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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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私だって友人位いるわぁ!

 さて、対策二。


「とりあえず、アメリアをもっと知る」


 彼を知り己を知れば百戦危うからずと昔の偉い人も言ってた! あんま知らんので効用は半分くらい。兎も角情報を頑張って集め、集め……集めっ……!


「あ、あつめ、られん……っ」


 最終的に、自室の絨毯に膝を付いた。私は六歳間近の幼子ぞ? 外出が許されると思うてか? いやありえん、アメリアのいる菓子店に行くとか言ったら、お父様が卒倒する。


「だからと言って行き先を伝えない……のは問題外。無理だ」


 ど、どうする。ここで諦めたら追放ルートに確実に一歩近づくんだぞ、思い出せ、思い出すんだっ!


「だ、誰か、誰か頼れる友人を、だれか……」


 思考を回すんだ私、腐っても大公家令嬢ぞ、顔見せやら淑女の嗜みやらで、四歳の誕生日の頃から社交界デビューしてんだ。あるはず、その何処かに、解決できる糸口が……


「あっ」


 居た、思い浮かんだ、勝った!




三日後である。妹来襲までそう長くはない今、今日がウチ主催の園覧会の日で本当に助かった、彼女も丁度来ている。まぁ、ウチの庭が見事ってのもあるよ? 何せ、千にも及ぼうかというバラの数、多分私的に所有する庭園の中では最大規模じゃないかな。


「えっと……あっ」


ま、彼女の一番の目的は私だろうけどね……おやおや、生垣の壁からひっこり顔をのぞかせた少女と目が合ったゾォ、ああくそ、もちもち桃色ほっぺと、ブロンドシニヨンが相変わらず愛らしい、抱きしめたい。


「ベスティ!」

「メタリィ! こんにちは!」

「えぇこんにちは、わたしのたいせつなおともだち!」


 ベスティーエーゼ・オディナ・ローパルト。都の守護を担当する、侯爵家……の分家筋の男爵家長女。私のお友達の一人。四歳の頃、同じ年頃の友人をと、お母さまに紹介されたのが交流の始まりだ。


「おとうさまとおかあさまはおげんき?」

「うん! きょうは、おとうさまがベスティをおうまさんにのせてつれてきてくれたの」

「そう!」


 そう。このベスティのお父様。彼が重要。

侯爵家が組織する都の守護隊の、一番隊総長。ローパルト男爵家は、都の守護の花形として名高いのである。


「ね、ベスティ。きょうはね、そんなりっぱな、あなたのおとうさまに、きいてほしいことがあるの」

「きいてほしいこと?」

「そうなの。おともだちから、この……メトランっていうおかしやさんがとてもおいしかったってきいて、いってみたいのだけど、いくのをゆるしてくれなくて」

「うん」


友達に教えて貰ったというのは嘘だが、行くのを許してくれないというのは、予測ではあるが、お父様は言いそうだよねぇ。実際には言ってないけど。あ、メトランっていうのは主人公の実家、菓子店の名前ね。


「それで、ベスティのおとうさまに、メトラン、というおみせのこと、くわしくおしえてほしいっておねがいしてほしいの。ベスティのおとうさまは、まちのことにとてもくわしいと聞いたわ」

「うん! おとうさまは、じょーかまちのばんにん? だもん! まちのことなら、なんでもしってるよ!」

「でしょう!」


 すっごい頼もしい。そしてドヤ顔可愛い。このやろう、可愛がってやろうかあぁん? 精神年齢オバハンを舐めんなよ?


「そんな、あなたのおとうさまのおちからをかりたいの! ベスティ、ね、おねがい」

「メタリィのおねがいならいいわ! そのかわり、きょうはいっぱいあそびましょうね!」

「えぇ! もちろん!」


 しゃおらあっ! やった! 何も出来ずに終わらずに済んだ!

