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お茶会/その後

エルの研究室に着くと師匠もいた。


2人で転移の扉(仮)の設計をしていたようだ。


「おや、早かったな」


「ねぇ、エルなんかパール機嫌悪くない?」


師匠が鋭く指摘する。


「師匠なんで分かるんですか?この仔の顔でも表情って読めるんですか?」


「そんなわけないじゃない。私は他の人より魔力の気配に敏感なの。人が強い感情を持つと普段感じない魔力の揺れ?みたいなものを自然と感じるのよ。で、パールの魔力はイライラって感じ」


「…当たりです」


「何かあったのか?」




2人とも手を止めて話を聞いてくれようとするが、2人のやっていることに比べると小さい事の様な気がして気後れする。


「気になって続きができないから話してみろ」


「そうねー。温厚なパールが何にイライラしているのか気になるわね」


優しいな、2人とも。


「念のため言っておきますけど、ある意味悪口ですよ?聞いて気持ちのいいものではないですが、良いですか?」


2人とも別に事実として話を聞くだけだからどうとも思わないというので、発散させてもらうことにした。


「あ、でも少しエルには有益な情報かも。ま、あんまりいい情報じゃないけどあくまで私の印象だから。エル、あなたの婚約者という人に会ったよ」


この姿でにっこり笑えているか分からないが、いつもはエルの十八番の黒い笑顔だ。


「はぁ?」


予想外過ぎる発言だったのかエルは狐につままれたような顔をしている。事実を言ったまでだ。


「この前いないぽい話してましたけど、家の方で話し進んでるんじゃないんですか?兎に角!その子が失礼極まりなかったのなんの!確かに私は今魔獣だけど物扱いされていい気がするはずなくない?ちょっと位なら仕方ないとか思うよ?でも、私の毛が抜けてドレスを汚すとかまだあんたのペットになったわけじゃないし。おまけにエルと婚約だか結婚したら私は隔離か売り飛ばされるらしいし!っていうかほんとにエルがあの子と結婚するならこっちからみなも様の所に逃げ込むし。どんなに頑張ってもあの子の近くに1時間以上いるのは無理!更に!私に近付こうともしないの!毎日ビアンカが丁寧に洗ってくれるからお嬢様たち並みにきれいだし!ほんと失礼しちゃう!」


一呼吸で言い切る。思い出しイライラしたけれど、思いっきりぶちまけると少し落ち着いてきた。




エルの顔はげんなりしているが、師匠はなんだか嬉しそうだ。


「ね?言ったでしょ?めんどくさいことが起こるからって。それにしてもえらい強烈な子が婚約者の様ね」


「勘弁してください。婚約者は居ません。一応家にも確認をとりますが、候補であっても遠慮させていただこうと思います…」


「あら、まだ会ってもいないのに決めるのは早いわよ?」


「パールがここまでイライラする人が私に合うとほんとに思ってるんですか?」


「良かったわねパール。エルの信頼を勝ち取っているようよ」


何と言ったらいいのか分からずとりあえず尻尾を振っておく。


「なんで早々にこんなことになるんだ…今日告知があったばかりだぞ」


急に疲れたように近くの椅子に座る。


「あら、これは序の口よ。令嬢からのアプローチもそうだけど、大人からのアプローチも面倒よ」


それを聞いたエルは頭を抱えてしまった。師匠はそんなエルをなぜか満足げにエルを見ている…。

その様子に苦笑いしてしまう。エル、ご愁傷様…。




「やっぱり茶会のメインの話題は王子の婚約者の話だったのかしら?」


「ええ、ほとんどそうでしたね。立候補しそうな子が何人かいましたが、どうやって決めるんでしょうね?」


「ああ、パールは知らないわよね。王家の婚約は19歳、22歳までに婚儀が通例ね。学園内で王子自身が彼女たちの人となりを見て選定時に推薦、異議申し立てをできる様にするためよ。教養、資質、家の地位や領地の質等を考慮して10人程度それから国宝の祝福の花束によって最終選定されるの」


「祝福の花束…?」


「この国の初めての王は知の神に大層気に入られた。神は彼の子孫が滞りなく栄えるよう、伴侶の選定に使う魔道具を与えたと言われている。目で見える素質と共に彼の子孫を偽りなく愛する者にのみ通常白い花の蕾が七色に咲き誇るらしい。本当のところ何が基準かはわからないが、神が気に入ったらというところだろう」


重そうに頭を上げたエルが説明してくれるしてくれる。


そういえば爵位の低いリサさんは最終選考に残ることができるのだろうか?彼女の場合爵位以外なら婚約者として成り立つと思うのだが。なにせ王子への惚れっぷりは本物だ。王子の反応も悪くなかった。


「最終選考は身分というよりも思いなんですね。でも、身分の低い貴族は初期段階で落とされてしまうので結局高位貴族の選考になるだけなのでは?」


「そうとも限らないわよ?歴史を振り返れば男爵家から嫁いだ歴史もあるし、その場合領地の質だったり、その子の魔力だったりするわ。国内にふさわしい令嬢がいない時は他国も視野に入れるけど、王家は基本自国の妃を取るわね。高位貴族は国外も有りよ」


「…王子の婚約者が決まるまで留学でもするかな…」


未だにエルはここにあらず状態だ。




エルの事は置いておいて、この様子なら主人公のリサさんが婚約者候補の可能性も有りだろう。あとは彼女とアレクサンドラ様の関係が悪化しなければ私的にめでたしめでたしなのだけど…上手くいってくれるかな?



師匠にからかわれるエルを傍目にそんなことを考えていた。



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