超一流のギャップ 後編
俺に備わった能力は一つだけではない。
それは、トリカブトオーラがわかる能力と。
もうひとつある。
それを説明しよう。
俺は、当時潔癖症だった。
最初はカッコよくなろう、オシャレをしようって、そんな気軽な思いから。
もっと清潔感を。
もっと清潔感をと。
どこにいても、歯をめちゃめちゃ磨き、銭湯にも入りまくり。
車の中も、自分の部屋も。
どんどん掃除をしまくり、清潔意識が向上しまくった。
すると。
どんどんどこが汚いのか。
というものが本能的にわかるようになり。
俺は気づいたことがあった。
自分の家がホコリまみれであることに。
もうホコリを吸って生きているんだって。
親に激怒した。
もっとちゃんと掃除しようって。
凄く怒ったことがあった。
もう家にはいられなかった。
とにかく清潔に。
とにかく綺麗に。
そう思ってパチ屋へ行った。
パチ屋の中には、いろんな人がいる。
清潔な人。そうでない人。
やはり見た目でもわかるし。
その見えないところまで、本能的にわかる。
逆に清潔感ある人こそ。
なおの事、どこの箇所が汚く汚れているのか。
本能的にわかった。
とくにそれがわかったのは。
コヒレだ。
コーヒーレディだ。
彼女は透明感ある白い美肌。
彼女はサラサラの髪の毛。
それはもう、彼女は清潔で美しく健やかな毎日を願う女性だった。
そんな清潔感ある彼女であるからこそ。
見えないところであっても、本能的に汚い箇所がわかる。
言うなれば、彼女。
彼女のケツの穴に。
拭き残した微量のウンコがついているかどうかだ。
俺には、見える。
感じる。
脳の妄想パラメーターで。
例えるなら、それはサーモグラフィーのように。
微量のウンコがついている箇所だけ。
俺の脳内サーモグラフィーでは、その部分だけ赤く見える。
あるいわ、赤く感じる。
綺麗で清潔な人の肌は、緑っぽかったり、黄色っぽかったり。
何もないところは青。
しかし、ここだけは汚いという箇所だけ。
赤く見え、赤く感じる。
これが俺に備わった本能から生まれた、能力である。
だから、俺は、よくその赤い部分が分かりやすく、顕著にでる、コヒレの彼女を観察した。
それは、探偵ナイトスクープの見えない家や部屋のテレビの電源がついてるか、ついてないかわかる能力者のように。
コヒレの彼女を見て。
今日は。
ついてる。
今日も。
うん、少しついてる。
今日こそは。
え、けっこうついてる。
今日にかぎって。
ん、ついてない。
そこに傾向があるのではないかと思ったが。
そこまで考えたら俺は、変態だ。
まぁ既に変態というか危険な人なのだが。
スロットを打ちながら、コヒレからジュースを頼んだとき、俺に言ってくる。
今日はついてますね~、いっぱい出てますね。
と。
俺は答える。
そうですね。
今日は、ついてる~!
あなたもウンコついてますよという意味は悟られないように、運がいいという会話をする。
そんな、能力者の俺が。
今やろうとしていること。
これから始まること。
この台。
北斗の拳のこの台。
この台を大当たりさせ続け、ウンコを漏らし、閉店まで打ち続ける。
その事件を何とか周囲に肯定させ。
超一流のギャップを手に入れて。
コヒレにアピールをして。
店を繁盛させる。
というウィンウィンとなる行動だ。
ケンシロウのお前はもうあたっているという、初当たりとともに。
食あたりの俺の腹いたは始まった。
これから先はもう生々しい話になる。
超適当に書こう。
じゃないと。
じゃないと、これは問題作となるエッセイとなってしまう。
この糞漏らしの描写を綺麗に丁寧書く訳にいかない。
書きたい箇所だけ丁寧書く。
ではいきます。
はい。
初当たりは北斗揃いでした。
はい。
いっぱい出そうです。
はい。
ウンコも出そうです。
はい。
ケンシロウ勝負玉(連ちゃんするため必要なバトル回数ポイント)いっぱいためました。
はい。
ケンシロウいっぱい敵倒しました。
はい。
いっぱい連ちゃんして大当たりしました。
はい。
そろそろウンコ漏らしそうです。
はい。
ケンシロウ強いです。勝負玉いっぱい上乗せしました。
はい。
もう漏れます。
はい。
もう限界です。
はい!はい!はい!はい!はい!
