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春の祭事8


「お集りのみな様!本日のサプライズ企画を催したいと思います!ステージにご注目下さい!」


王子との挨拶が終わるや否や男性神官と女性神官数名が現れて舞が披露された。


曲と踊りと共に魔法を使いなんとも幻想的な舞台だった。曲が終わり神官たちが礼をすると割れんばかりの拍手。私も例にもれず力の限り拍手をする。


神官たちの退場を見送るとぱっとエルの方を向く。


「素晴らしかったですね!思わず見入ってしまいました」

「ああ。あの舞をこの場で見れたのは幸運だな」


にこやかにそう言ったエルに続いて隣から別の声が賛同した。


「全く。通常は神殿内の奉納の舞だから私たちは別としてみなが見れるものではないから今年はみんな運がいいね」


先ほどとは見違えるほど爽やかな王子がそこにいた。後ろの2人も機嫌良さそうにステージの方を見ている。驚いて靄を確かめると会場から完全に消えていた。


エルの袖を引っ張ってこちらに注意を向けたエルに無言で頷く。どことなくホッとしたエルとアイコンタクトで師匠の元へ行こうとするとなぜか王子に引き留められた。


「先ほどはなぜかリサ嬢に大変失礼な対応をしてしまったので詫びたいのだが、彼女の元に行くまで付いて来てもらえないだろうか?私達だけでは永遠にたどり着ける気がしないからね」


苦笑しながらそう言った王子にエルは迷いなく頷いた。

貴族社会とは面倒だなっと思いつつ虫除けとばかりに話しながらリサさんの元へ向かう。学友で公爵家のエルを押しのけて話してくる輩は居なく、先行していたフリクセルが身内の男性といないで休憩に近くのバルコニーに出たそうだと聞いてきたので近くのバルコニーへ行く。そこには入り口に背を向けて空を見ているリサさんがいた。フリクセルとトビアスは窓の近くで待機。私とエルは男女が2人っきりは良くないとのことでバルコニーに出た入り口近くで立ち止まる。


「リサ嬢」

「!!!え?王子?」

「先ほどは失礼な態度を皆の前でとってしまい大変申し訳ない。名誉挽回になるかは分からないが、もしよければ1曲私と踊っていただけないだろうか?」


リサさんの目がこれでもかという程見開かれ、その後頬が赤らむ。


「そ、そんなお気になさらず…気にかけて頂けただけで光栄にございます」

「私のわがままと思って踊ってもらえると嬉しい。ダメかな?」


困ったように微笑み手を差し出した王子は正に王子様!惚れてるリサさんはこれでもかって程真っ赤になったが、俯きがちになりながら頷き、そろそろと王子のその手に自分の物を重ねた。


「では、私とリサ嬢はこれにて失礼する。エル、ルー嬢、君たちの助力感謝する」


その後リサさんの方を見て優しく笑う王子を直視したリサさんは先ほどから顔の赤みが引く暇なく…私はこっそりリサさんが幸せで倒れないことを祈った。

それにしても2人共良い感じなのでは?


「おい。顔が令嬢らしからぬニヤニヤ顔になっているぞ」

「いや、青春だなっと思いまして。それに素敵な人にお姫様のように扱ってもらうのは女性の夢ですよ?ニヤニヤしまうのは不可抗力です!」

「パールもそうなのか?」

「もちろん!お姫様のように扱われて嫌なはずないじゃないですか!」


バルコニーからでも人の隙間から見える幸せそうに踊る2人を見て微笑ましくあると同時にちょっとうらやましいなっと思っているのは内緒。相思相愛って良いよね。


そう思って2人を見ていると手を取られたので師匠のところに戻るのかとエルの方を見ると手の甲にキスが落ちる。


「では、お姫様。私にあなたをエスコートする栄誉を」


エルがいたずらが成功したように少し意地悪に微笑む。

確かに憧れるとは言ったけど!不意打ちなんて!


「エルーーーー!」

「ははは!お姫様、そのように叫んではなりません!ははは!」



恥ずかしさのあまり少しの間抗議して、その間エルは楽しそうに笑っていた。


ねぇエル。お姫様扱いして嫌な気がしないのは好意のある人からだけだよ。

抗議をしつつもそのやり取りでさえ楽しいと思ってしまう私は末期かな。


この心地いい関係を壊さない為にたった今気付いてしまった自分の気持ちを隠せ通せるか心配になった私を励ますように春の風が吹いたのだった。



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