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精霊の森へ


さて、今日は朝から授業があるということなのでエルランドに付いて行った。


エルランドは基本的に魔法関連の授業は能力が学校で学ぶ範囲を既に超えているらしく免除されているらしい。時々授業の手伝いに呼ばれる時以外は自由に過ごすか、与えられた課題をこなすかしているらしい。


今は歴史の授業の様で国の成り立ちについて話していた。魔法があるせいなのかそれとも私が前世の記憶があるせいなのか、歴史の授業というよりは物語を聞いているようだった。




そしてなぜか今食堂で攻略対象勢揃いの中にいる。そして、注目の的だ。

もちろん個室で、なぜか私の為にに長椅子が用意され、そこに置かれてから観察されている。

美形に囲まれて挙動不審になりそう。ゲームの為かこの世界はみんなそれなりに整っているが、この人たちは別格だ。エルランドに慣れたとはいえ綺麗な顔が多いのは慣れない。人で言うならば逆ハーレム状態だが、そもそも人ではないのだ。だから不躾にガン見してくるのだろうけど…っというか早く席についてお食事なさってください!心臓が持ちません!と言いたい。




なぜこんな状態に陥ったかというと、授業が終わりエルランドが食堂に向かおうとすると王子&護衛に声を掛けられ一緒に食事をすることになったのだ。私は空気を読んで研究室で待っているつもりでいたら、なぜか置いて行かれることなくこの超絶豪華な面々の昼食会に参加することになった。


その結果がこの状態だ。




「昨日見たときから近くで見てみたかったんだ。ホワイトフォックスを生で拝見できることは少ないからね」


王子はニコニコしながらこちらを見ている。動物好きなのかな?


「へぇー。ちっさいな。それにしてもよく懐かれたな。エルはどう考えても動物が好みそうな雰囲気はないのに」


黒髪の子がエルランドを見ながら不思議そうに言う。


「おい、フリクセル。エルに失礼ではないか!素直に言っていい事と悪いことがあるだろ」


アッシュブロンドの子が注意するが、それも失礼な気がするんですが?


言われている本人は黙って静観中だ。


「エル、この仔の名前は決めたかい?」


王子が話題を変える様に尋ねる。


「…名前はパールと言います」


別名は付けずに本名でいくようだ。


「いい名前だね。真珠のように白いからよく似合っているよ。ところで、この仔は君以外が触っても大丈夫かな?」


「ええ、穏やかな性格ですので大丈夫です」


『ええ?!ちょっと!エルランド様!王子に撫でられるなんて恐れ多い!』


『断れるわけないだろ。後々ばれる。不敬になるぞ。大人しく媚を売っておけ。王子に好かれて悪いことはない』


恐れ多いが、ここは腹をくくってどんとこい!と覚悟を決めて王子を見る。


ゆっくり近くに来た王子は長椅子の空いてるスペースに座った。


「パール、失礼しますね」


私が理解できることを知らないのになんて丁寧な人なんだろう。


そいう言って1拍置いた後、彼は優しくそういった後頭をポンポンと撫でる。


見上げると嬉しそうに微笑んでいるので、ありがとうの意を込めてキュウっと鳴いて尻尾を振ると、さらに嬉しそうに撫でてくれた。 これは媚を売ったことになるんだろうか?


それを見ていた黒髪の子、フリクセルが「あ、俺も撫でたい」と言って近くに来た。

王子とは違いガシガシと力強く撫でる。男の子って感じだ。


「おい、トビアスお前も触らせてもらえよ!ふわふわして気持ちいいぞ」


そう声を掛けられたアッシュブロンドの子は私はいいっといったのだが、こちらをチラチラ見てくる。触りたいけど怖いのか、何かに遠慮しているのか。


ここは一肌脱いで…私は椅子から飛び降りトビアスと呼ばれたこの足元に座ってかわいく首をかしげる。


ここまでやって撫でないのなら怖いのだろうから大人しくエルランドの元に戻ろう。


そう思っていると、トビアスは屈んで撫で始めた。

やっぱりこの仔は可愛いよね。私が彼ならこの仔を抱きしめているだろう。


ひとしきり撫でると立ち上がったのでそれを合図にエルランドの元へ向かう。

彼の足元に着くと体を纏わりつけキュウっと鳴く。懐いてるアピール継続中です。


それを見たフリクセルが、やっぱりエルが1番かーっと言う。目論見通り。



『こんな感じで良かったですかね?』


『ああ、上出来だ。お疲れ様』


エルランドはひょいっと私を抱え1度だけやさしく撫ぜて長椅子に戻した。




その後4人は昼食をして、午後も授業を受ける3人は授業に向かっていた。

去り際に王子からまた連れてきてほしいと言われていたので彼らとは頻繁に会うことになりそうだ。

そして私たちはエルランドの研究室に向かって昨日の続きをやることになった。


研究室に着き、準備をしながらエルランドが雑談程度に尋ねてきた。


「今日で魔法陣の修復は終わるだろうが、君は今週末何をするか考えているか?」


「そうですね…前に会った精霊たちに会いに行こうかと。あと、彼らと過ごした泉でのんびりしたいかな…」


何気なくそういうとエルランドがバッと勢い良く振り返った。


「今君は何と言った?」


「え?だから、ここに行きつく前にお友達?になった精霊さん達に会いに行こうかと…」


エルランドは驚いた顔をしたかと思ったらなにやら考えて出してしまった。


何かおかしなこといったのだろうか?


しばらくすると真剣な顔でこちらを見る。


その真剣な視線を受け、緊張して姿勢を正した。


「それに私も同行していいだろうか?」


「構いませんが、特に特別なことは何もないと思いますよ?」


私がそう言うのをきいたエルランドは盛大にため息をついた。


「君に記憶がないから仕方ないかもしれないが、精霊に会えること自体珍しいんだ」


「え?でも、エルランド様は精霊のメガネがあるので見えるんじゃないんですか?」


「確かにメガネで精霊も見ることができる。しかし、見ると会うでは全然違う。会うとは何かしらコミニケーションを取るという事だろ?それに、街には元々精霊は少ない。自然豊かな場所にとどまることが多いと言われているから街で見ることはほとんどない。メガネもいつもと掛けているわけではないしな。魔法に関するもの以外は非常に見難い」


言われて机に置かれているメガネを見てみるとうっすら霞んでいる。確かにこれでは精霊は見えても周りは見え難いだろう。


「っというわけで、これから行こう!」


「はい?今日はこれから魔法陣を仕上げるんじゃないんですか?」


「違うものが気になっているときにやれば集中力が続かない。こういう時は目的を果たしてから取り掛かった方が効率がいい」


いつもはクールな印象のエルランドだが今は子供が遊園地に行くかのようにウキウキしているのがわかる。


私はいつでもいいので了承すると森の位置の確認を確認して、私を隣に立たせ転移する。




1週間ぶりに会う彼らは私の事を覚えていてくれるだろうか?



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