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春の祭事2


「執務室にて男性方がお待ちです。用意ができたら来るようにとのことです」


公爵家のメイドらしき人がドアを開けたビアンカにそう告げる。

丁度こちらも準備が済んでしたのでそのままそのメイドに付いて執務室に向かう。


「お嬢様とビアンカ様をお連れしました」


ドアが開けられるまでの間緊張で気分が悪くなるかと思った。ビアンカは綺麗と言ってくれたけど本当に似合っているのだろうか。少なくともかわいいと思ってくれるだろうかと。


師匠の返事と共にドアが開けられると正装の師匠とエルが目に入る。


イケメンの正装って眩しいのね…っと固まってしまった私は変じゃない!

普段降ろされている髪は後ろにしっかりと撫でつけられ、煌びやかながらも品のある服はこれでもかという程2人を引き立てていた。


「おーい。パール、大丈夫?」


クスクス笑う師匠はもう色気ふりまき過ぎです…うん?でも少々違和感…

そんな師匠をジッと見るといつもあるはずのものがなくなっていた。


「師匠…髪どうしたんですか?」

「ああ。邪魔だしいい機会だし切ったの。似合うでしょ?」


そういえば前にただ放置してるだけだとか言ってたっけ。


「そうですね。とっても似合ってます」

「ふふふ。ありがとう。じゃ、これは褒めてくれたお礼にあなたにあげるわ」


師匠は立ち上がって私の所に来ると編み込まれた髪に自身の胸ポケットに飾っていた花を挿した。


「これは?」

「春の祭事では1番感謝したい相手に自身の魔力で色付けしたこのソフィラを送るのが習わしだ。…君には色々手伝ってもらっているから、私のも送ろう」


いつの間にか近くに来ていたエルも私の髪に挿してくれた。

イケメン2人の視界の暴力に耐えながら、しかしとても嬉しくてにっこり微笑む。


「ありがとうございます。私もお二人に渡したいんですが、どうしたらいいでしょう?」

「だめよ、パール。言ったでしょ。≪1番感謝したい人に≫って。あなたが渡せるのは1人だけよ」


マジですか…ここまでの事を考えるとやっぱりあの人かな…なんて考えている間に手の上にそフィラの花が置かれていた。前世のかすみ草みたいな薄紅色の花に魔力を通すと白へと色を変えた。



期待を込めてみている2人には悪いけど、やっぱり1番感謝をしたいのは…

くるっと後ろを向いてビックリしているその人にグッと花を突き出す。


「いつもきれいにしてくれて、いろいろお世話をしてくれてありがとうございます。今まで話せなかったから…とても感謝しています。ありがとうございます、ビアンカさん」


ビアンカはそれこそ初めはビックリしていたけれど嬉しそうに花を受け取ってくれた。


「まさかの展開ね…」「…ある意味都合がいいかと」


後ろで男2人ブツブツ何か聞こえていたがこれでいいのだ。

2人には今までお礼も言えてたからね。今度機会があればヴォルフリートさんにもきちんとお礼を言わなくてわ。




そんなことをしている間に馬車の準備ができたと言われ、馬車に乗り込む。

てっきり転移で行くのかと思いきや、こういう行事は形が大事とのことでガタゴトと馬車に揺られて学校の会場へ向かう。


「ところで、パールの事をなんて呼ぼうかしら?パールでもいいんでしょうけど、ありふれた名前でないからちょっと避けときたいわよね?」


4人でうーんと頭を捻る。本当はビアンカは一緒の馬車には乗れないらしいけど女性1人を男性だけの馬車に乗せるのはあまり外聞が良くないらしい。なので4人でこの短時間で偽名を考える。


「あまりかけ離れた名前ではパール様が反応できませんよね?」

「そうだな。近いけど遠くないって感じが良いか」

「何かいい案ないかしら?」


師匠は若干投げやりな気もするけれど…

パール…ルーパ?パパ…ルル・・ルー?


「ルーなんてのはどうでしょう?安易かもしれませんが、間違ってパールって言っても誤魔化せそうですし。私も反応できそうです」


「本人がいいならいいんじゃない?響きもかわいいし。お忍びにしてあるから本名はなくていいし無難ね。あ、お忍び旅行の令嬢ってことにしてあるから聞かれても家名はいわなくていいから」


え?うまくかわせる技教えてもらってないよ?マナーは基礎のみ取得。どうしろと?

顔に出ていたのかビアンカが助けてくれる。


作戦?が決まりしばらくすると学園に着いた。

にしてもこの学校は広すぎる。この入り口見たことない。

しばらく車窓を眺めていると馬車が止まった。


師匠、そしてエルが出たので私の番だ。

転ばないように注意して降りようとすると目の前に手が見えた。

両側でエスコートの態勢の師匠とエル。固まる私に後ろからビアンカがこっそり「2人の御手をお取りください」っと助言してくれたおかげで何とか不自然さを回避できた。


御者とビアンカに見送られながら会場へ向かう。


『エル、師匠。こ、これはいつまで続くのでしょうか?恥ずかしいのですが…』


念話で苦情を言いつつも顔はしっかり前を見ている。


『今日はほぼこの状態だな。私か師匠のどちらかが常に一緒にいる予定だ』

『あ、さっき言い忘れたけど私の事師匠って読んじゃだめよ。今日はミルド様でよろしく。エルもエルランド様で呼びなさい。さもないと、後が怖いわよ。ま、大人しくニコニコ笑っているのが今日のあなたの仕事ね』


いよいよ中に入る。

どうか、どうか無事に、何事もなく終わりますように!!!!


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