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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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極端って実は意外にキャラ付けしにくい

「……」

「おねえさま?」

「ったく、私の可愛い妹困らせないでください。年上でしょうが、手本見せるくらいの勢いで行ってください。こっちに来る来ないは、自分で判別できるでしょ」


 さっきからマイペースを地で行くみたいな喋り方してくれて、年下、しかも私のかわゆい妹ちゃんにまで迷惑かけるとか、王族だからって好き勝手しとんのとちゃうぞオラァ! 大公家令嬢舐めんなオラァ! 悪役令嬢候補さまだぞコラァッ!


「……予想していたよりも、三倍近くの言の葉、良く回る口だな」

「そりゃどうも。私、これでもおしゃべりな方ですから、貴方みたいに口が足りないのよりは、随分マシだと思いますが?」

「……」


 なんだ目を丸くしやがって、驚いてんのか? 私の口の悪さに。言っとくがなぁ、私にビビるとか、怖気づくだとかの、お淑やかさを期待するんじゃねいよ!


「口が足りない。しゃべっているつもりではあるが」

「会話が下手すぎるんですよ。さっきみたいに自分だけ完結してたら会話の意味ないでしょうが。安心してくれじゃなくて、どうしてそんなん聞いたか、聞かれたら『話したくないからごめん』とか、『これこれこういう理由だ』みたいにちゃんとアンサーをよこせヒューマン。後もうちょい感情こめろ」


 関係ないから安心してくれ、だけで会話打ち切るとか、しゃべれるコミュ障かあんた。一番タチ悪いぞそれ。


「感情と思考を投げ捨てたその態度が、会話の不足を加速させてるんじゃないですか」

「おねえさまおねえさま! そ、そんなけんかでもするみたいないいかた、きゅうに……」

「無理ね。ちゃんと話すようにしてもらわないと」


 こっからしばらくは一緒に生活するんだ。その間ずっとこの人がこんなんだったらわたしゃストレスでおかしくなってしまうわい。人見知りっていうなら話は別だろうけど、そうでもないなら『察してください』的な言葉足らずは許さん。


「という事で、こっちに来るか来ないかは、そちらで判断を!」

「……そうか。では、そちらに行かせてもらう。近くで話をした方が効率がいいだろうから」


 よし。それでいい。


「ちゃんと、ご自分で判断して動いてくださいな。王宮ではそれが普通だったのかもしれませんけど、ここは王宮とは違うのです。違いもある事、ご理解ください」

「なるほど。それは道理だ。従うとしよう」


 ちゃんと理解できてるかは分からんけど……ま、ダメそうならその都度言うか。二、三回くらい言えば、どんなバカだって覚えるでしょう。




「メタリア、先程から話をしていて思ったのだが、いつか確実に身を滅ぼすのが見えているような口の回り方、俺にはとても真似は出来ない技だ。賞賛させてほしい、見事だ」

「おっ、ありがとうございます? 戦争ですか王子さま?」

「おねえさまのめが、めがあかくひかってる!?」


 限度をしれ(半ギレ)。さっきまで会話打ち切り思考停止マンだったのが、喋り出したらど失礼製造機になってんじゃねーよ。さっきから毎秒喧嘩売ってんのかこの王子。真顔でナチュラルに罵倒されたらイラっと来るわ。


「戦争……喧嘩ということか? 闘いになるかは甚だ疑問ではあるが、望むのであれば相手をするのに否やはない」

「上等ですわよこの正直者、女の子だってやってやれない事はないのを見せてやる」

「お、おねえさま、さすがにドレスでけんかというのはおしとやかにかけます!」


 ええい離してくれアメリア、あのスカした面に一発叩き込んでやらねばもう収まりつかないんだよ、だいぶ端折ったけど、だいぶ失礼だったよ。えぇ? 獣にも匹敵する野性とか、女子への褒め言葉と違うぞ?


「む、アメリアの言う通りではあるな。そのドレスを着ていては、ただでさえ不利なお前に、ハンデが付き過ぎてしまう。流石に少し憂慮すべきではある」

「お、ナチュラルに煽るじゃないの、私は羽虫以下か、オッケェ」

「シュ、シュレクさま、その、おねえさまをおこらせるのは、その!」


 しばらく会話して分かったが。こいつアレなんだよ、加減を知らないだけだ。一言二言足りないから、ど失礼にすぎるまで一気に舵切るとかそうじゃなきゃ出来ないわ。


「メタリアに対して下手な遠慮は逆に失礼だと、しばらく会話して思ったからな。正直に言葉をかける事にした。ふむ、こうして会話をし理解する重要さを知らねば、これから大公の縁者にも迷惑をかけるところだった。ありがとう」

「どういたしまして。王子様がそうして大切な事を間違えないでいてくれて、私も嬉しいですよ。それはそれとして戦争は続行ですが」

「おねえさま、ダメですって!」


 ええい、離せアメリア! こいつとは、こいつとは一度決着をだなぁ!


「にゅおおおおおおお」

「ふにゅにゅにゅにゅにゅにゅにゅ!」

「……来ないのか?」

「上等だ、行ってやんよこの野郎ぅぅぅぅうおおおおおおおんぬ」

「シュレクさま、おねがいします、あおらないでください!」

「煽っているつもりはないのだが」


 この、このナチュラルド失礼がぁああああああ!




「おねえさま、おねえさまはいちいちおこりすぎです」

「はい……」


 なんか、すみません。いやほんと、本当に申し訳ない。冷静さを致命的なまでに失っておりました。なんだろうね、テンションおかしかったのよ。


「アメリア、メタリアに罪はない。俺の言葉が真実であるがゆえに、そちらも真剣に応えてくれたのだろう。むしろ、俺は感謝したいとすら考えている」

「シュレクさまは、しばしおとなしくなさってください! またおねえさまがふんかしてしまいます!」

「……わかった」


なおボス猿が新入りに勝てるとは限りません。

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