お花畑が~
しょんべんこぞうが~
心地よさそうに~
脳内に~
広がる~
こんな~
至福の時を~
この店で~
迎えてしまって~
いいのだろうか~
台は~
もう~
5000枚は~
突破したころだろうか~
店内は~
かぐわしいにおいが~
お店のなかを~
つつみこんだ~
あ、コヒレの子が~
俺のところへ~
きた~
なんか~
察したようだ~
でも~
営業スマイルで~
俺に~
問いかける~
なにごともなかったかのように~
今日も~
ついてますね~
俺も~
脳内サーモグラフィーで~
彼女を~
みた~
ついてる~
きみも~
ついてる~
おれは~
メロンソーダを~
いつものように~
頼んだ~
彼女は~
注文を受けたあと~
すぐに~
トイレへと~
向かった~
しばらく~
トイレから~
でて~
こなかった~
そこで俺は、ふと考えた。
もしかしたら。
今のこの俺の超一流のギャップが。
彼女には肯定されてないのかもしない。
彼女は臭くてトイレへと逃げたのだろう。
普通はトイレの方が臭いはずなのだが。
今となっては、この店内に広がる芳しい香りのほうが強烈なんだろう。
もしかしたら、嫌われたのかもしれない。
受け入れられなかったのかもしれない。
俺は、そこで怖くなった。
心底怖くなった。
もうやめようか。
もうでも手遅れだ。
もうケンシロウよ勝たなくていい。
やめようぜ。
失敗だ。
作戦は失敗に終わった。
しかし、そういう時に限ってケンシロウめちゃ強い。
シン、ラオウ、サウザー、誰であっても一撃で倒し、なかなか死なない。
そろそろケンシロウやめてくれよ。
数十分たってから、コヒレの子がトイレから出て、メロンソーダを持ってきた。
彼女はいつもの笑顔で、メロンソーダを持ってきた。
だが。
俺は、その時。
驚愕の事実を確認した。
俺のサーモグラフフィーが。
脳内サーモグラフィーが。
彼女のアナルが。
真っ赤になっている。
それは、ついてる。
ついてないのレベルではない。
拭いてない。
のレベルだった。
べっとりついていた。
どういうことだ。
拭き忘れたのか。
そんな馬鹿な。
俺は思った。
おかしい。
こんなのはおかしい。
推測するとしたらこうだろう。
俺の超一流のギャップを肯定しようと。
彼女も俺の行動を支持し、自らもこの行動を肯定するかのように。
俺と同じ行動をする。
さすがに、たくさんのついてる~だと周りにバレるので。
パンツにほんのりつく程度にしたのだろう。
しかも、店内はもう既に俺の一撃で周りを驚かしている。
犯人として、もう俺が漏らしたことはバレテいるし。
そこに同じ人間がいたとしても。
そこを疑うことはないだろう。
彼女には疑いはかからない。
これは、俺が彼女を助けていることになる。
あのリーダー。
友達を救った世紀末リーダー伝たけしのように。
俺も、コヒレの彼女を救っていることになる。
たけしとは、順序は違えど。
一緒だと思う。
そして。
結局大当たりは閉店まで続き。
朝から晩まで当たりっぱなし。
吉村同様3万枚。
60万円近く勝ってしまった。
そして。
この行動はコヒレには肯定された。
しかし。
お店には肯定され、受け入れられたのかどうか。
その事実の結果は、一応妄想では記憶にありますが。
それは、各自おのおのご想像にお任せします。
おしまい。