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春の祭事7


呪術?なんか物騒だな…。


「まさか…禁忌ですよ?誰が…」


エルがにわかに信じ難いと疑問の声を上げる。


しかし師匠もフェルさんも困惑しながらも同じ考えのようだ。


「そうなんだけど…パールの話とエルのメガネで見えないと言う点を踏まえて考えるとそうとしか思えないのよ。勘違いならそれでいいんだけど」


「そうですね。呪術は魔法と違い少々厄介ですから外れて欲しいものですが」


「…皆さん分かっている様なので申し上げにくいのですが…呪術と魔法ってなにがちがうんですか?」


このまま私だけ分からないまま話が進みそうなので申し訳なく思いつつもそろそろっと手を上げる。


エルの説明によると呪術は人の負の感情を魔力に乗せて媒体に仕込む。そして、仕込んでしまえば媒体が見つかり浄化がされるまで対象に呪いが付きまとう。術者は媒体から離れても問題ないらしく見つけるのは困難。光魔法の浄化で対応できるのが救いというところらしい。


「だからと言って術者に害がないという訳ではありませんよ。進行は魔法に比べて遅いですし、媒体の呪術除去を浄化と言っていますが実際浄化するわけではなく呪術を解く。解けば術者に跳ね返りその呪術の度合いにより術者に厄災が応じます。相手の死を望めば払われた場合自分も死ぬ可能性を考慮しなければなりません」

「問題は通常ある程度進んでからでないと呪術と発覚しない所よね。呪術が見えるなんて聞いたことないし。でも他に嫌な感じのする魔法なんて思い浮かばないし」

「かといってパール様の目は確かなのでしょう?」


そういえばフェルさんは私の能力知らないのに普通に話してるのはなぜ?っという視線を向けてしまった私に気づいたのかにっこり笑ってこちらを見る。


「職業柄、察するのは得意なんです。エルランド様の精霊のメガネ以上の能力をお持ちと言う認識で間違いありませんか?」


こくんと頷くと笑みを深めたフェルさんが「もっと信用して頂けたら他の秘密も教えてくださいね」と言った。なぜまだ秘密があることを知っているのだろうか…諜報員コワイ…。


「とりあえず呪術と仮定して狙われている対象者を探し出しましょう。できれば媒体も見つけたいけれど今日は無理かもしれないわね。人が多すぎるし探し方も分からなわけだし…」

「師匠、それでは対象者もむずかしいのでは?」

「対象者はその黒い靄が集まる場所でいいんじゃないかしら。発生源も同じ原理で良いと思うけど辿れるかが問題よね」

「そうですか。とりあえず動いて見てから臨機応変にやるしかなさそうですね」

「浄化は教会所属の私に任せてください」


しっかり頷きあってから何事もなかったかのように会場へ戻る。フェルさんは別行動になったのは何かやることがあるのだろう。両側をエスコートされ会場に入る。


先ほどの部屋よりも靄が濃い。時々立ち止まり周りを見るが今のところ靄が集まっている人は見受けられない。しかし、会場奥、貴族の中でも身分の高い人が集まるエリアにさしかかるとあからさまに黒い色が濃くなる。嫌な予感しかしない。どうか面倒な人が対象でありませんように!


進むにつれて濃くなる靄に胃がキリキリ痛みだす。そして靄の集まる先を見つけてあまりの胃痛に蹲りたくなった。…知らずのうちにフラグを立てていたとは…靄の集まる先は面倒も面倒な…攻略対象達。いつもは朗らかな雰囲気の3人が何となくだけれども機嫌の悪そうな顔をしている。心の中で「げー…」っと呟いてしまった私は悪くないと思う。この会場で1番目立つともいえるこの人たちをどうやって浄化しろと?


周りの挨拶を引き受けていた師匠とエルは引き攣る私の顔を見て優雅に、されど素早く手近なバルコニーに退散した。


「それで?」

「王子も護衛の方々3人とも素敵な方ですね。思わず凝視してしまいました」(訳:対象は王子、トビアス、フリクセルの3人です)


エルの問いに誰に聞かれてもいいように対象者を報告する。


「そうか。ではエルと共に挨拶してくると良い。同じクラスの学友としてルーを紹介してあげなさい」(訳:こっちの対応が終わるまで3人の監視を頼んだ)

「承知しました」


師匠と別れエルと共に3人の元に戻ると先ほどよりも爵位の低いエリアで色々な方々につかまっていた。その中にはリサさんもいてこれから正に挨拶をするというところだ。身内の男性が挨拶をし、それに続いて声をかけたリサさんへの王子の対応は非常に冷ややかだった。他の2人は護衛だろうから後ろに立っているだけだが、表情が硬い。3人の違和感を特に感じているであろうリサさんはそれでも毅然に振舞い王子の御前を辞す。周りも思うところはあるのだろうが祝いの場で口にするようなものはいない。


重苦しい雰囲気に耐えかねてエルを引っ張り気味に輪の中へ連れて行く。こちらに気づいた貴族たちが波が引くように高位のエルの為に道を開ける。


「ウルリク王子ご挨拶が遅くなってすみません。こちらは今夜のパートナーの友人のルーです。今年も王家と我が国が春の咲き乱れる花のように栄えることをお祈り申し上げます」

「ああ。ありがとう」


やっぱりいつもの王子と違うと違和感を感じつつ私も続く。


「お初にお目にかかります。ヴィグ国の素晴らしき祭典に参加でき身に余る光栄と存じます。貴国が春の暖かな日差しのように穏やかな1年であるようお祈り申し上げます」


「ありがとう。貴殿も楽しんで行ってくれるとうれしい」


さてこれからどうするかと思っていると会場にアナウンスが響き渡った。



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