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真相2

まさかこんなところであのお嬢様が登場するとは…。いい加減うんざりしてしまうのは仕方ないだろう。まさかこんな大事をやらかしてくれるとは…。


いや、私以上にうんざりしている人が居たわ…いや、若干殺気を放っている?


「全く。私に不都合を吹っ掛けるだけに飽き足らず、こんな大事を起こしてくれるとは…」


「まぁまぁ。エル落ち着きなさい。気持ちはよーく分かるけど」


師匠も疲労が相まって笑顔が黒い…。

このままでは2人で暗殺計画でも始めそうな勢いだ…。


「あ、あの!依頼者がの父親ということは分かりましたがなぜこんなことを?」


「あら、案外鈍いのね。もちろんエルの隣にいるにあたりあなたが邪魔だったからあの子が親に頼んだのよ。ボフミルは娘に激甘なのは周知の事実だし、公爵家との繋がりは何としてでも欲しかったのね。娘の望むものと一致していたのもあるし、あなたが高く売れると分かっていたから話に乗ったのよ。あなたを売るツテもあったようだしね」


そういうと師匠はすっと立ち上がり机から1枚の書類をエルに渡した。

その紙を読んだエルは厳しい顔になり、読み終わったその紙を私の前に置いてくれた。


なになに…報告書の一部かな?細かい文字がびっしり詰まっている。


あの屋敷にいた男はここら辺で名の知れた商会のトップのようでエルの家やアレクサンドラ様達の家、そして今回の主犯のアファーモ家とも取引があったようだ。


今回の事件とは別にアファーモ家が用意した施設で裏取引していた罪もあるらしい。売上の何割かをあの家に収めていたようだ。そして奇妙なことに私を襲った密猟者が利用していた裏ルートの施設がそこらしい。


なるほど、私を売るにも困らない秘密のルートを自分で確保していたからこそ今回のことに踏み切れたわけか。



「はぁ…全くなんて親子だ」


エルは嫌悪感を隠しもせず言い放つ。


「ま、権力志向が過ぎたのよ。いい知らせとしてはあそこの家の長男は病気でもなんでもなくて父親に賛同できずに意見した為に軟禁されてた事かしら。母親もある意味常識人だったようで裏取引のされ始めたあたりから実家に帰っていたみたい。だから家としての爵位の剥奪はたぶん免れるでしょうね。彼の器量の審査後になるけど最悪降格で済むと思うわ。母親の実家はまだご両親がご存命だから彼らが後ろ盾になってくれるでしょう。爵位がなくなると領地の権限とか色々絡んでくるからこの線が妥当ね」


噂に聞いたヴァレリアの兄は軟禁されていたのか。前エルから聞いた話だとかなり常識人の様だったし師匠の言い方からすれば彼らは大丈夫だろう。今回絡んでいな彼らが被害を受けるのはちょっと心苦しい。実害ゼロとまでは行かないにしても少しはマシだろう。




「で、その実行犯2人はどうするつもりで?」


「商会はとりあえず洗い出しが済むまで閉鎖。男たちは監禁。全て終わってから処遇決まるわ。ヴァレリア嬢とアファーモ伯爵も洗い出しが終わるまで貴族牢にて軟禁、その後平民として地方の役人の下働きになってもらおうかと思っているのよねー。あの男ずる賢いから平民として放り出しても何かやらかしそうじゃない?だから見張りの下できっちり真っ当に働いてもらう予定。公爵にもそう伝える予定だけどこれでいい?また詳しく決まったら知らせるけれど」


「異論ありません」


「それと、ヴァレリア嬢は本日をもって学校を辞めてもらうからあなたの心労も少しは減るんじゃないかしら」


エルは明らかにホッとした様だ。


全てがやっと終わり、用意されたお茶を飲みながらエルと師匠は警備用の魔道具の改良について話始め、雰囲気がいつもの和やかなものに変わった。



そんな和やかな雰囲気を楽しめたのは束の間。外が何やら騒がしい。そして騒音は近づいて来る。耳を澄ますと、女の声と数名の男の声。扉の外で警護しているであろう男の静止の声が聞こえ、エルと師匠が立ち上がり、警戒しつつドアに近づいて行く。


次の瞬間ドーンと形容できそうな勢いで扉が開いた所に慌てた様子の見知った顔が。


「エルランド様!こちらにいらっしゃいましたか!」



豪快に開かれた扉からお嬢様とは思えぬスピードでヴァレリアが入ってきてエルに縋りつく。


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