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解決へ2


「まずまずだな」


そう言ってエルはいたずらっ子ぽく笑う。これはエルなりのよくできました、だ。

嬉しくてにっこり笑うとエルはプイっと違う方向を向いてしまった。エルが案外照れ屋なのを知ったのは最近の事。



こういう場面で魔法を発動する瞬間に光が発生してしまうのが難点で、魔力の消費量に従い光も強くなる。幸い分厚いカーテンを閉められたこの部屋は外からは転移を見られることは無いはずだが、運悪く下っ端がこの部屋の付近を通ったのか部屋の外から話声がしている。


エルが慌てて家具で死角になっているエリアに隠れて周りに幻影を発動させた。少ししてドアが開けられ、そこには執事とランタンらしきものを持ったメイド、下っ端の3人がいた。


「何も変わりないではないか。寝ながら歩いていたのではないか?」


お嬢様達が起きないようにひそひそと小声で話している。


「いや、確かに光ったんですよ。魔法を使える何かがいますって、絶対」


「お前、さっき酒飲んでただろ。酔っぱらって幻でも見たんだろ」


下っ端の一人はおかしそうにもう一人をからかっている。光を見たと言っている下っ端はとても不服そうだ。


「この部屋には窓上に魔封じの魔道具を付けてあるんだ、魔法が使えるわけないだろ。酒なんか飲んでないでしっかり仕事しろ。報酬減らすぞ」


執事の男性がそう言うと男は小さく「はい…」と言い引き下がった。


「皆さん。淑女の寝室でお話しされるのは宜しくないかと。他に話があるのであれば下でお茶を用意しますのでそちらでどうぞ。旦那様も我々がここに長くいることをよく思わないでしょう」


メイドがそう促すと彼らは部屋に再度鍵を掛け出ていった。



ふっーと一息つくとエルの元へ行く。


何か考える様なしぐさをすると私に小さい光を出すように頼んできた。

ドアの方が明るくならないように注意し、指先程の小さい光を作り出すとエルは窓上の魔道具を探すように言った。


私はカーテンの上の方にフワッと舞い上がるり確認すると、窓上の装飾の1部に紛れる様に魔道具が掛けられていた。


「ありましたよ。こんな高いところならさっき確認しなかったのも頷けますね」


この部屋の窓は床から天井までのほぼフルサイズ。確認するとなれば梯子を持ってきて部屋に入らなければならない。アレクサンドラ様を気にしている雇い主は自分の許可なくそんなことをすることを許さないだろう。


「何か変わったところはあるか?」


「装飾の一部にひびが入っていますが、それ以外は特に…」


「やはりか」


分かっていたかのような反応だ。


「予想してた通りみたいな言い方ですね?」


「ああ、予想通りだからな」


エルの元に戻るととてもいい笑顔でこちらを見ている。


あれ?私、また何かやらかした?


「原理は君が私の魔法陣を壊したのと一緒だよ。君にとっては何気なくやったことでも物の方はその衝撃に耐えられなかった」


「え???」


「分かりやすく言えばちょっとの力で押したつもりが実は君が馬鹿力だったってことだ。きっと君が幻影を作った時に壊したか、君がこの部屋に入ったことで壊れたか。君の入っている檻も君なら簡単に魔道具を壊せるだろう」


エルは心底楽しそうにはなしているが、私ってかなり物騒な人物なのでは?この魔道具が売られているということは普通の人はそうそう簡単に壊せないということだろう。このまま知らないうちにエルを傷つけることはないだろうか?そう思うと急に自分の存在が怖くなる。そして、エルから今と違う目で見られることになったら耐えられない。いや、そんなことを起こしてしまった自分自身に耐えられないだろう。


「うん?どうした?急に黙って」


反応がない私を不思議に思ったのかエルはこちらを確かめる。


「いえ、私はそんなに危険な人物なのかと怖くなりました」


それを聞いたエルはバツが悪そうに少し黙った後優しく話しかける。


「確かに危険な面がないとは言えない。君が誰かを害そうとしたらこの世界で止められるものは少ないだろう。しかし、君はそんな人物ではない。私も師匠も君の力の強さを分かっていたから色々教えているんだ。上手く使える様に、君自身が思う様に使える様に。ま、思った以上に未知の生物で研究者としてワクワクしている師弟という意見は否めないが」


少しおどけて言うエルの優しさに心が温まる。


「そうですね。2人とも私の暴露を楽しむくらいの研究馬鹿ですものね。そんなお二人の教えがあれば大丈夫ですよね」


感謝と少し皮肉を込めて返答する。まだ多少不安はある。だからこそ学ばなければ。もしもが起こらないように。恩を仇で返すことがないように。


「研究馬鹿とは言ってくれる。研究熱心だと言われたということにしておこう」


皮肉を聞いても優しく微笑むエルの優しさに何となく泣きたい気持ちになったのは内緒。




「さて、私は窓から出てここがどこか調べて来る。師匠に知らせに行った後夜が明ける前には戻ってくるからそれまで君も体を念のため確認してくると良い。何かあれば転移で来てくれ」


そう言ってエルはゆっくり窓を開けベランダに出るとそのまま風魔法で闇夜の中に消えて行った。


では、私も体を確認しに行きますか。


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