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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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サイコパス@王宮の皆様

「長子? シュレク様、が?」

「そうだ」


 第一王位継承者とは……年功序列とは……王家とは……はっ、イカンイカン世界の真理に至りそうになってしまった。それは兎も角、まぁメトランさんの気持ちは分からんでもない。聞いた事もないぞそんなスットコドッコイな事態。


「え、でも第一王位継承者は……」

「ディラン様だ。その様に、王家で決まっている。嘘偽りはない。ディラン様は、シュレク様の一つ下の弟君だが、第一王位継承者に選ばれた」


 不思議な話だ。なんでそんな事になってしまったんだろうか。


「まあ、そこらへんの理由は今回の一件とは直接は関わりはないから、置いておくとして……」


 あ、そこは関係ないんですか。そうでっか。すっごい気になるんだけど。ねぇ、そこらへん重要だったりしない? 大丈夫? 私が気にしても仕方ない……いやこの場合気にさせてくださいません? すっごい重要そうな出来事に見えますけど!


「問題は、その体制が決まった事によって出来た、歪みにある」

「歪み……」

「そうだ。長子ではない第一王位継承者、長子でありながら第三王位継承者……双方ともに、当然ながら前例は存在しない……王宮内でも、意見は割れた」


 うっわ、お父様の顔色ひっどい。土気色とかそんなんだよあれ……


「おとうさま、すごいかおいろ……だいじょうぶでしょうか」

「思い出すのも厳しい様な事とかあったのかもね」


 仕事帰りのお父さんって、本当に大変なんだなぁ……ってこんなドギツイお仕事をしている我が家のパパが特別なのを忘れてた。世のお父さんと比べたら流石に失礼にあたるか……


「前例のない事態に、私たちも最大限王家の補佐するため動いた。ディラン様にかかり切りにならざるを得ない王家に代わり、微妙な立場にあるシュレク様の守護に、私が着いたのだ」


 というか、待って、それだとおっそろしい想像が出来ちゃうんだけどさ。


「……将来の王家を揺るがしかねない。長子にして第三王位継承者というのは。将来の安定を願って、なんらかの独断専行に走るものが居ないとも限らない。実際、その心配は的中し、シュレク様を狙って送り込まれた刺客を返り討ちにしたことも、多々ある」


 ひええええええぇぇっ!? 怖っ!? サツバツ! そんな王宮のドロドロ展開がいきなり……あ、いやそうでもないのか。おとうさまから見れば、それらと今回のは因果関係にあるわけで……でも私にとっちゃいきなりだね!


「シュレク様をどうにか排除したい奴らにとっては、私は最も邪魔な存在だった。それを確実に始末するために……いよいよ、奴らは手段を選ばなくなった」

「手段を……ま、まさか!」


 うん、私もそこは分かってしまう。要するに、それって……


「そう。そこで話はつながってくる……私を潰す為に、まずは家族を真っ先にを狙い始めた。故に、今回の一件だ」

「そ、そんな……」

「……」


 邪魔な奴を潰そう! だから家族を狙おう! 色々副次的な効果もご期待できるぞ! 発想が控えめに言ってサイコパスで草すら生えないね!

 ほら、隣のアメリアも狂気を直感的に察して顔面真っ青だよ!


「貴族の習いとして……殺し殺されは常だ。しかし、しかし……仮にも王宮に仕える同僚だ、ある程度の礼は失さないと思っていた……慢心だったよ」


 お父様も顔面真っ青だ。狂気って、やっぱり共通する恐怖の素材なんだなぁ……一族命運諸共根切りとかやり方が貴族っていうより蛮族なんだよ!


「正気の沙汰じゃない……」

「メトラン、君の言う通りだよ。人間として、失ってはいけない物を、宮廷内で彼らは失っている。その狂気が……君達を傷つけそうになった……もう一度、謝罪させてくれ。本当に、すまない」


 ……うぅ、見てるこっちまで悲しくなってくる。キッツイ、胃の辺りシクシクくる。いつも優しくて、あんだけ堂々としてたお父様が……


「……それで、なんだが」


 でも、だけど……それでも親父様だって王宮で鳴らしてる実力派だし、これでビビって引き下がるってことはない、よな。そらみろ、もう目の鋭さが違うわ。


「謝罪は、終わった……理由も、話せた。ここからは私が打って出るつもりだ。君たちを巻き込んだことに対する、贖罪も込めて、奴らを叩き潰す」

「あなた……」


 スゲェよ、もう『お前をぶち殺してやる』って言う感じだよ。向こうの狂気に恐れおののいてたお父様が、まさかの狂気を背負う覚悟を決めちゃったよ。大丈夫、それ闇落ちって言わない?


「お、おねえさま、おとうさまっていつもこんなかんじなんですか?」

「いえそれはないから大丈夫。って言うか普段からこんなんだったら私は今よりロクデモナイ性格になっている」


 怯えてるのは分かるけどアメリア、恐ろしいことは言わないでくれ、んなことになったら性格云々よりも、世を儚んで隠居しとるわ。


「……だが、そうなればどうしても守りを疎かにしてしまう。こちらも、そしてシュレク王子に関しても、だ」


 ところで王子様、さっきから屈強なおっちゃん達二人に囲まれて微動だにしてないし喋ってすらいないんだけどさ、どうしたの? ビビってんの? 気持ちは分かるよ、怖いよね、屈強なおっちゃん達に囲まれるの。


「そこで、ここにシュレク王子を連れてきたことが関係してくる……まあ、要するに大事なものは一箇所に集めて、守るのがいいと思ってね」


 一箇所に集めて……えっっっっっつ待って、それってどう言うことお父様うんいや一箇所に集めるってそう言うことだろうねって言う予想はあるけど絶対に当たっては欲しくないのよ今、ただでさえ妻妾同衾の微妙な生活が始まった直後なのよやめてね?


「ヴェリオ、それって」

「シュレク王子を大公領、と言うより私の家に匿う。暫くは……うん、メトラン、微妙な顔はやめて欲しいな、いや、分かるよ、めちゃくちゃデリケートな期間に入った直後にこんな無茶をされるって複雑なのはうんごめん許して!」


 メトランさん、もっと言ってやってくらさい。頼みます。


貴族の方々って手立てを選ばない事が多いそうで……私、初めて貴族様の残酷な面を見た時顔が青ざめました。

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