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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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日記暴きのクライシス

「お姉さま、あの、だいじょうぶですか」

「メタリィ、ごめんね?」

「ちょっと、大丈夫じゃないかなぁ……うぷっ」


 揺すられるって、人間にとって致命の攻撃方法なんだね……思わず急速回復姿勢をとってしまう……どんなポーズかって? ヤ◯チャだよ、分かれ。


「えっと……」

「あ、いや、ちょっと下手すると吐くから、ベスティの部屋で吐くとまずい」


 って言うかベスティがどうのじゃなくて私が友人の部屋汚したくないっす。いやホント頼むから、場所を、あ、やばいやばいもう出る喉まで来てる。


「あわわ、どうしましょ……ドゥ、ドゥブル!」

「いかがいたしましたか、お嬢様」


 うおっどこに居たんだこの老執事!? あ、驚いても結構グッと来る、ダメだ、心を平静に保たねば……


「め、メタリアをちょっとゆすりすぎたの!」

「それで吐き気を誘発したと……承知。別室で休ませましょう。流石にお嬢様の部屋で吐いてしまっては、お互い気まずいでしょう」


 あ、すいません扉開けてもらって……ちょっとキツイけど、ここで倒れ伏してる訳にもいかんし、頑張って歩かないと……あ、だめ


「せ、世界が回って……アァァァァア?」

「お、お姉さま!」


あ、アメリアダメ退いてぶつかっちゃう押し倒しちゃうからさああもう躱せないからこうなったらめくるめく百合の世界にですねいやそれまずいでしょ回避をだな


「っと……だいじょぶ、ですか?」

「あ……ご、ごめんなさいね、アメリア。ありがとう」

「いいえ、お姉さま。もしたおれたときに、お姉さまの花のかんばせにきずがついたら、それこそいちだいじですもの」


 わぁイケメン……じゃないちょっと待ってなんでこんな力強く受け止めてるのいつの間にこんな逞しくなっちゃったったの私の妹は誰だこんなにガチガチに鍛えたのは!


「さ、つかまっていてくださいな、お姉さま。まいりましょうか」

「あ、アメリアちゃん……いいえ、アメリアさん、とってもかっこいい……」


 うわ、歩き出しても、すげぇ頼もしいぞ、寄りかかっても全く揺らいだりしない。くそったれ、カワイイ顔がかっこいい表情浮かべても違和感ないってなんだ!


「では、こちら。ゲストルームにご案内いたします」


 あ、すいません……いや、アメリア、大丈夫、そんなしっかり運ばなくていいからダメカッコ良くて惚れちゃう!




 あぁ……横になったら少し楽になったわ。


「お姉さま、だいじょうぶですか?」

「ドゥブルにそばにいてもらうから、楽になったらよんでね」

「ありがとう……すいません、お願いします」

「いいえ、では私は扉の外におりますので、ごゆっくり」


 バイバーイ……いやさよならする訳じゃないけどさ、まぁ一応ね。あーしかしベスティが彼処まで私のオシャレゴミ虫ぶりに心を砕いていたとは……


「もうちょっと自分のオシャレにも気を使うかなぁ……」


 うーむ……しかしアレウス君のこと、もうちょい聞きたかったが……このままグロッキーで時間潰潰れちゃうし、私もベスティとアメリアと女子だけでワイワイしたいし。


「今日の情報収集はこの辺りかなぁ……うん?」


 この椅子の下……なんかあったぞ? 本……かな?


「……よいしょっと」


 出てきた出てきた……あれかな、ゲストルーム使った人の忘れ物とか、かな。えぇっと一体なんじゃろなと……『アレウス・オウル・ローバルト』ね。持ち主は。


「いやぁマイブラザーッ!?」


 どちら様とか思ったらアレウス君の私物ぅ!? ど、どうしてこんな所に……いや、ベスティと仲が良かったっぽいからちょくちょくここに遊びに来てたから?


「……なんの本なんだろうか」


 いや、良くないと思うよ? こうやって人の落としたモノを回収した挙句勝手に読むとかさ、まあ、TPOとかね? あるけどさ?


「TPOなんて概念存在しないからね。無理に気にする必要もないだろうし」


 っていうか昔はそういうことはタブーだっていうのが暗黙の了解だったからね。それがあったからこそわざわざそういうこと言わなくても……ああもう自分で何言いたかったか忘れた。インテリぶるのは良くないっすね。


「ぶっちゃけただの好奇心といえばそう。まあ、言い訳はせんから、見せてもらおうかな」


 よーしあらゆる罪悪感に蓋とかしてさっさと解放!


「……ウプ、文字見てるとちょっと吐き気が再発する、ささっと読まないと本気でゲストルームにぶちまけちゃう」


 とりあえず、これが何かだけをささっと確認してだな……ん?


「日記だ……ええっと、日記、日記かぁ……」


 いくらTPOを無視ウーマンの私でも、個人の日記をバリバリ覗き見るような心のわからない外道じゃないわ……そう、うん、そうだよ?

「うん、そうだ、そうだよ……」


 落ち着け、落ち着け……その先は見なくていい。まあまあ私としても情報は欲しいところではあるけどさ、さすがに内容が内容じゃないか、青少年の日記を覗き見るなんてさ。


「そ、そんな外道にも近い行いなんてするわけがヒャアがまんできねえ!」


 こんな内面をがっつり覗けるような機会なんてそうないんだよぉ! 暴いてやるぜ、体の中の柔らかい部分をズバズバ暴いてやらぁ!


「始まったのは……大体五ヶ月くらい前か。ええっと……日記を、ダリアさんから貰ったのか」


 自分のやった事を出来るだけ書くように言われたんだ。ふぅむ、綺麗な字だな、子供だとは思えねえぞ。っていうか、私より綺麗じゃないかね……


これやられたら私は泣く自信があります。

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