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超一流のギャップ 前編

彼のその鋼のような肉体美は見る者を魅了し圧倒した。


カッコいいと思った。


強そうと思った。


男の中の男だと思った。


しかしそれは、夜の顔である。


昼の彼の顔はしがない窓際係長。


仕事も出来なさそうな。


自信のなさそうな。


そんな平凡なサラリーマン。


そのギャップが何ともやはりカッコいい。


それが特命係長只野仁である。


当時、オシャレに目覚めて、様々な妄想に振り回されて行動をとっていた俺。


化粧をして、自信を持ち、外を歩いたりお店を歩くのが楽しかった。


そんなカッコつけ続ける俺はある日ふと思った。


これって毎日やっちゃうとそれって普通だよなって。


ギャップがある男はカッコいいと俺は思う。


今でも思う。


このギャップの振れ幅が広ければ広いほど。


俺はギャップはカッコいいって。


そう思った。


俺は様々な服装を来て、パチ屋へ行った。


このギャップのある俺を見てくれって。


コヒレのあの子よ俺を見てくれって。


朝はカープの背番号27の會澤翼のユニフォームを来て。


メガネにわりとぼさぼさの髪。


カープのタオルを首に巻いて。


昼はオシャレな私服を着て、メガネも外し、髪の毛も整え、ギャップを演出。


えっ、朝と違う!


というような周りの目を期待したりして。


夜は大人なイメージのぴしっとしたスーツを着て。


仕事帰りのリーマンのように。


しかしその本性はただのパチ屋に入り浸るニートなのだが。


だが自己満足は大きかった。


これできっとコヒレの子にアピール出来ただろう。


俺は、安堵した。


そこでふと思った。


もっとギャップは作れないだろうかと。


突き抜けるようなカッコ良さはもういい。


多分限界があるし、現状で満足している。


だが。


カッコよくないモードをもっと自分を下に落とし込むくらいの演出は出来ないだろうか。


俺は考えた。


もっとギャップのある男になりたくて。


そこでふと閃いた。


俺がもっとカッコ悪く、もっとダサい男になるためどうすればいいか。


もう目で見た視覚効果だけのカッコいい悪いだけでは限界がある。


今度は嗅覚に訴えかけたらどうだろうか?


