表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
80/324

日記解読エクストリーム

『今日から日記というものをつけることになった。僕が今日やった事を出来るだけつけて見るように言われた。当主様が言うには貴族として立派になる為に大切な事、との事。お父様も、昔は日記を付けていた事があるらしい。頑張って、書いてみようと思う。早速今日僕がした事を、一つずつ書いていってみようと思う。まず、一つ目は……』


 いや、日記ってそういうんと違うやでアレウスくん……もうちょっとさ肩の力抜いて日々の暮らしを愚痴って話すくらいでいいんだよホント。


「こっから先は……うーむ似たようなこう、ガチガチに硬い、日記っていうより記述っていう文章が続くばっかりか。内面を探るのは、無理そうだね」


 いやまあ見てるぶんには意外に面白いとは思うけどさ。私としては。なんていうか、自分が失敗した時の事に、個人的なコメントなんかつけてる時があって、それはこうなんとも、子供らしい生真面目さが垣間見えてフフッてなる。


「……うーむ、読み物として、案外良いかもしれない。趣味は悪いけど、こうやって軽く読んでるだけでも酔いを忘れる位……あ、いや自覚するとまだ感じるウプ」


 だめだ、読んでないと持たないぞコレ……と、兎も角読んで情報収集、序でに全力で気を紛らわせるんだ! いや、序でに全力って矛盾塊だけどさ。


「で、で……おや、これはベスティと遊んだ日の奴かな……」


『今日はまた、当主様のお家にお邪魔した。ベスティは相変わらず元気で、僕はついて行くだけで疲れてしまった。女の子の力ってすごい。全然敵わない。でもあの明るい笑顔を見ていると、僕も元気になってくる。ベスティと遊ぶのは好きだから、余計に遊んで疲れてしまった。今日はこれくらいにしてねる』


 で、こっから文字が、こう、完全にミミズっぽくなって……寝落ちしたなこりゃ。うーむ、日記を書いている途中に寝落ちとは、こりゃまた子供っぽいよね。私も良くやったよ散々ばら自由研究の追い込みで挙句に寝落ちして……結局翌日の登校日に……


「あの日は先生に思いっきり絞られたっけ……『未完成のままにしろ、もう少し内容をしっかりしたものにしてから来い……』。正論で草も生えません、すいません先生」


 全力だけど一夜漬けだからなぁ……そりゃ出来も微妙になりますわなぁ。ホント、同窓会にも出れず申し訳ない先生……ああいやそんなこと気にしてる場合じゃない。


「……ちゃんと仲良くなれてれば、こうやって普通に接することが出来たかもしれないのかなぁ。こうやって日記を見る限り、いたって普通のいい子に見えるんだよ」


 うーむ。だからこそ気になるって言うか。やっぱり真面目君だよね。で、こういう人なら真っ直ぐ私に文句言うんじゃないのかな。遠くから眺めてるだけっていうのが……こうやっぱり違和感だよな。


「わかんないなぁ……ん? これは」


『今日は、当主様の家で、パーティだった』


 パーティの時の話か。こういう社交の場ってのは何処でもやってるねぇ。まぁ貴族だし、そんなもんだろうけど……。っていうか、親戚筋のパーティにも顔出しするのか。


『色々な人たちが集まった。僕は、そこで……』


「……アレ? なんか、書き方がおかしくない?」


 明らかにさっきまでの書き方と違うな。ここでぶつって切れてる。ってまってこのページだけ、なんか跡……まさか涙!? え、なんで泣いてんの!?


「明らかになんかあったやんここで!」


 た、他人の日記っておもしろ……じゃないわ! いや、ヤな事があったとかそういうレベルと違うだろコレ! トラウマレベルの何かあっただろ!


「えぇ……これ見ちゃいけないもの見た系? ヤバいもの踏んだ……?」


 ……み、見なかったことにした方が良いのだろうか。ううむ。だ、だがここまで情報を集めようと失礼働いて、今更撤退って言うのは……くっ、逃亡者は粛清されそうな気がする!


「び、ビビるな……私の生存フラグを、確実に立てるためだ」


 アレウス君ゴメンね。もうちょっとデリケートな部分晒してもらうぞ……えーと、続きはどうなってるんだ、と……お、これは。


『今日も、パーティだった。ベスティが来てくれた。嬉しかった。ベスティが居なかったら、僕は、辛かった。辛かったんだ』


 ……やっぱり、パーティか。キーワードは。ちょっとそれに絞って、探してみようかな。


「えっと……あった。あ、ここも。この月は結構密集してるなぁ……うわ、いよいよ余裕のなくなってる日もあるなぁ」


 すっげえ内面が出てるよ……あーしっかし具体的な事は一切書かれてませんなぁ! まぁそりゃ嫌な事を一々書き出すってのもアレだからこれはこれで健全だとは思うんだけどね、とはいえ、気になるのは気になるわ……


「とはいえ……日記にも書き出さず、自分の中に押し込めている、か……うーむ、共通点っていうには、ちと弱いけど」


 似てる気がする。私に直接言わずに兎も角私をジッと見てるだけの彼と、この日記の彼が……日記前半とイメージが重ならなかったけど、こっちなら。


「って事はこのパーティ内で何かあったのかな……」


 いや、それくらいしか無いだろ。めっちゃなんかあった事が分かりやすく出てるもんなホント! 


「……ここを突く、じゃないけど。ここを起点に、何とかできないか?」


 まあ、こう、歪みがあったらそこを突いて、その反動で一気に仲良くなる、みたいな?少年漫画的にこう、土手での思いのぶつけ合いみたいに……な、る、かなぁ……?


「無理だっ……な、なんせあの子が来てまだ七日と経ってないんだぞホント! もうちょっと冷静になれよ私、そんな事したらマジで消えない溝が出来かねないぞ……!」


 うぬぬ、やっぱりこういうデリケートな部分は突かないに限るのかなぁ。仕方ない、他になんか情報を見て、共通の話題とか見つけないといけないかも……


「オースデルク様」

「ひびぃっ!?」


 なななななななんだ討ち入りか上等だやってやるウホ!?


「ゴフー! ウホホホッ!」

「あ、あの落ち着かれた方が……四つ足で室内を飛び回ると、まるで猿の様でございますよ?」


 ウホッ? ……あ、はいすみません。少しビビって暴れ過ぎました。


「……ドゥブルさん?」

「申し訳ありません、驚かせてしまいましたか。ご様子を見ようと思って、失礼したのですが……その日記」


 あっ……せ、窃盗とちゃいますよ!? いや、証明できないからあれだけどさ、いやホント、私無実ウーマンだから信じてドゥブルさん!


「この日記が、何か?」

「は……その日記の内容について、お知りになりたいのではないですか?」


普通の姉弟喧嘩なら、とっくに殴り合いか罵り合いになってると思います。友人の近況を聞いた時そう思いました。ちなみに友人は二十代です。元気ですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 三回ほど読み直してて思ったこと:  日記を置いたのは、ドゥブルさんじゃなかろうか(邪推
[一言] このお話に出てくる執事さん達、有能すぎませんかねぇ?(白目
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