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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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転生者女児の工作

「ふふ……出来た。出来たわ」


 若干手間取ったが、それは素材を用意するまで、用意してしまえばこの通りよ……先日のアメリアの発言からヒントを得た秘策。これさえあれば……!


「第一の関門はクリアした!」


 そしてここまで来た私が出来る事と言えば、一周して戻ってきた感はあるが、構い倒して構いまくる位なものだとは分かっている。


「では何をやるか! ここに尽きる」


 前回は、アレウスくんに対し意気込み過ぎて暴走気味だったせいでなんかこう、セクハラオヤジみたいな雰囲気に突っ込んでいってしまった。酷い失敗例だ!

 ではそこから何を学ぶかだ!


「結論! アメリアちゃんと同じくらいで接してみよう!」


 うん。はじめっからそこに辿り着くべきだった。別に、私を速攻で殺しに来るわけでも無いただの一般人な訳だからさ、この世界では。いや将来の闇覚醒フラグ立ってしまっているわけですがあえて無視する!


「あくまで姉として……悪役令嬢だとか死に役だとか、そんなんを気にする前にまずはそこだよ私、どんだけ野生の勘働かせて敵と戦おうとしてんだよゴリラかよ」


 ……とはいえ、この作戦には、どうしても乗り越えなければならない壁、以前の失態によって出来た分厚い心の壁があるのだ。これはまだ解決出来ていない……しかし、別にすぐさま解決しなくても、これを迂回する手立てはあるのだ!


「お姉さま、しつれいいたします」

「いらっしゃい。入って頂戴な」

「はい!」


 という事で第一段階、知り合いの親しい人は私の半身作戦じゃい! はい、要するにアメリアを頼ります。私が直接距離を詰めればアウトだが、その間にアメリアが入れば余裕。そしてそこで秘策を実行し、会話に移る!


「呼び出してしまって悪いわね……」

「いえいえ! お姉さまがお呼びとあらば、わたしはどこからでもとんでまいります」

「いやそんな破天荒な努力は良いから」


 でも原作からは分からなかったこの子の果てしないポテンシャルを考えれば、それくらいやりそうなのが恐ろしいんだが……まあ、今はいいやそれは。


「今回は、ちょっとお願いしたい事があるのよ。アレウスに、渡して欲しいものがあるの」

「それは構いませんけど……なぜわたしに?」

「うんまぁ、初日の事よ。今でこそあの一件は無かったことみたいな感じだけど、それは向こうが大人になってくれたからで、まぁ、その、うん。凄く申し訳なさが残ってるの」


 いやまあホントはそこまで優しい状況ではないけど。まあ大まかには合ってる。という事でそこは改善できるはずなのだ。私の方策に乗っ取れば!


「だからこそ、謝罪の意味も込めて、改めて初めましてをやり直したいの。アメリアが居れば、きっとそれも難しくないと思うのよ」

「お姉さま……! アメリアのことを、そこまで……!」

「ふふ、当然、貴女は何にでもなれる、何でもできる、私の自慢の妹なのだからね」

「お姉さま!」


 あらら、そんなダイビングしてハグされちゃうと結構ドスッて来るというかダメージやっぱりごっついねぇ。うんゴメンそろそろぐりぐりやめてーな?


「……はっ! わたしったら、はしたない」

「はしたないっていうか容赦ない感じだったわね……」


 大丈夫、今日は誤魔化せてる。私のダメージは大したことないと言い張れる。


「よし、じゃあテンプレも終わったし、そろそろ、本題ね」




『……あの、えっと』

『なにもいわないでアレウス、とりあえずだまってこれを耳に当てて……』


 ふふ、今は見えない場所にいるが、声だけは聞こえる。ここから会話をするにはちょと大声を出す必要があるだろうが、それは迷惑。しかし顔を合わせるのはマズイ。


「つまり、糸電話、これよ!」

『……ホントにお姉さまのこえがきこえますね……いったいどこでこんなものを』

『秘密よ、ふふん』


 未来知識だぜ! 久しぶりに役立ったなこの知識。ゴスロリ以来か? 因みに二本作成しておりますよ。両手に持てば、昔の電話機っぽい!


『……あの、メタリアさん、えっと』

『こんにちはアレウス、ご機嫌如何?』

『あ、いえ。えっと、元気にさせて、もらって、ます?』

『それは良かった。ベスティの事もあるし、貴方の事は気になっていたからね』


 よし、会話に問題なし。顔を合わせなければ問題はない、というのは間違ってはいなかっただろう。因みに紙コップ部分は自作です。ドレスデザインのミス紙を再利用。めちゃエコだね。


『……そ、その。メタリアさん、どうしてこんなもの? を?』

「私と話しづらいのなら、顔を合わせなければ少しはましになるかも、と思って。怖がらせてしまったのは事実だし、私も貴方と仲良くしたくない、という訳ではないから」


 とはいえ顔を合わせず会話をするなど不可能……だが、二つの袋と刺繍の糸。そこから私はある物を思い出したのである。


「これなら顔を合わせずとも直接会話出来る。ならもーまんたい」


 くく、昨今私の評価が『なんか良く分からんやり方で物事をどうにかする爆弾少女』見たいな評価になってるんだけど、それを覆すようなこの知的なやり方! 相手の心理も気にする素敵お姉さまぶりよ。


「ま、これからあなたと話したいときはこれ使って話すから。嫌じゃなくなったら私の前に顔を出してくれると嬉しいわ。それじゃ、今日はここまでってことで。何かプレゼントとかしたいときは、アメリアに運んでもらうから」

『あ、はい』


 フハハ、お主が会いたくなくても、会わずして会話する手段はこの世に存在するのだ。諦めてちょこっとずつ会話の輪を広げるとヨロシ。


「……ふぅ。これで、一応前提条件を迂回する事は出来た。会いたくないなら会わなければよい、だ!」


 これで少しは知的なイメージも植え付けられるやもしれん。ここからちょっとずつ積み重ねて行って、願わくば『知的令嬢』のポジションにたどり着くのだ!


「よーしやるぞぉー!」


 弟と仲良くなる、自分のイメージも向上させる! 両方やらなきゃならないのは、つらい所よね……でもやってやれない事もない、イクゾー!


秘策だのなんだの言って、最終的には子供のお遊びレベル。まあ、お嬢様ではこんなもんです。

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