そうだ。


ウンコを漏らそう。


糞を漏らすことほど、屈辱的でカッコ悪く、俺はここにいるんだ、とアピール出来ることはないはず。


もし俺がパチ屋でうんこを漏らしたらきっと臭いだろう。


誰が臭いと犯人を探すだろう。


臭いと知りつつ匂いを嗅ぐ者はアホウだと思うが。


なぜか人はそこに何かがあればそれを求め、探してしまう。


それは仮に臭いウンコであっても。


津波がくるにも関わらず海に向かってサーフィンをしにいくものはいないが。


火事で燃える、家の消化活動現場や、交通事故の衝突現場。


それに、まるで糞にたかるハエやアリのように、事故現場ではヤジ馬達が群がってしまう。


それと一緒だ。


もし。


もしも。


もしも俺が訳あって、糞を漏らさざる追えなくて、漏らしてしまったら。


そんな悲劇の事実が何とか周りに肯定されたら。


俺は超一流の男になれる。


超一流のギャップを手にする。


しかし、これが面白いことだったと周りに肯定されなければ。


受け入れられなければ。


それはただ迷惑極まりない営業妨害になってしまう。


そうなったら最後、その店は勢いを失い、客は来なくなり、店は潰れるだろう。


でも。


肯定されればリターンは大きい。


世紀末リーダー伝たけしでは。


ウンコを漏らした友達を助けるため、たけしもまたわざとウンコを漏らし、笑いに変え、友達の糞漏らしの事実を隠した。


周りを笑わせ、肯定させたのである。


平成ノブシコブシの吉村が俺に脳内で語りかける。


ついにお前もくるところまで来たか。ギャップがある男こそ、最高にカッコいい。モテる。俺も以前パチ屋で糞を漏らしたことがある。

その日は俺は朝から晩まで連チャンが続きトイレへも着替えもいけなかった。

結局3万枚以上でて、60万以上勝った。

お笑い芸人の俺が糞を漏らしながら、大量のコインを出し、大勝利。

その臭さと噂はまたたくまに広がり、多くの客がその後集まるようになった。

ノブコブの吉村が漏らした店。吉村が漏らした台。吉村が漏らした椅子。

プロ野球の特別指定席のように、その漏らした席は、糞吉村シートと呼ばれるようになった。

さぁいまこそ、お前も勝負の時だ。

俺のウンコは肯定された。

お前のウンコが今世間に肯定されるかどうか。肯定されれば君は糞漏らしの英雄、ヒーローだ、と。


吉村がそんな感じのことを言っている妄想をして、俺は迷った。


この行動はリスクとリターンが凄まじく大きい。


もし肯定されず失敗したら、俺は店を潰すだけでなく、コヒレにも嫌われるだろう。


でも肯定され成功したら。集客効果は絶大で、そんな糞漏らしの英雄である俺にコヒレは胸を高鳴らせるだろう。


いずれにしても紙一重。


俺が超一流男になれるか。


なれないか。


それをすれば、それ確認出来る。


俺はその行動をするかどうか。


迷った。


本当に本当に迷った。


でも。


立ち止まる訳にはいかない。


進むしかないんだ。


リスクを背負えないで、大きな成功なんてありえない。


世の中そういうふうに出来ている。


俺は、脳内で糞を漏らすことを決意した。


数日後。


俺はどのように糞を漏らすか綿密な作戦をたてた。


物事には動機必要。


理由が必要。


ただ飯を食って、台に座り、ウンコしたいときにウンコする。


それではダメだ。


それは誰も肯定してくれない。


わざとであることがバレる。


その場でわざとウンコ漏らすことは、それは糞漏らしではなく、ただの脱糞だ。パチスロ台の椅子はトイレではないぞとあとでお店の人に怒られるだろう。


二つの偶然が必要だと思った。

一つはキッカケ。


うんこといという残弾の存在。


二つ目は、トイレに行けない理由。


この二つ。


最低限この二つがない限り、俺の糞漏らしは肯定されるはずがない。


そうだ。


腹を壊そう。


ちょうど賞味期限が切れそうなあるいわきれたなにかはないか。


俺は、冷蔵庫を見た。


そこには、俺が就職試験受けた会社の乳製品のヨーグルトがあって。


賞味期限は1日切れ。


俺は、その乳業の就職で、履歴書に書いた製品対する工夫が素晴らしいって何?

って聞かれたことに対して、ビフィビス菌がすごい!


って言ったこと思い出しながら、そのヨーグルトを食べた。


これでお腹は壊れるはずだ。


あとで壊れてくれ。


そう願った。


そして、パチ屋へと向かった。


糞を漏らすために。


俺が超一流になれるか。なれないかの戦いのために。


ここで一つ確認のためちゃんと言っておく。


これは俺の妄想であるから。


実際にはしてないからね。


強い決意と覚悟もって、俺は、店についた。


濃い緑色っぽいツナギを着て、俺は、北斗の拳転生の章のスロットに座った。


アイムジャグラーのように連チャンがないボーナスタイプ台では、糞漏らしの言い訳が出来ないので。


この北斗の拳の爆連機。


こいつが運よく爆連すれば、きっとウンコの漏れた言い訳が出来るだろう。


10000円札を入れいざ勝負。


程なくして、わずか数千円大当たり。


その時。


俺のお腹が少し反応し始める。


僅かに痛みだす。


初あたりを引いた台のケンシロウがよく言うセリフを今回も彼は言ってくれる。


お前はもう当たっている。


今の状況では、ケンシロウが、今朝俺が食べたヨーグルトの食当たりのことを言っている気がした。


ワトソンの運命はどうなるのだろうか。


果たして糞漏らしは肯定されるのだろうか。


ワトソンは超一流のギャップ手に入れられるのだろうか。


続く。

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