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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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ゴリラ系転生者特有のマウント取り思考

「じゃあメタリア、アメリア、お父さん達は、他に詰める話もあるから……具体的にはメトランに詳しい説明と、ルシエラからの説教と、後ロイヤルガードさんとの諸々と……まぁ、要するに詰めなきゃいけない事が沢山あるからシュレク様と待っていてねぇええええええええ」


  そう言い残して、お父様はお母様二人に首根っこを掴まれて引きずられていきました。貴族様でもこんなライトノベルちっくなメロドラ展開するんですね。


「……うん、そんな事はないだろうけど」


 まあ、どうせお説教ですよね……とか現実逃避するのも限界、まさかのスーパーロイヤルのお相手とか。はー無茶。無茶寄りの無茶。私に何をしろと。


「……あー」


 ちら、と見る。今ソファにゆっくり腰掛けたのは、横顔で分かる、ビビるほどの美少年だ。ショートヘアの小顔でもう、この状態で八頭身くらいあるんじゃないかと錯覚しそうになる。全く表情変えない無表情キャラだけど、全く気に……いやそれは気になるけど。


「それを含めても、十分な美形と申しますか……」


 っていうか、乙女ゲーの王子ってのは、本編に出ていない人でも限界までイケメンじゃいけないという法則でもあんのか? って言うか、私の私見だが、多分本編のイケメンよりも……ああいやそれはともかく。


「あの、おねえさま……」

「お父様を後でしばきましょうアメリア、正式な姉妹二人の初めての共同作戦ね」

「し、しまいのはじめての……わかりましたおねえさま、がんばりましょう!」


 なんかこの家に来てからアメリア宥めてばっかりだなぁ……いや、初めて会った時とかさ、お母様救出作戦の時とかさ、爆発力があるのは分かってるんだけど、こういう普段は普通の女の子なんだよなぁ……ちら。


「…………」

「あ、あの……」


 分かってるよアメリア、現実逃避してても気づいてるよ。王子様さっきからひとっことも喋らないし、ずっと真顔だから思考も読めないのよ……シュレク様。ち、畜生。この私が怯えているだと!? 主人公以外に!? 


「舐めるなよ……一歩、一歩踏み込めばいいだけなんだ……私を誰と心得る……大公が令嬢、メタリア様だぞ……!」

「おねえさま!? おかお、おかおがこわいです!」


 今の私は麻雀で無頼漢と渡り合った老獪な男の如き顔をしているだろう……はい、すいません要するに追い詰められております。

 だ、だが私がここで怯えれば……いや多分どうなるもんでもないけど。


「だが……引かぬ、引けぬ……意地を通せば道理が引っ込」

「メタリア、と言ったか」

「んバリティン!?」


 し、しまった! 機先を制された! さすがは王族、舌戦においては圧倒的なアドバンテージを誇るか……! って言うかまずこっちを見ろよ、会話をしたいなら目と目と合わせて幸せ〜、しろや。


「そう硬くならずとも大丈夫だ。楽にしても問題はないと思う」


 いや。いやあんた、こうなってんのはしょうが無いんだよ。私の事情抜きしてもアンタ王族よ? 楽にしろって言われたからって言って全力で気は抜けんでしょうが。ほら、アメリアなんてもうガッチガチだよ。


「取り繕うつもりがあるなら、そうしなくても構わない。()()()()が素なのだろう」

「っ!?」


 まじかよ、やべえ。小声アンド早口の独り言(素)を聞き取っていただと……耳が難聴じゃないのは強キャラの証、それに無表情とか有能の基本スペックじゃないか、やばいぞこの王子……

 って、あれれ? さらっと思考まで読まれてない? 取り繕って居る様には見せてませんよ?


「……愉快とか言っている割には、笑っているようには見えませんけど。つーかさっきから顔色一切変わっておりませんわよ」


 畜生、なんかやられっぱなしは癪だからなんか、なんか嫌味っぽいことでも言ってやんぞコラ……とかやってると完全に私悪役の、しかも序盤にやられる微妙に強い三下ボスにしか見えないなぁ。


「…………………」


 んだ、どうしてこっちを見る。なんだ、なんだよ。なんなんだよコラァ!? って言うかなんか喋りなさいよ、ガン黙りで見つめるだけとか言う意味深なことしないで?


「そうは見えないか」


 へ? 


「えぇ、まぁ、見えませんけど……それがなにか?」

「そうか、笑っているように見えないか、そうか……なるほど」


 いや、なんなんだよ。何がしたかったんだよアンタ。言いなさいよ、気になるでしょうが。っていうか自分だけで納得するのをスタァアアアアップ!


「参考になった。礼を言わせてくれ。ありがとう」

「あ、はい……そうですか」

「あぁ」


 あぁ……っじゃねえわ! 意味深な態度を取るだけ取って言うだけ言って会話と相手を放置するんじゃねえぞオラァ! 一言どころか大部分ごっそり抜けてんだよ、なんの参考になったんだよぉ!


「あ、あのすみません。それはいったいどういう意味なんでしょうか……?」

「お前が気にするべき事柄ではないから安心してくれ」


 言え、話せ、自分だけ勝手に納得しとんのとちゃうぞぉ!? あれか、若い子の流行りなのか!?


「あ、あの……シュレク、さま」

「どうした」


 あ。アメリアガチガチモード無事脱却。さすが主人公、元一般人だと言うのに王族にもそう簡単には怯まない、さすが! 私じゃ若い子の話にはついていけんみたいだから、頼む! ここで突破口を……!


「そちらにひとりでいないで、おはなしするなら、こちらにいっしょにすわりませんか? おひとりでは、なんというか、さびしそうですよ」


 ……あっ、待ってアメリアそれは人によってはブチ切れる原因になっちゃうよ、自ら孤高を背負ってるタイプと孤高を背負って内心泣いているタイプはそれを言われると烈火の如く怒り出す場合があるから、待ってこれ大丈夫かな?!


「どう、でしょうか」

「来いというのであれば俺は直ぐにでもそちらに赴こう。どうすればいい」

「……ええっとその……おねえさま、きてくださいっていったほうがいいんでしょうか!」

「アメリア、大丈夫よ、困惑しなくても。今のは向こうが明らかにおかしいから」


 アメリアが空気を読もうとするいい子なのはわかったが……おいこら王子、あんた自分の意思ってのは存在せんのか! 判断を他人に委ねんな、しかもこっちは……いや、大して年変わらんけど……あーもう面倒くさっ!

 喋らない、意思を示さない、こんなん面倒臭い以外の何物でもないぞ!


「王子」

「どうした。俺はそちらに赴いた方が良いのか」

「自分で考えてください。何自分より年下に判断委ねてんですか、思考死んでるんですか」


 もう王族とか関係あるか! お説教パートじゃあ!


ボス猿って、新しく加わった仲間に対して、上下関係を教え込むじゃないですか。

アレです。

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