変だったんですね…」
「ああ。でも想像しただけでカオスだろ?神様だって呆れるのも分かる。共存した方がいかに効率がいいか言うまでもない。まぁ、昔からモーディグは身体強化が得意なだけあって脳筋なところがあるからな…」
え?じゃ、クラスメイトになったアランも脳筋気質なのだろうか…
「人がみなそうとは限らないけどな。傾向的に多いと言うだけだ」
考えを読んだのか的確な回答が返ってきた。
「そうですよね。他の国はどうなんです?」
エルの話によるとこの国は理屈っぽい、ティスナドは逆に大雑把、リークリングはマイペース。これを聞いて思ったのは、エルはがっつりこの国の気質だなと言う事。
「国の気質などの本はここにはないが、得意な魔法についてならこの本を読むと良い」
そう言ってどこからか1冊の厚目の本を取り出したエルはその本を私の目の前に置くと作業を始めるようで奥の机に座った。
その本には各国の得意な魔法とその特徴が書かれていた。
モーディグは身体強化、ティスナドは元素系全般、ヴィグは付与、リークリングは植物系らしい。私の興味にしっかり当てはまったせいか夢中で読み進めた。
その日の研究室はいつにないほど静かだった。




