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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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昔っからの親友だからこそお洒落っ気のなさは知ってる

 上げてる場合と違うんだよ、私は馬鹿か。


「お姉さま? どうなされたの?」

「このクッキー、とってもあまくて、サクサクで、おいしいわよ? 食べましょう?」


 こ、この天使二人に心奪われてすっかり忘れてたゴメス……冷静になったらもう夕方一歩直前じゃねぇか、大分焼き菓子も減ってきて最後の方のクッキーにさしかかってるよ。


「えっと、ゴメンねアメリア、ベスティ。少し正気を失ってたみたい」

「?」

「しょうきをうしなって? よくわかりませんけど、お姉さまはとても楽しそうでしたしわたしたちもとても楽しかったですよ?」


 あっそう? なら良く……ない! 話を! ベスティに話を!


「あ、あのねベスティ。今日は少し、聞きたい事が有って来たの……それを、忘れてたわ」

「ききたいこと?」

「その、ね。アレウスに付いてなの」


 正直ウチがアレウス取っちゃった張本人だし、怒られても文句言えない大胆発言ではあるのだが……っていうか、男爵家の一人ってだけで、どれくらいベスティと仲良かったのかは知らん。


「アレウスに? わかったわ! なんでもきいてねメタリィ!」


 ベスティは素直(感涙)。この年の子なら『私の家に遊びに来てるのに他の子の事ばっかり!』とか言って拗ねてもしょうがないのにね……ぶっちゃけ一番知ってると思われるベスティからの情報はデカいので、ガンガン話して欲しい。


「アレウス、って、どんな子なの?」

「アレウスは、えっと、いとこで、まじめで……」


 あ、従兄弟なのね。ご兄弟じゃなかったと。ダリアさんが当主として、親戚から引っ張ってきたのか……現代じゃ赦されぬ当主パワープレイ。ヤクザやねぇ。


「あと、えっと……そう、お父さまが『セキニンカン』がつよいっていってたわ! あとはあとは、とってもげんきで、やさしい子なのよ!」

「元気な子、そう。元気な子なのね」


 ゲームをしていた時は、大人しめで、でもやる時はやるっていう、そういう印象があったんだけど……ベスティのモノとは印象が違うな。優しいって部分は合ってるけど。


「このまえあそびにきてくれたときもね、じぶんのおかしを、こっそりわたしに分けてくれたりしたの! ありがとうっていったら、『ベスティがよろこんでくれるならそれでいいよ』って! でもちょっとよだれがたれてたのが、かっこわるかったわ」

「へえ……」


 紳士。どうしてあのスチルに至ってしまったのか……私のせいですねはい。兎も角、元気で紳士、ある意味理想的な育ち方してるね、アレウス君。あと食いしん坊なの君?


「ね、アレウスはメタリアとアメリアのいえで、どうしてるの?」

「あー……」


 アメリア、ごめん、お願いします。


「ベスティア―ゼさまのいうとおり、とてもしんしてきにすごしていらっしゃいます。ちょっとやんちゃしてしまった事もありましたけど」

「まぁほんと!」


 まあ一番やんちゃしてたの私ですけど。それで無駄に警戒させちゃってますけど。何なら凄い目で睨まれて関係ボロボロですけど……いう必要はないな! うん!


「わたしたちの事もちゃんとおねえさんて……あれ? お姉さまのことは」

「いやほんとアメリアのことをとっても尊敬してるのよぉあの子波長が合うのかしらねほんと仲睦まじい関係になると思うわ!」


 だから言う必要はないんだよアメリア! 畜生、あんまりいろいろ言ってるとそのかわいい唇をキスで塞ぐぞ……あれ、ちょっとやりたくなってきた自分がいる。いかんいかん私はノーマルだよ。


「ほんとに! よかった! ちょっとしんぱいだったの」

「ほよ?」

「あの子、ちょっと、その、すごい、こう、ドドドってなるときがあって、そうなったとき、よくあの子のお父さまや、わたしのお父さまにしかられてたりしたのよ」


 ……ドドド。某奇妙な冒険かな? 曖昧過ぎるが、こう、迫力のある状態なんだってのは分かるけど。ここはアレウスくんの詳細把握の為、詳細な情報が欲しいぞ。


「……その時、ダリア様はアレウスになんて言っていたか分かる? ベスティ」

「え? えーっと……そう、そうだわ! 『ちょっとだけでいいから、ひろくものごとをみなさい』、って……たぶん」


 ふむ、そのアドバイスは……あれだよね。よく思い込んでドツボに嵌り込んだ主人公ちゃんに、老師様がいうセリフだね。キミ、視野を狭めるなかれ。


「思い込みが激しい、タイプ?」


 アレウスのバッドエンドに突入するゲーム内での原因は、『アレウスが独断でメタリアを排除しようと決断した』事だ。他の誰にも意見を求めず、容赦なく悪役令嬢を処断するその速さ。いや怖いよねほんと。


「メタリィ?」

「あぁ、ごめん。なんでもないわ」


 うーむ、私に対して……いや誤解してる訳ではないが、えらい燃やしてる。敵対心っていうか、少なくとも憎んでいるのとは違うと思うけど。


「まぁ、そう言う事はなかったから大丈夫よ、うん」

「そう! ほんとうによかった、みんななかよくがいちばんだわ!」


 私との仲が良いかは正直イマイチではあるんだが。とはいえ、そこに若干の違和感を感じない訳でもない。いやだって、私に直接文句を言いに来るなら分かるんだよ。

 けど、遠巻きに私を見てるだけってのがなぁ……


「ねね、そういえばアメリアのそのドレス、とってもカワイイとおもって、ずっとみてたけど、やっぱりどこでもみた事ないドレスよね」

「え、えぇ、はい。これはお姉さまがデザインしてくださったもので」

「メタリィ! ようやくあなたもオシャレにきょうみを持ってくれたのね! 私嬉しいわもう貴女は昔っからお洒落っ気が全然足りなくて本当に」

「ベスティなんでいきなり覚醒ああああ揺さぶらないでぇえええ」


ヒント:昔のメタリアはおしゃれに関してはベスティアーゼに頼りっきりでした。

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[一言] べすてぃさん、あなたも類友であったか(遠い目
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