 よーし、持つべきは良き友人、つくづく恵まれているというか。いやまてよ、今更だが、幼い頃から付き合いがある、仲の良い友人って事は……ベスティが、私の巻き添えになる可能性、アリ。

 させぬ、守る。この、この笑顔だけは曇らせてはならぬ……!


「ならぬ……」

「ならぬ?」

「ならぬー!」


 たーのしー! ベスティと脳みそ溶かして遊ぶのたーのしー! もう嫌な可能性なんて忘れて踊ろうちょっと! したことでルンルン気分で踊りまわってしまう。貴族だって、五歳児はこんなもんだー! 精神年齢何歳だって? しばくぞ。


「こらベスティ、あまりはしゃいではいけないよ」

「あ、お父様」


 なにゅっ!?


「ご機嫌麗しゅう、メタリア嬢。娘の相手をしていただき、感謝を」

「ご、ごきげんうるわしゅう、ダリアさま」


 びっくりしたぁ……神出鬼没でびっくり。

 それにしても、オォ、警邏中の時も見たけど、相変わらず、顎髭と口髭が生えるいぶし銀系のイケメンだ、ダリア様。これが街中を鎧姿で警邏してるんだから、映えるよねぇ。


「おとうさま! メタリィがね、メタリィがね!」

「あぁ。聞いていたよ。メトラン、というお菓子屋さんだったね」


 えっ、まじで。今の会話聞いてたん? 凄いやん、どっから聞いてたんだろ。メタリア分かんない。


「そのお店なら、私も訪問した事があります」

「ほ、ほんとうですか!」

「はい。中々美味しい菓子でした。ベスティも、そこのクリームパイに目を丸くしていましたよ」

「あーっ、あのおみせ!? うん、とってもおいしかったよ、クリームパイ!」


 おぉ、ベスティも知っているほどの店。男爵家の舌をも唸らせる技術とは、アメリア母の実力、侮りがたし。


「あと、その菓子屋にも娘がいましてな、ちょうど、貴方ぐらいの年でした。平民の娘とは思えぬ程礼儀正しく、丁寧な物腰だったので、覚えていましたよ」

「!」


 おーっと想像外の有力情報! マジか、都の守護を担当する程のお方から見ても礼儀正しいと言えるレベルの作法……これアレか、アメリアのお母さんは、万が一の事を、もう考えているってことだろうか。


「大公閣下がなぜその店をそこまで警戒なされているのかは存じ上げませんが……私としては、おすすめの店である、とだけ、お伝えください」

「あ……はい! ありがとうございます!」


 うわぁ、さり気ない援護射撃。大公にだって自分の名が通じるって、良く分かってるから言えるんだなぁこう言う事。ニヒルな笑顔がよくお似合いで……でもどうしてお父様がそう言ってるって思ったんだろ、


「ふふ、では娘をよろしくお願いいたします。私は大公妃様にご挨拶をしてまいりますので、ここで。それでは」

「あ、ありがとうございます、だんしゃくさま!」


 うわかっこいい、なんなの去り際のちょいワルスマイル。イケオジムーヴが過ぎる。こういう権力に媚びるでもなく、けど上手にやっていくおじ様好き。


「……かぁっこいいねぇ、だんしゃくさま」

「うん! じまんのおとうさまだもん!」

「あーもうベスティもかわいい、メタリィほんきだしちゃうよぉ」

「きゃーっ! ひっぱらないでめたりぃぃぃぃぃい!」


 カッコよさと可愛さのギャップとレベルの高さでオーバーフロー、よーし花園連れまわしちゃうぞー! 主人公ちゃんの優秀さをちょっと垣間見て、私がないがしろにされる未来が見えたから不安になった、とかは無いから!

 な い か ら!


仲の良い女子の友人、それすなわち、悪役令嬢モノおいては取り巻き候補という事が多いです。

この子? この子はなりませんよ、こんな良い子が、ねぇ?


追記:ミスに気が付いて修正。五と四間違えるとか馬鹿なんでしょうか私……

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