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精霊の森で3


頭を抱えてしまったエルランドに順を追って説明をする。


魔法の威力の話とかエルランドの興味がありそうな部分を掻い摘んで話している。もちろん私に関する部分は除いて。

もうエルランドを信用しているので話してしまってもいいのだが、そんなことしたらエルランドの頭が爆発しそうだから…。今でさえせみなも様からの新情報で色々考えている所にぶち込んだら情報過多だ。機会があったら打ち明けようと思う。




「…なんとか現状把握できた…」


「そうか。それは良かった」


傍で黙って聞いていたみなも様はうんうんっと頷いている。そんな水面様の方へエルランド様は振り帰った。


「先ほどは失礼しました。私はヴィグ国公爵家長男、エルランド・カッセルと申します」


みなも様に向かって自己紹介した後最敬礼で敬意を表す。


「私はパールの説明にあった通りこの国の水の精霊を束ねている者。君も私の事はみなもと呼んでくれ。あと礼儀は必要最低限でいいよ。肩が凝るからね」


精霊が肩がこるなんてあり得るのだろうか?

しかし、そう言われたエルランドは少し困惑気味だ。


仕方ないだろう、さっきまで精霊に会うことで浮かれていたのにまさか精霊王に会ったしまうなんて。


何とか事実を消化したのか、気を取り直しみなも様に向かって質問していた。


「ありがとうございます。もし宜しければ、先ほどの話についてお聞きしてもいいですか?」


真剣な顔のエルランドとは対照的にきょとんとした顔のみなも様。


堅苦しくしなくていいって言ったのにっとにっこり笑うとどうぞと言ってエルランドに先を促す。


「代替わりとはどういうことでしょう?伝記によると数百年に1度行われること、次の代が現れっると力を継承し先代は元の精霊に戻ること。そして、精霊王は姿を変える。これは本当でしょうか?」


「ああ、そうだよ。私達は特に時間に縛られないから人の単位で何年と言うか分からない。次が現れたら代替わりが始まるんだ。私は前回月が2色に色付いた時に精霊王になったが、代替わりは1日で終わるものではない。時間をかけて力と知識を移す。先代は終わったと同時に嬉しそうに旅に出ていったよ。一介の精霊に戻ればこの国にいる必要はないからね。あとは、姿か。一次的になら今でも変えられるが主なこの姿は精霊王になる時に決めた。それが習わしだからね。もともと精霊に性別や形の概念はないから自分の好む姿になるんだよ。だから人型、動物型とか色々な伝説があるだろう?」


「この国の他の精霊王様たちはどんな方なんですか?」


エルランドの話に割り込むのもどうかと思ったが気になったのだ。


「地はおっとりした男。火は冷静沈着な女。風は大らかというか大雑把というかな男。闇は好奇心旺盛な黒豹。光は無口で孔雀。今度会ったらパールに会わせたいからここに連れてくるよ。あ、あと無属性と時空間は精霊の数が少ない為全世界の精霊を束ねているらしいが、まだ会ってないな。」


なんとも色濃い面々だ。連れてきてくれるのはいいけど、1人ずつにして欲しいかな…


「へー…皆さん個性的そうですね。頻繁に会っているんですか?」


「気が向いて時にかな。あとは無属性と時空以外は定期的に集まる習慣もある。そうしないとずーっと顔を合わせない奴もいるからね。次の蒼き月がその時だけど、君たちが生きているかな?」


その時期がわからないので、エルランドを見ると小さく首を振った。


「たぶん普通なら生きていないだろう。蒼き月は多少ずれはあるものの約130年に1度だ。確か次は105年後だったと思う。まぁ、君が今のままなら可能かもしれないが…」


そんなに間が空いて良いのだろうか?人としての感覚なのでもっと頻繁にあった方が良いのではと思う。でも、彼らにしたら5年に1度くらいの感覚なのかもしれない。


「全員揃わなくてならもっと頻繁に会っているけどね」


思ったことが顔に出ていたのかみなも様が補足する。



その後はまたエルランドが幾つか質問をしていた。なぜ無属性の精霊は少ないのかとか精霊に寿命はあるのかとか、あとはなんだかよく分からない専門的な話だったと思う。みなも様も今の人の世についてエルランドに聞いていた。 なんだか2人とも楽しそうだったので私はそんな2人から離れて泉で精霊たちと戯れて楽しい時を過ごした。



楽しい時間はあっという間に過ぎて空いは1番星が輝き始めていた。




「待たせてしまってすまない」


エルランドがそう言って後ろに立っていた。


「知識のある人間と話すのは楽しいものだね。ついつい話し込んでしまったよ」


みなも様も嬉しそうにエルランドの横に立っている。


「そうだ、エルも次はパールと一緒に来られるように印を上げよう。そのメガネを貸しなさい」


エルランドは驚いたようだが、ありがとうございますと言ってメガネを手渡した。


みなも様がメガネを両手で包むと一瞬光が溢れた。


エルランドに返されたメガネは同じ眼鏡とは思えないほど輝いていた。レンズの曇りもない。そして弦の部分には私の腕輪と同じ模様のプレートが新しく絡めつけられていた。


エルランドも驚いたようでメガネを見て固まっている。


「たぶん他の先代か先々代が君の先祖に渡したんだろうね。大事に使われているのがよく分かったよ。力の澱みを取ったから綺麗になった。これからも大切に使てくれると嬉しい」


「ありがとうございます。誓って大事にします」


それをきいたみなも様はとても満足げだ。


「また近い内においで。待っているよ」


そう言ってみなも様は私とエルランドの頭を撫でた。


それはとても優しく、慈しむかの様で心が温かいものでいっぱいになった。

絶対また近い内に来よう。

そっとエルランドの方を見るととても穏やかで優しい顔をしていた。彼もきっと同じことを思っているだろう。



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