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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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目的は投げ捨てるもの

 結局、昨日は監視の目を解いてもらえませんでしたね。


「お姉さま、見えてきましたわ!」

「はいはーい……なんなんだろう、どっから来るんだろうね、あの執念は」

「?」


 私を疎んでる……様には見えなかったんだよ。ただの勘だけど。私が嫌いなだけならもっと、こう、露骨にやる気がする。コソコソしてたのが、こう。ね?


「まぁ、今日で何とか解決の糸口を……握れるだろうかコレ」

「かいけつ? なにをですか?」


 うーん、アメリアは気づいてないみたいだし、気付く前にケリを……あ、今日のおべべはワシデザイン四号。袖のひらひらマシマシで、余所行き用にちょっと裾は短め(当社比)。


「ああいやなんでも無いわ、アメリアは気にしなくていいのよ」


 何だろう、ヒロインアメリア的な意味で、絶対この状況に何かしら噛んでくる気がするからここは話さないでおく。私、こういう時の運命論を信じてるつもりだし。


「さーて、男爵家の皆様、出来うる限りアメリアを優しく迎え入れてくだされば」

「ベスティさまって、どんな方なんですか?」

「あぁうん。可愛い子よ。私の初めてのお友達でね。ちょっとごたごたがあってから……」




「メタリィ、いらっしゃい! そして、ようこそ、わたしのいえへ!」

「えぇ、久しぶりねベスティ。元気にしてた? あら、少し顔色が良くなったかしら?」

「メタリィすっごいおとなっぽくなってる!?」


 あっ、すみません。それはちょっと事件二件と修羅場二度潜り抜けたりして本性が出てきただけなのよ。びっくりさせちゃったね。


「ほえー……キレイ。キレイになったわ、メタリィ、おんなのこでもみとれてしまうわ!」

「あらそう?」


 そう言われるのは悪い気は致しませんなぁ? くふふふふふ。まあいいや、今日の目的は褒められてニヨニヨする事にはない。寧ろ褒められるべきは私じゃない。


「あれ? そういえば、うしろのこは?」

「ふふ、妹が増えたの。紹介……は、自分でできる? アメリア」

「は、はいっ!」


 おぉ、勇ましいお返事。それじゃあ任せちゃおうかな、と。


「えっと……アメリア・オースデルク、ともうします。お姉さまの、いもうとです」

「アメリアちゃんね! こんにちは! ベスティーエーゼ・オディナ・ローパルト……やった! ちゃんと言えた! やったわメタリィ!」

「えぇ、良かったわねベスティ」


 あれっ、私の妹ってアメリアだよね……同い年のベスティじゃないよね。あれ? って言うか私アメリアをフォローする事あるけど、フォローされる事の方が多くない?


「メタリィ? どうしたの? へんな顔して」

「あぁうん気にしないでホント」


 アメリアってやっぱりよく出来た妹なんだなホント。しっかり者っていう評価がピッタリよ。シュレクなんかしっかり者の域超えてるから除外とする。


「あはは! あ、そうだわ! おへやにあんないしないと……ドゥブル!」

「は」


 おや、ここの執事さんかな。マクレスさんもナイスシルバーだけど、此方も中々……何よりその立派なカイゼル髭が、執事らしくなくて逆にグッド。そして無表情なのはシュレクで慣れたからいいや。


「お荷物は此方の使用人共が預かり、後で必要なものは届けさせますので。さ、お嬢様方は御部屋にご案内いたします。護衛の方々は部屋の前まで、その後は、別室に」

「承知いたしました。お嬢様、何かありましたら、このロイを」

「えぇ。お願いね。私の騎士様」

「は」


 今回もロイ君に同行して頂いております。一番一緒に過ごしてる男性が、婚約者のシュレクじゃなくてロイ君なのはどうなのかと思ってしまうが……まぁええやろ。


「……あのひと、どなた?」


 おや、ベスティはロイ君が気になるのかな? いやーしかたないねーイケメンだしロイ君は。ベスティほどきれいな人ならお似合いなんじゃなかろうか。


「あぁ、私の護衛のロイよ。ふふ、カッコいいでしょ?」

「えぇ! あんなステキなきしさま、見たことないわ!」

「そうでしょうそうでしょう、ふふふふ、私一番の家臣なのよ!」


 ぶっちゃけこれからも、私達で対処しきれない面倒事はロイ君にやってもらう事になりそうなので、まぁ、頼りにしてる。でもベスティがお近づきになりたいっていうなら手伝いはする。めっちゃする。そりゃ友人の為だもんね。


「そうね……ベスティも、気になるなら少し傍に付いてもらう?」

「……うーん」


 あれっ、喜ぶかと思ったんだけど、何故首を捻る?


「ううん、いいわ。あのきしさまは……なんとなく、メタリィの近くにいるのが、いっちばんいいきがするもの!」

「ベスティ……!」


 わ、私の身を案じて、護衛をひと時でも引き離すのは惜しいと……そう言ってくれるのか! なんと健気な子なんだろう! 流石私にゃ足りない女子成分を持ってる子だ!


「そうですわお姉さま! ロイさんは、お姉さまのきしさまですもの!」

「アメリア……!」


 わ,わたしゃ幸せじゃあ……こんなかわゆい子二人にそんな心配して貰えて。この際情けないとかいう思考はカットする。そんなん無粋だ。


「うぅ……二人とも! 今日は私がお菓子を提供するわ! メトランさんに頼んで作ってもらった特製のお菓子、下手な店のモノより断然美味しいわ!」

「えっ、お母さまにそんなことをたのんでらしたんですか」

「えぇ!」


 喜んで承知してくれたわ! どっさり焼き菓子積んできたから皆喰えよ!


「無礼講よぉ! あはははは!」

「あらメタリィ、すっかりちょっとまえにもどって、せのびしてたのかしら」

 

 よーしなんか大事な用があった気がするけどどうでもいいやまずはかわゆい妹と妹分を可愛がらないとワハハハハハハハ! テンション上がってきたぁああああ!


三人姦し娘が揃い踏みです。尊い面とか欠片もありません。わちゃわちゃするだけです。

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[一言] 【悲報】メタリアお姉さま、目的をド忘れする
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