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春の祭事9

あの後予定通りに師匠の元へ向かうと既にフェルさんも合流しており、近くの1室へ入るとお互いの状況報告から始まった。


「王子たちの様子も元に戻り、会場内の靄もパールが確認した所、すべて消えている様です」

「ついでですが、こちらに向かう際も要所要所で見てみましたが靄はありませんでした」

「そう。何とかうまく言った様ね」

「どうやって不自然に見えないように浄化したんです?」


他のみんなは分かっている様だが私はさっぱり。あんな短時間でどうやったのだろう?


「簡単よ。あの演舞予定にはないものだったけど無理やり突っ込んで曲に合わせって使った魔法の中に浄化を混ぜたのよ。この建物内の魔法制限をその時間だけ解除して。フェルの助力のおかげで色々と素早く対応できたわ」

「私も会場の方の手配ができましたら、演舞が始まり人の注意がそちらに向いている間にいろんな場所で浄化魔法を使いましたから建物内は現時点で呪がなしの状態にもどっているはずです」


なんと…皆さん有能ですね…。神殿に勤めているだけあってフェルさんは光魔法が使えるらしく会場となっているこの館を歩き回って浄化していたらしい。


「っという訳で、呪の元を探しましょう!任せたわよ、パール!」

「え…そんな探索機能持ち合わせてませんけど…?!」

「大丈夫だ。たぶん範囲は絞れる。王族控室辺りが怪しい。そうですね、師匠?」


「ええ。まぁ、時間をかけて広範囲から狙ってきたのならどうしようもないけど。運よくこの学校にはパールが居て、ぼーっとすると魔力の流れを見る癖があるこの子が学校の変化に今まで気づかないわけない。今まで言わなかったってことは今日変化があったとみて間違いないわね。あの3人に強くかかるには呪の傍にそれなりの時間いる必要がある。と言うことは会場前に待機していた控室辺りが濃厚でしょうね」


なるほど。っていうかなんかサラッとぼーっとしてるとか何とか言われたような?確かに上の空になるとつい魔力の流れ見てますが!なんでそれを師匠が知ってるのか…

何とも言えない心境の私を置いて話はどんどん進んでいく。


「っという訳で、場所を粗方絞って行けば発生源辺りにしか呪がないから見つけやすいって訳。警備の方には話を通してあるから行きましょう。あ、そうそうエルは精霊のメガネかけておいてね。表面上探すのはエルで、パールは1人にできないから付いて来た体にする予定だから。ま、パールが聖女様か聖獣様にでもなりたければ別だけど」

「力の限り遠慮させていただきます!」

「それがいいですね。今のパールに何らかの能力があると知れたらいらない虫が湧いて出るでしょう」

「おまけに今回私が頑張って裏工作したのも突かれれば面倒なことになりますし」


何となく想像したけれど面倒くさい未来しか見えない。みんなもそうだったのか一瞬げんなりした顔になる。






部屋から出ると早速エルがメガネを掛けて王族の控室へ向かう。

師匠が根回ししてあったおかげで途中の警備も難なく通過できた。控室近くに着くと1部屋ずつ開け、部屋中を確認する。呪いの広がる速度が未知の為細かい場所まで隈なくチェックする。


王族の控室も入ることができたが、とても豪華だった。品のあるインテリアの広いリビングエリアと2階の寝室部分。急な体調不良でも静養できるようになっているらしい。至れり尽くせり。ここに住みたいと思えるような作りだった。

しかし、この部屋にも探し物はなく。その後もつき辺りまで探したが何も見つからず。今度は会場近くを探索する為引き返すことにした。




会場へ戻る途中に先ほど調べた王家の控室前を通り過ぎようとしたときに違和感を感じた。少し通り過ぎた後と立ち止まり扉の辺りを見るとほんのわずかに黒い靄が見えた。


振り返るとみんなこちらを真剣な表情で見ていた。


「あったのね?」

「たぶんそうだと思います。まだほんのりしか見えてませんが入り口の花瓶の辺りから…」


それを聞いた3人は頷きあって入り口近くの兵を遠ざけ花瓶を調査する。私はと言うと令嬢が近づくのも可笑しいと言う事で遠巻きに見ている。


花を取り出していたエルが何かを見つけたようにピクッと反応した後止まり、触れないように風魔法で目的の物を取り出して床の上に置いた。


念の為フェルさんが浄化の魔法をもう1度かけた後恐る恐る近づくと黒いユリがあった。しかしそれだけではなく3本の髪の様なものがユリを束ねる様に巻き付けられ、更に付属していた細長い紙には何か文字が書かれているようだった。


師匠が跪いて触れないように文字を確認すると深いため息をついた後前髪をクシャリと握って呟いた。


「全く面倒なことになった…もう十分面倒だと言うのに…クソ!」


いつもおどけている師匠からは考えられないほど憤っている。エルも私と同じ心境なのか心配そうに師匠を見た。


「で、何が書いてあったんですか?」

「はぁ…『祝福の花束が破壊されることを望む』だそうだ」


私だけでなくエルもフェルさんもびっくりしたように師匠を見つめる。

祝福の花と言えば王子の婚約者選定の最終段階で使われる魔道具と以前聞いた。魔道具と言っても神様から賜ったとされ、国宝…そんな大層なものの破壊を望むなんてなんの目的だろうか。


固まる私を差し置いて師匠はこの辺り一帯の立ち入り禁止を要請。フェルさんは呪術具回収の手配をしていた。

後で聞いた話では、呪術具の完全浄化は神殿でのみできる特別な方法があるらしい。魔法での浄化はあくまで一時的のもの。呪術とは本当に厄介なものの様だ。




楽しいはずの春祭りは予想外の騒動の中何とか表面上は平穏に済んだのだった。



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