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一大事5


さて、私はなぜ綺麗に微笑むエルに脅されているのでしょう…



「色々あって、もう君の事で驚くことはないと思っていたが…まさか今までで一番の爆弾発言をされるとはね。パール。私の言いたいこと、わかるよね?」


く…黒い。オーラと笑顔が真っ黒です、エルランド様…。


エルが優しく言う時はかなり怒っているときだ。分かるよねって…怖!


「え…っと、申し訳ないんですが、何をそんなに怒ってらっしゃるのか…」


エルの口角が更に綺麗に弧を描く。なぜだろう寒さなど感じるはずないのに背筋が寒い。

事後報告でいいっていたのはエルだし、


「そうか。では私が説明してあげよう。そんな大事を今の今まで黙っていたことについてだ。初めの段階で全てを曝さなかったことは賢明だったが、初めて会ってから半年近く付き合いがあるにもかかわらず、今の今まで隠しているとは私はそんなに信用できないということかな?」


「い…いえ、その、最近は魔法をエルの近くで使うことがありませんでしたし…お借りした本を読んでるときに言わなきゃなーとは思っていたんですよ。でも、その時を過ぎると忘れるというかなんというか…」


「そうかそうか。パールは忘れっぽいから仕方ないということか。しかし、そのおかげで私は今日大層神経をすり減らしたのだが、君が忘れっぽい性質なら仕方ない、そういうことだね?」


うん?エルが起こっているのは要約するともっと早く言ってくれればこんなに心配しなくて済んだのに!ってことでは?


「??要するにたくさん心配したんだからってことですか?」


私の言葉で先ほどの黒い笑顔は一瞬にして消えなんとも言えない表情に…そして固まって動かない。


考えてみればエルの怒りもごもっともなんだけれど、今は悠長に話している時間はない。明日昼、あの館の主人が返ってくるまでに何かしら対応しなければ状況が大きく変わってしまう。


「とりあえず、ご心配をおかけしてすみませんでした!で、ですね、アレクサンドラ様達を魔法棟に連れてきて眠らせてあるんですけど、どうするのが1番安全で最適でしょうか?」


固まていたエルは私の問いでハッと我に返った。


「そうだな。…ここは師匠を頼るのがいいだろうが、経緯を話す際パールの魔法の事も話さなければいけなくなるが大丈夫か?」


ここ数ヶ月師匠とも交流してきたが、彼もいい人だと思う。そして何より付き合いの長いエルが信頼していることもいい証拠だ。


エルの問いに頷くとエルは付いて来いと言い部屋を出る。


心配そうなビアンカといつも通りに見えるヴォルフリートさんに「パールの事に目星がついたので出てくる」と告げる。


それを聞いた彼らは少しホッとしたように見えた。




エルと共に2人を確認するとまだ眠っていた。

エルは時空間から毛布を取り出すと2人に掛けて部屋を後にして次の場所へ向かう。なぜ毛布を持っているのかと聞くと、調査でキャンプすることもあるので色々入れっぱなしだという。なんて便利な魔法だろう。今度やり方を教えてもらおう。


そんなことを思っていると校長室に着いた。エルは大きな入り口の扉をノックして中に入るが、誰もいない。そのまま真っ直ぐ机に向かうと豪華なペン立てに向かって何かをして緊急事態です至急こちらにお越しくださいと話す。誰と話しているのだろうか?


しばらくすると机の後ろの空間が明るく光った。




「え?師匠?」


光が弱くなるとそこには師匠が立っていた。


「エル、こっちも今ものっすごく忙しいんだけど何の用?つまらない事なら課題の難度を次回から上げるからね!」


そういうと師匠は目の前の椅子に座り肩肘を着く。


あらまぁ、初めて師匠がイライラしているところを見たわ。


「その心配はないので安心してください」


そう言ってエルは師匠の前に精霊のメガネを渡す。まだ少し不機嫌そうにしながら師匠はメガネを掛ける。


エルの隣に立っている私を見た師匠に既視感…流石師弟…黒い笑顔がそっくりです…。


師匠の黒い笑顔を見て固まった私を置いてエルが師匠に事情を話し始めた。



「はぁ…なるほどね。まぁお嬢様方に被害がなくこちらの保護下に戻ってきた事はいい知らせだわ。にしても…」


エルと話していた師匠は急にこちらを向いた。


「さらに楽しみ甲斐がある弟子が居て嬉しいわ。魔法が全種使えるなんて聞いたことないもの!この貸しは後できっちり返してもらうからね」


師匠は先ほどの黒い笑顔とは対照的に楽しそうに微笑んだ。


お…おぉ、イケメン…じゃなくて。なんだか師匠の探求心に火を付けてしまったみたいだ。



エルにメガネを返すと師匠は少し真面目な顔になった。


「さて、と。おふざけはこの位にして、作戦会議と行きましょうか」



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