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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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我が盾となれ! ロイ君!

「待って、待ってくださいお父様、殺さないでください」

「えっなんで!? 待って、私何かしたかな!? 今殺気とか放っちゃった!?」


 違います。そんな事はしてませんけど……いや、下手するとそれより酷いかもしれん。


「だ、だってウチの国で一等古い組織が諸々の黒幕で、それを私の頼み事の本題に入る前にするって事は……!」

「あっ、あぁぁぁそういう事ね!? いや大丈夫、なんか荒事させるとかそういう事はさせないからソファの裏から出て来て、隠れないで?! あとそちらの忠犬も殺気は止して! 剣に手をかけないで!」

「いかに旦那様とて、お嬢様にそのような無体を押し付けるのならば……!」


 ほんと、いじめない? いつしんでもおかしくないようなムチャをおしつけない?


「もう言葉にしなくても分かるなぁ……そんな酷い事しないから、大丈夫だから、出て来てお願い! あの、本当にごめん! あとロイ君を止めて!」

「うぅ……お父様、本当怖いからやめてください……ロイ、もう大丈夫よ。ありがとう」

「……承知しました」


 とはいえロイ君居なかったらマジで逃げ出すレベルの脳内警報鳴ってたよ。本当、マジで自分の墓を掘らねばならんのかと思っちゃった……あ、そうそう。私の後ろからは離れんといてね?


「誤解を招く言い方したね……大丈夫、危ない事はさせないから。だからもう少し話を聞いてくれないかな」

「わ、わかりました」


 うーこえぇ、っていうかそんな重要組織がウチと対立してるとか……え待って、これほぼ内戦状態? 実際に戦になってないだけって事? コワッ!


「……シュレク王子が王子だと嫌な人がいる、とメトランには説明したけど、覚えているかい、メタリア」

「あ、はい。それが気に入らないから、お父様に嫌がらせをしたんですよね」

「そうだ。そして、そんな人たちが沢山いるのが、赤狼騎士団で、彼らはシュレク王子を守ろうとする私と敵対している」


 ほうほう。成る程。それが何故かは知らんけど、大多数がそうだから、全体としての方向もそうなってる、って事かな。


「これまでは、あまり大きな喧嘩や言い合いをしてはこなかったんだけど……けどこの前のお母さんの誘拐で、いよいよ向こうから火蓋を切って来た」


 ……その赤狼騎士団がどんなのかは知らんが、正直憐れみはする。シュレクの件が一応ひと段落した後であっても、お父様はここまでブチ切れてる。あのお父様をここまで怒らせて、正直勝ち目なんてないと思うんだよな。私的には。


「まぁ、それはも分かる。向こうと私……というより、私の動かせる全てとは、殆ど力の差はないからね、どっちから仕掛けるかという話になれば、向こうとなるだろう」


 えっっっっっっっっっっっっっ? マジモードのお父様と互角なんその騎士団。ヤバヤバじゃない?エグ過ぎクソ強じゃん。王国古株の意地って奴? 怖〜?


「……どしたの、そんなに顔を青ざめさせて」

「いえ、なんでもございません」

「うーん、そうかい? それならいいんだけど……」


 というかお父様そんなんと敵対してたって事? そりゃ疲れもするしウチにシュレクを匿いもするわ……全力出し切るために、後顧の憂いは断ちたかったんだな。


「シュレク王子との一件の間もずっと小競り合いを続け……ついに、その一件では私に軍配が上がった。正直、ギリギリだったよ……手古摺らせてくれて、本当に……」

「ひっ!?」


 こわっ! あ、あしふるえ……と、とまんない。なんか、へんなあせ。やば。いきもくるしい、う、もうだめ、めが、かすんで……


「っメタリア! し、しまった! 殺気が溢れてしまっていたか!」

「お嬢様! 御免!」

「うっ」


 背中に衝撃! は、あぶねぇ。マジで三途の川が見えた気がした……こ、これが本物の迫力ってやつか! 狸親父やらチンピラやらとは格が違う……


「ロ、ロイ。ありがとう……助かったわ」

「ご無事で何よりでございます。旦那様、お嬢様は未だお若い身である事を忘れてはいけません!」

「す、すまない。疲れて居たせいか気が抜けてしまった……やっぱりこういう面は見せちゃいけないな……」


 まぁ、そりゃワザとじゃないよね。というかワザとだったりしたらそれ標的私かロイ君になっちゃうもんね。


「お、お父様もお疲れなのですね……心中お察しいたします」

「あぁそんな事言いながら下がらないで! ソファの後ろに隠れないで!? ロイ君の後ろから覗かないで! 怯えさせちゃってごめん!」


 あ、ロイ君大丈夫、立ってくれてるだけでいいから、ガッツリ庇わなくて大丈夫よ? あのいや、ちょっと距離離させてくださいお父様。私、お父様の本気に耐えられるほどしなやかで強い心ではございませんので。


「うぅ、どうしてこう私って……大丈夫、大丈夫、お父さん、怖くないヨ~?」

「……ホントに?」


 さっきみたいに迫力だけで生命活動停止に追い込んだりしない?


「ホントだって! お父さんはメタリアをいじめるような事はしない!」

「……分かりました」


 閑話休題(仕切り直して)


「さて、まぁ私と彼らとの諸々は一段落したわけだが……しかし、私と彼ら、そしてシュレク王子が残っている限り、この小競り合いはまた起きる。だからと言って、赤狼騎士団を皆潰すまで全面闘争……なんてしたら、夥しい血が流れるだけ……そこで、だ」


 あ、駒を弾いて……緑の面だ。


「私が目を付けたのは、王国防衛の任に着く立場上、大公側にも赤狼側にも与せず、あくまで王国の守護を目的に中立を保った緑鷲騎士団だ。彼らを味方に付けることが出来れば、向こうも迂闊な手出しは控えるようになるのでは、と」


 おー、なるほど。王宮で争う大公と騎士団、その戦の趨勢を決める、第三の勢力。スゲェそれっぽい。いや、ぽいというか、そのものなんだけどさ。


「だが緑鷲だって私の味方という訳じゃない。私が協力してくれと、真正面から言ってもあまりいい顔はされないだろう……そこで、最近緑鷲内で力を付けているダリア君と組んで、ある計画を実行したんだ」

「ある計画?」

「そう……緑鷲を、無理やりこちらに引き込む荒業さ」


 うぅむ。こういう時、お母様がどうしてお父様を選んだのかが、わかる気がする。貴族らしくもない自由恋愛、その対象にお父様が選ばれたのは……


「養子縁組、って知ってるかい、メタリア」


 こうやって時々見せる、不敵、大胆、そして知的、それを纏めて表したような気障だが釣られてしまう魅力のあるこの笑顔……ちょっとまってなんだって?

普段の相棒はアメリア、対処しきれない荒事時の相棒はロイ君、共犯者がシュレク、こんな感じです。

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