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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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三級フラグへし折り令嬢

「……うん、さて、えっと、どこまで話したっけ」

「あのお父様、少し休まれた方が……そろそろ、あの、血の量が、あっ、またダバって」

「お、おねえさま、ゆかが、ゆかが!」


 うんそうねアメリア、床赤いね。ベットリとしたのがついて……あ、使用人さんありがとう。でも全然眉一つ動かさないのはなんでなんですかね。慣れてるんですか? あ、アメリア、ドレス汚れちゃうからあんまり近づいちゃだめよー


「そっか、道理で頭がふらつくと……うん、もうこれはダメだね、ルシエラごめん。今日はもう無理だと思うよ」

「……仕方ありませんね」


 いやお母様、仕方なくはないと思います。そのまま放っておくとお父様帰らぬ人になりかねませんし、やめてください、娘の可愛さで暴走したのが死因とか、世の親父さん方が静かに泣くぞ。


「じゃあ、メタリア、アメリア、今日のところは、これで……」

「はー……あっいや」


 忘れてた! アメリアは私と同タイミングで叱られてたから弁解無理やったけど、まだロイ君なら間に合うやんけ! 巻き込んじゃった責任を! 責任を!


「あ、あのお父様、お母様!」

「ん? なんだいメタリア、もうお父さんは視界が揺れてきたんだけど」

「やった張本人の私がいうのもなんですが、この人は限界が近いので休ませであげたいのだけど……正直、予想より血が出てしまって、ちょっと、ね」


 珍しっ!? お母様が動揺してる! っていうかビビってる。あ、いや待てそれは置いておこうか。今は巻き添えにしちまったことに対するリカバリーをだな。


「あの、私を助けてくれた騎士さんは……今、何処に?」

「……ロイ・オーランドの事ですか」

「ホビッ!?」


 め、目が鋭い……怖い! さ、さっきまでちょっとカワイイな、くらい動揺してたのに、いきなりお顔を引き締めるのはおやめください!


「はははははははいっ! あう、そう、そうです。彼は、どうなさっているんですか?」

「メタリア、彼は」


 とか思ってたら、ちょっ、ちょっと、どうしてそこで言葉が詰まるんですかね。やめてよしてまさか命令無視で、厳罰で、まさかの粛清!? 隊律を破ったら厳罰とか早すぎた新選組じゃないんですから! 止しましょうよ!


「ロイ・オーランドは、我が白鯨騎士団に潜り込んだ、敵の一員だったことが判明しました、今、騎士団の詰所で、取り調べを受けています」


 ………………ワッツ!?




 えー、衝撃の告白からダッシュでここまできました。騎士の詰所前です。凄い、あの詰所の扉がこんなに重そうに感じたのは初めてですよ……


「おねえさま……さっきのこと、ほんとうなんでしょうか」

「本当だとしたらビックリ……だけど、それでも放ってはおけないわね」

「おねえさま」


 私はまあ、彼と行動を共にしたわけで、私が知ってる彼は、この奪還作戦に付き合ってもらった時のロイ君だけだ。その後のロイ君は一切知らんわけで。

 で、そのロイ君には、凄まじい無茶をしてもらったわけだ。うん。


「っていうか、裏切り者だとしたらそれ通り越した無茶させてんじゃんかよぉ……」

「おねえさま、すごいかおなさってますね」


 そらそうよ。裏切りに加担するやん、裏切った相手の根城に一緒にカチコミかけるやん、裏切った相手に火をかけるやん、裏切った相手を……細切れにしたり目を抉り取ったり肉を噛みちぎったのは私たち母子でしたね。


「元お仲間になんて真似を……ド鬼畜外道じゃねーか私……」


 こ、これはやばい、裏切り者として処罰とか言語道断じゃねーか! げ、現代日本人のモラル思考があまりにも警報をガンガン鳴らしているっ!


「や、やっばいこれ躊躇ってる場合でもねぇ、突入じゃ!」

「あ、おねえさま、まってください」

「開けて! 開けて、誰か!」


 扉を毎秒幾らの勢いで叩く、いや正確じゃねえな、叩け、ともかくガトリングみたいに叩くんだよ!


「なんだぁ!? 何処の病人だこんなすっ飛んだノックしやがったのはぁ!?」

「私よぉ!」

「お嬢様ぁ、方ぁ!? え、ちょっと待ってくださいなんでこんなとこに」 

「その裏切り者を引き取りに来たんですわぁ! 会わせてくださいな!」


 おっさんの顔が動きを止めた。え、なんでそんな処刑人みたいな無慈悲な表情を? そしてクルッと振り返って……はいけませんよお願いだから止まって???????


「おじさま、ちょっと止まってください!」

「いや、お嬢様何を言ってるんですか……自分で言ってるじゃないですか、危ない相手なんですよ? というか、我々としてはもう二度と会ってほしくない相手ですよ?」

「危ないとかそんなものより私の未来の危機なのよぉおおおおおっ!」

「み、未来!? 白目だし泣いてますし鼻水とかもう色々凄まじいですな!?」

「あの、おねえさまのおねがい、きいてもらえないでしょうか。あのひとにはとてもおせわになったので、せめておれいだけでも、と」


 良し、アメリアちゃんナイス援護!


「ハァァァァア……まっったく、ホントにしょうがない。分かりました。少し、お待ちください」

「よっしゃあああああああナイスアメリア!」

「い、いえ。おねえさまのやくにたてて、うれしいです」

「ああもう可愛い事言ってくれるねぇ!」


 よしゃ、落ち着いたらおやついっぱい奢ったるからなぁ!



「いいですか、絶対に、絶対に牢に近づきすぎてはいけません。いいですか」

「分かったわよ、大丈夫大丈夫」


 さて……あの奥の牢がそうか。しかしここの詰め所、牢屋なんてあっっっっ……


「あぁ……お嬢様、こんにちは」


 ……アカン。なんやここ独房やん、いや、一応最低限に衛生保つ設備はあるけど、それ以外は窓一個にベッドもペタンとしてる……あかん、パンピーよりも酷い生活してる。


「騙していて……申し訳ありませんでした、決して……」

「ウルセェ! アンタは私が引き取る! ()()()()()()()になるんだよ!」

「……へ?」


 恨まれる前に強引に待遇を上げてやるくそったれ、私は生き残りに必死なんだよ……アメリアとの敵対フラグは折れそうな気がしてきたけど、こんな所から発生したランダム死亡フラグには関わってらんないんだよぉ!?



説教とか説得とかじゃなくて勢いと金と権力の力技でフラグをへし折りに行くのは三流のやる事です。皆さんはマネしないようにしましょう。

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