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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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お嬢様のリアルラックが尽きて来ている事実

 ベスティに会いに行くにあたって、ネックなのは日にちだ。いきなり会いに行くというのは、流石に貴族としてのマナーに欠ける。

 という事で。お伺いを立ててみた結果。少しして帰って来た返事によれば。


「会いに行けるのは、明日……特にベスティにも習い事が無いので大丈夫、か」


 名目は、新しい家族の紹介と近況報告、となっている。まあそんなん建前でバリバリ情報収集に……嘘ですゴメンナサイ最近殺伐としてばっかりで久しぶりに可愛い友達と妹とゆっくりしたいです。


「まぁ、情報収集の方が重要だからそっちを優先するけどね……ベスティはアレウスとそう年齢も変わらない。ある程度ならアレウスの事を知っている可能性はある」


 ダリアさんはお仕事が忙しい……というか子供の質問の為だけにお時間割いてもらうのは流石に無理。つまり実質アレウスの情報を持っていそうな知り合いはベスティだけに限られる。子供とはいえ、馬鹿に出来ない情報源だ。しっかり話を聞いてこなければならないだろう。

 そして、それまでの間、だが。


「……チラ」

「……(ジー)」


 扉の方、スッゴイ視線を感じるのですよ……はい。無事に私を危険人物認定いたしましたアレウス君です。どうやら、一緒に生活するに当たって、一番の敵を見定めに来ているらしい。これで約四日、ほんま辛い。


「それでお家に帰りたい、からのへたれて落ち込みコース、っていう状態にならない辺りは、流石、貴族の子息ってことかしら」


 シュレクもそうだが、こういう高貴な生まれの子供と言うのは、普通よりも早い段階で決断や覚悟を決めるようになる事が多い。というか、そうなるようにする。


「我儘で優柔不断じゃ、貴族は務まらないしねぇ……」


 勘違いをしている奴がいるのだ、時々。貴族って、我がままなボンボンがデフォルトみたいに思ってる奴。違うからな? それ悪いイメージの貴族。本物の貴族ってのは、素早い決断力、コレと決めたら一歩も引かない胆力、そして高い実力、この三つが不可欠なのだ。


「その点……まぁ、あの子は正に貴族の子息としては理想的、なのかな」


 実力や経験はまだ若いから無理だとしても、決断力と覚悟を決める胆力は、年相応より少し上程度には持ち合わせている。将来有望、と言って差し支えないだろう。


「…………(ジー)」

「とは、思うけど……猪突猛進過ぎない、アレは」


 敵対認定からの警戒態勢に持っていくのがいくらなんでも早すぎる。いや、もちろん挨拶とかはちゃんと返してくれた……うん、返してはくれた。


『あ、おはようアレウス。その、昨日はよく眠れた、かしら?』

『おはようございます。はい。良く眠れました。ではこれで』


 歓迎会(全カット)はまぁ、終始何事もなく進んだので良かったと思って機嫌も直ってるかなとか思ってたらこれである。ツンツンしとった。むっちゃツンツンしとった。


「そりゃむりだよねー、かんぜんにせくはらおばさんだったもんね……うう」


 和らいでくれるのをあわよくばと思っていたが。はい、無理でした。

 そうなのである。彼との態度が改善するまで、私は、この子の鋭すぎる観察の視線にバッチリ耐えなければならない訳だ。はーーーーーーーー…………じんどい。


「視線で人が殺せるってのも、あながち間違いじゃないなぁ……」


 私自身、悪いことしたという自覚はある。しかしながら、あの視線を受けているとそれ以上に自分が重罪人に思えてくるのである。とてもしんどい。


「……とはいえ、半分以上は自業自得だ。ここは冷静に我慢して」

「――こら、アレウス」


 ……とはいえ、絶望的、というだけでもない。


「あ、アメリア……姉さま」

「なんてかおでお姉さまを見ているの。まるでにらんでいるみたいじゃない……もう、きのうよりすごい顔よ?」


 こうやって、アレウスが私を睨んでいる時に、アメリアがどんどこ彼を連れてっていくことが多い。彼女も彼女なりに、彼と仲良くしようとしているということなのだが……今日はちょっと様子が違うな?


「で、でも、ですね。アメリア、姉さま」

「言いわけはゆるしませんよ。あまりお姉さまをこまらせてはいけません……気づかれてないとでもおもっていたのですか? ねぇ、お姉さま?」


 ……成程、私が何か言っても、多分聞く耳持たないだろうなと思って放置の予定だったが、私じゃなくてアメリアの言葉だったら聞く。そりゃそうだろうな、多分私の分の好感度もアメリアに行ってるし。


「んー……まぁ、ねぇ」

「あ……気づいて、いらっしゃったんですか」

「えぇ。あんなに熱い視線で見つめられれば、誰でもね。良いのよ、気になんてしないわ」


 まあ気づいていないフリをしていただけともいう。


「ほら。いい、アレウス。たいこうけにきたからには、あなたの姉は、わたしと、お姉さまよ。ちゃんとお姉さまをうやまうことをわすれないようにしなさい。お姉さまはなさけぶかいから、ゆるしてくださっているのよ?」

「……はい」


 うーんちゃんと注意してくれるのはありがたいけど明らかに不機嫌になってるのは気のせいだろうかっていうか明らかに私を睨んでるよねコレは。


「……あっ」


 この構図! あれだ、優しい人にバレないように自分を陥れようとしている意地悪な奴的なアレだ!? って言うかそれにしか見えねぇ!? い、いやまって私にそんな意図は一切ないんです!


「ぐぬぬ」

「あわわわわわわ……」


 た、大変だ! いやこれは完全な偶然だけど……いやむしろ偶然に殺される!? 誰かが意図してやったとかならまだしも、不運オンリーで死亡フラグ立って死ぬとか納得いかんわ!


「あっっ、その、んべ、アメリア! いいのよ本当気にしてないからあんまりね」

「いいえ! アレウスにはリッパなしんしになってもらいたいのです、ちゃんとこういうところはしっかりとですね!」


 あーだめだこれはアメリアは真面目で律儀な子だけどこういう場合は……いや、裏目にでるほうがおかしいんだけどさ! いやぁ私が不真面目っていうのが見事にマイナスになったねぇ!


「ハハ……悪運、尽きて来たのかね……」


 最近、ご都合主義的な展開に恵まれてたという自覚はありました。はい。


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