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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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あの世って案外良いとこ、一度は……

「こんにちは、アレウス。アメリアよ!」


 アメリアすごい気合入ってるね新作のゴスロリドレス(三着目)着ちゃってカラスっぽいアレンジが特徴でちょっとワイルドチックなのが小悪魔味かもしだしてていいねうん。


「こ、こんにちは。アメリアさん……」

「アメリアさん、じゃなくて、お姉さま、か、姉さま! これから、あなたはわたしたちのかぞくになるんだから!」


 わぁあああアメリアさん力強いなぁ別の家に貰われるって色々バッドな気分になっているであろうアレウス君に対しこのごり押し具合子供の無垢さゆえかなはははははは。


「それで、こっちがわたしのお姉さまの……いやぁ!? お姉さまがしろめに!?」

「あの、えっと、へ?」


 あ、ごめん話進めといて……ちょっと前世の爺様と今囲碁打ってるから……あれ、上手いこと行かないもんだなこれ、爺ちゃん手加減してよぉ……あぁ圧倒的な実力差、年の功って奴ですかねぇ。




「お姉さま、しっかりなさってください!」

「うん、そうね。ありがとう、ちょっと現実逃避極めて冥府まで旅をね」

「なにをおっしゃっているんですか……?」


 メタリアさんにもわからない。はい。現世に戻ってくるのに暫くかかったわ……いやぁトラウマ現世と暖かい冥府で最後まで迷っちまったよ……


「えっと、メタリア、姉さま?」

「あっはい大丈夫よホント、大丈夫だから。気にしないで」

「あの、アメリアさん、メタリアさんは姉さまとよばれるのをいやがっているように」

「いいえちがうわお姉さまだいじょうぶですか、おかおまっさおですよ!?」


 さて、大人の皆さまはアレウスとの顔合わせを終えたようで、今は付き添いで来たダリアさんとのお話し合いをしているようです。私たち子ども組は、アレウスと色々わちゃわちゃしてろって事のようだ。


「お姉さま! アレウスがこんわくしていますわ!」

「分かってる、ホント分かってるんだけどさ…‥」


 まあそんな中での私の心境をアメリアちゃんに理解しろってったって無理だけどさ、私にとっちゃトラウマの少年な訳よ、そりゃリラックスして余裕持って対応ってったって無理よ……だ、だがお父様からの指令もある。ビビってばっかりも居られない。


「よし! もう大丈夫」

「ほんとうですか……?」


 うん、多分平気だよ。いや、平気だと思い込むんだよ!


「さ、さぁ待たせちゃってごめんなさい。逝きましょうか」

「ヒィッ!?」

「やっぱりダメですぅ!? おかおが、なんか、こう、おめんみたいです!」


 それあれかな、私の顔から表情が消失しているって事かなぁ……恐怖と義務感と『いや幾ら何でもこんなか弱いおショタにここまでビビるのは精神成人としては色々ダメなんじゃねぇかな』っていう三つの要素の間で生まれた奇跡の無表情なんじゃないかな。




「あ、あの……アメリアさん」

「なにかしら?」

「メタリアさんは、その、だいじょうぶなんでしょうか……」

「ダメだとおもいます……」


 はっはっはっはっはっ、自分でも分かるぜ自分の表情筋が仕事しすぎて一切の仕事を投げ捨てている様に見えてしまうんだね。


「だいじょうぶよ二人とも、私は酷く冷静よ」

「あのすいせんお姉さま、それおこっているひとがいうことばなんじゃ」


 いや冷静なのは確かなのよ。怒る余裕なんざカケラも残ってないし。というかその余裕もトラウマが現実になりかねないという恐怖の状態を耐えてるんだよ。いやそうなるとも限らないけど、でも胸の内で怯えるくらい許して?


「あ、あのやっぱりボクごめいわくなんじゃ」

「い、いいえそんなことないわ、だいじょうぶよ」

「大丈夫ダイジョウブだからね、あ、ここがお父様の書斎よ」

「あ、はい」


 ふくくく、動揺で精神がボロボロになっていたとしてもそれでもちゃんと案内くらいは出来るのだ。これが二番目と三番目の思考から来る奇跡的な動きだ。


「……うぅ、こわいよぉ。ふぅう」

「アレウス、おちついて、だいじょうぶだから」


 挙動としてはロボットに近いよね。だからまぁ、すいません怯えさせて。そりゃ人間そっくりな人形っぽい人間なんて気持ち悪いよね。うん。


「さー次行きましょうかどんどんゴーゴー」


 でもこのスタンスは崩せないのよ、ゴメンね。というかこのスタンス崩したらマジで足の震えが全身に至っていよいよ挙動不審になるからねぇ……


「お、お姉さま」

「ん? どしたのアメリア? 私に何かご用? 私は何も問題ないし平気よ」

「あぁいえ、そうじゃなくて……おかおがこわいと、アレウスがおびえています。あんないはわたしがしますから、その……ぐあいがよろしくないのであれば、おへやで休まれた方が」


 あっまさかの戦力外通告……? いや、その、なんだろう……本来この家に精通しているのは私の筈なのに……くそ、私の個人的な前世からのトラウマが……


「……うん。分かったわ、後は任せるわね」

「はい、お姉さまも、その、お気をつけて」


 ……良し、部屋に帰ろう……まーだ表情筋が仕事しすぎて無表情だよ、部屋に戻ったら顔にマッサージでもして、表情筋解そうかな……あ、頬の上あたりがつった痛い痛い。マッサージ必須ですねこれ。


「このトラウマは、ほんと克服せんといかんかな……」


表情筋はフル稼動させる逆に無表情になる、あると思います。

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