神殿にて3
フェリックスさんの一目惚れ宣言により只今混乱中のパールです。
(⁈⁈⁈⁈⁈はい⁈え⁈今なんて?ひとめぼれ…前世のお米?いやいやいや!現実に戻ってこい、私!普通の容姿の私にイケメンがなぜ⁈⁈)
鏡で見ることのできた私自身の姿はいたって平均。どこに一目惚れの要素があろうか…他の綺麗な人なら周りにいっぱいいるだろうに…人の趣味は色々だし、たまたまフェリックスさんの範囲に入った?それともここの雰囲気で美化された? いや待て、もしかして魅了という呪術でも使えるのだろうか?
大混乱のエルと私を放ってフェリックスさんは再度私の前に来て跪く。
「という訳で、パールさん。私はあなたに一目惚れをしてしまいました。体に戻った暁には私の婚約者、行く行くは妻になってもらえませんか?」
「え、あの、その…いつになるか分かりませんし…えっと…」
脳内はパニック!目は泳ぐし、言いたいことも出てこない。でも冷静な1部分が物語の一幕みたいと他人事のような感想を浮かべている。
「いえ、そんなに待つことのないよう誠心誠意取り組みます。正直、色々他にもやらなければならないことがあるので、片手間になってしまうのは申し訳ないのですが…。でも、こう見えて色々な権力持ってるんですよ?」
可愛くコテンっと首をかしげて言うには内容が伴ってないような?
「確かにこの人はいろんな権力は持っている」
「あ…」
エルは跪いているフェリックスさんからメガネを奪うと自分の目元に持って行った。先ほどからエルの態度が何となく厳しいのは気のせいではないだろう。 なんせ過保護だ。
「フェリックス。君は私に了承を得ると言ったな?それ…」
「いえ、この場合言葉を間違えましたね。寧ろ宣戦布告の方が正しいでしょうか?」
「な!?」
言い終わる前に訂正されて困惑気味のエルと楽しそうなフェリックスさん…神殿にいるはずなのにカオスだわ…。それにしても、宣戦布告とは物騒な。過保護な兄VS婚約申込者ってところか…カオスだわ…。
わたしが彼方の世界に意識を飛ばしている間も言い合いを続けていたらしい。っというよりまだ続いている…どうやって止めようか…。
「そういう偏屈なところミルに似てきたんじゃないですか?」
「それは困りますね。師匠程ねじ曲がっていないと自負していますが。フェリックスも同類だと認識していますよ」
「え?フェリックスさんはエルだけでなく師匠ともお知り合いなんですか?」
「従弟です」
なるほど。何となく見たことあると思ったらどことなく師匠に似ている。エルがしてくれた説明によると師匠のお父さんは双子で2人共父親に似たから兄弟に間違われるらしい。師匠と時々顔を合わすのでエルもフェリックスさんを知ったらしい。それにしても配色が真逆のイケメン2人か…並んだところが見てみたい。
言い合いに終わりが見えないと悟ったのか、エルのそろそろ帰ろうと言う言葉を合図に子ぎつねパールに戻りエルに抱き上げられる。
「フェリックス、今日は時間を作ってくれてありがとう」
「では、お手数をお掛けしますがよろしくお願いします、フェリックスさん」
「フェルで」
「え?」
「エルランド様だけ愛称で呼ぶなんて妬けちゃいます。私もフェルと呼んでいただけますか?」
綺麗な顔が目の前に!何よりなんとモテ技術の高い事か!慣れない口説き文句にドギマギしてしまう私とは大違い。
「え…でもお偉いさんですよね…?恐れ多いというか…」
「エルランド様だってお偉いさんですよ?寧ろ私なんかよりも。ダメですか?」
少し悲しそうに眉根を下げるその様子に大人な男性なのにかわいく見えるとか…凄いですね…。今世で経験なく、前世でもモテなかった私とのこの技術の差…完敗です。
「わかりました。でも、年上なのでフェルさんと呼ばせていただきます」
「今回はそれで妥協しましょう」
なんか、うまーく手の上で転がされた感が半端ない。
フェルさんの手がこちらに伸びてきたが私に届く前にエルがくるりと方向転換して歩き出す。
「エルランド様器の小さい男は嫌われますよ?」
「初対面の女性に軽々しく触ろうとする男性よりはマシでは?」
2人共笑顔なのに周りの空気が冷たく感じる。
「お、お腹空きましたね!ビアンカ達が待っているので急ぎましょう!」
食い意地張っていると思われようが、この空気から逃げられるのであればお安いもんだ。
そんな私を2人して苦笑いで見られたのは些細な事としておこう。
私だってもっとスマートにできたらとは思いましたよ!
なんか物凄く疲れた…。帰ったらビアンカにお風呂お願いしよう。




