表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
99/324

ここでは獣の言葉で話せ

「……フゥゥゥゥゥウ、極め、申したわ」

「見事、見事よメタリアさん、本当に。なんか、当初の予定と全然違う感じに仕上がりましたけど、これはこれでとても……凄い!」


 完成した……これが、これこそが、私の集大成……お母様のお助けがなければ、完成できなかっただろう。化けの皮が剥がされた今の私、だからこそ出来た極みを見せよう!


「これで今度のパーティでも堂々と対応できますわ、ありがとうございますお母様」

「えぇ、良かったわ……あ、これ今度のパーティ対策だったの? というか何に対しての対策なのかが分からないんだけど」

「あ、言ってませんでしたっけ?」

「ごめんなさい。ひとっことも聞いてなかったわ。あの、人生の生き方的な相談かと思ってたんだけど」


 いやー、それは流石に……メトランお母様になら相談しても良い気がしてきた。すごい話しやすいのよな。この人。あれだ、元同じ一般ピープルだからかな。


「そこまで重たくないですから大丈夫ですよ。とはいえこの先も運用できそうな物が出来たから、その認識でいてくれたのはありがたいですけど」


 それくらい本気でやってくれたからこそ、コレが生まれたんだしね。


「……まぁ、唯一の問題はといえば」

「メタリアさん、そろそろドレスの着付けをしないと……あれ? メトランさん?」


 これを完成させるのに、パーティ直前まで時間がかかってしまった事くらいかなぁ。私いっつもぶっつけ本番でことに臨んでないかなぁ……


「分かった、今行くわ。じゃあメトランさん、また後で」

「はい。じゃあ頑張ってね」


 ういっす。出来たばっかの切り札だが、まぁうまくハマれば大丈夫だと思いたい。




「うぬ?」

「む」


 着替え用の部屋を開いたその先に、我が婚約者がいた。あれかい、交代制かこの着替え部屋。っていうか男子が使った後の部屋で女子を着替えさせるなよ。


「久しいな。メタリア。この部屋を使うのか?」

「まねー。まあ久しぶり。そっちは……まぁ。元気だったみたいね。だいぶ好き勝手暴れてた? ストレスもなさそうだし、ねぇシュレク?」

「お前たちと過ごしてからというものの、色々と思考が吹っ切れてな。だいぶ好き勝手して家臣の胃を痛めても気にならなくなった。後、弟達のことは時間の流れに任せる事にした」

「良い感じで気合が抜けたわねぇ……」


 こんなんだっけ、こんなんだったな。うん。


「それより、お前の方はあいも変わらず充実した日々を送っているようだな」

「いや充実はして……待て、どうして私の近況を知っている? 手紙のやりとりもしていないというのに」

「大公殿が、登城する度にお前の事を事細かくな」

「おとうさまぁ!? なんて余計な事を!?」


 っていうか、その薄いニヤケ面は何だ? 喜んでるのは間違いないけど、ロクデモナイ喜び方だろうこれは。


「弟関係で苦労する、お互い大変だなぁ? くく」

「うっわこいつ!? 私がおんなじような苦労してんのにニヤニヤしてやがる!?」


 こいつさては愉悦を知るものか! ロクデナシにも覚醒してんのか!? でえい笑うな笑うなこの野郎! まてぇい!


「はは、捕まえてみるがいい」

「はははー、逃がしはせんぞ、じわじわと嬲り物にしてくれる」


 我が怒りは既に常識の外ぞ。おのれ婚約者とて王族とて、見逃しえぬものがある。ぬしゃらの腹を掻っ捌き、その臓物で美しい赤い文様を描いてくれよう。


「うむ、流石に揶揄いが過ぎたな。済まないメタリア、この通りだ」

「謝って済むなら警備兵は要らんのだ。覚悟しろ」

「駄目だな、これは完全に目が据わっている」


 ワタシ、オマエ、ユルスマジ、ワタシ、オマエ、タコナグリ。ソシテトテモスッキリ。


「仕方あるまい、あまり時間はないが、久しぶりにやるか」

「ぐるるるるる、ぐがぁ!」




「目は覚めたか?」

「お陰様で……いたた、本気でパンチする事はないんじゃないかな」

「まるで蛮族のような気迫を感じたからな……必要な抵抗だったと思う」


 明らかに過剰だと思うんだけど。こんな美しい令嬢捕まえて蛮族とはなんじゃい蛮族とは、ったく、本当に相変わらずだなこいつは。


「で、私の誕生日を祝いに来てくれたってか?」

「まぁ、そうだな。延期になったのは俺が原因だ、侘びねばならんと思っていた。後、一応婚約者でもあるからな、それも兼ねて。といったところだ」


 あー、まあそういえばそうだけど。それは気にしなくてもいいんだが、っていうかそれを気にするくらいならさ……


「いや、侘びはいらん」

「む……そこまで、不満に思っていたのか?」

「そうじゃないよ。むしろ逆、不満なんか欠片もないから、そんな侘びの言葉よりも欲しいものがあるってことさね」


 ささ、ここがイケメンの発揮しどころですぞ~王子様? 一応婚約者っていうことになってるんだからさ。


「……そう、だな。うむ。誕生日おめでとう。メタリア。お前がこの世に生まれてくれた事を、心をから、祝福させてもらう」

「……うん、パーフェクト!」


 それでいいんだよそれで。ぐちぐちした湿っぽいのは似合わないだろう、私達。


オレサマ、ヨヤクトウコウ、シッパイシナイ、マナンダ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