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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
間章:技のゴリラ初等期・休暇
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真剣に聞いてても聞き逃しちゃうやーつ

今日は二話同時投稿なので、前のお話を呼んでいない方はそちらからどうぞ。

 明くる日。二日程すれば、もう出歩いても構わない、と言う結論が出た。寝込んでばっかりだったから、それは嬉しい。二人が来る予定の日にちにも間に合った。


「――メタリア? 聞いていますか?」

「あ、はいお母様。えっとそれで……乗馬の鍛錬の内容でしたっけ」

「えぇ。アメリアには護身の術を教えていますし、折角の機会なので、貴女にも。安心なさい、多少は厳しくもしますが、貴女なら乗り越えられる程度のものでしょう」


 で、そんな日に尋ねて来たのはお母様だった。ご用件は何かといえば、昨日お父様と激論を交わした、乗馬についての事だった。


『あの人に、メタリアにどんな馬であろうと乗りこなせるくらいに、乗馬をキッチリ教え込む様に、と頼まれたので。少々とばかり、腕を振るいます』


 乗馬に関して許可はしてくれたが、心配なのは変わらないので一番信頼できる教師に頼んだって所か。まぁお母様武術に関する事ならほぼ何でもできるお方だしなぁ。荒々しい馬の乗りこなし方、とかだったらこっちの方が詳しいか。


「とはいえ、お友達と遊びたい、というのもあるでしょう。あの仔馬にも回復する時間は必要ですし……始めるのは、次の帰郷の時になりそうですね」

「冬季のお休みですか。ここら辺は比較的暖かい気候ですし、いいですね」


 まぁ夏の眩い日差しの中で、と言うのもいいが。涼しい気候の中で、というのが多分一番集中できるのではないのだろうか。


「という事で。この夏季の間は、実践ではなく、座学、という事になりそうですね」

「え、乗馬に要るんですか座学。体しか使いそうにありませんけど……」

「勘違いしている者も多いですが、乗馬は相応に頭を使う物、馬の体力配分や、疲弊の具合。そう言ったものを僅かな兆しから機敏に感じ取り、走りを御する。その為には相応の知識が必要です」


 はえー……すっごい説得力。なんていうか、お母様のきびきびした話し方から、そう言う風に感じてる部分もあるだろうけど。それ以上に理論がある、って感じが凄い。


「考え無し、勘頼りで動かす乗馬など、真の乗馬ではありません。表面上は上手く乗れていますが、未熟としか言えないお粗末なやり方です。極まれに、全て勘頼りで、正に人馬一体と言う動きをする者も居ますが……」

「居ますが?」

「そう言った者も。理論を学び実践すれば、更に卓越した馬捌きを得る事も可能です。野生と理性の融合、それが、ありとあらゆる物事を実践する上での理想ですから」


 野生と理性の融合?


「なんですそれ?」

「沢山の知識によっていろいろな事が出来るようになっても、その知識だけではどうにもならない、応用の領域というモノがあります。そう言った物は、野生の勘、咄嗟のひらめきで瞬時に答えを嗅ぎ分け、知識を当て嵌めて解決するのです」

「……そんな事、出来るものなんですか?」

「えぇ。出来ない事を言うつもりはありません。完璧には至れずとも、勘と知識を完全に融合して動かせたなら、それに限りなく近い人間になれるでしょう」


 うわぁ私からは程遠い世界。分かりやすく言えば『獣が人間並みに知識持てば最強』ってことでしょ? あ、ちがう? うーん。


「という事で、先ず乗馬の基礎から、軽く叩きこんでいきますよ。とはいえ、病人に無理を強いる訳にも行きませんし。本当に軽めの部分だけ、になるでしょうが」


 まぁ、何でもいい。兎に角何をするにも勘頼りは駄目って事だ。元からそんな天才性なんざない私にとっちゃ知識を丸暗記する方が効果的ってもんよ!




「――メタリア、聞いているのですか?」

「き、聞いて、おり……ます。お母様、それで先の説明を一からですね……」

「はぁ……全く、仕方のない子だこと。では、もう一回最初から始めますよ。良く聞いておくように。いいですね?」


 優しい口調でもう一回始めてくれるのがめっちゃ申し訳ない。ヤバい、これでもう三度目位だ……いや、言ってる事が分からんというわけではない。流石に大人頭脳だ。分かりやすく説明もしてくださっている。それはない。


「まず、乗馬に置いて一番重要なのは……」

 だが覚えきれないっ……無情……! あまりにも無情すぎる、この結論! お母様の説明は明快なれど……慣れてないっ! お母様、口で説明するのに!

「――が、であるからして」


 普段なら気にならない僅かなこのきびきびとした話し方……説明する時となると相性が最悪……絶望……結構漢字が多い感じの説明だから、一瞬気を抜くとマジで聞き逃す場面しかないっ! 喋り方が速い訳でも無いというのに!


「……やはり病気で弱っている貴女には、少々と厳しい分量でしたか。予定より早いですが、今日はここまでにしましょう」


 ――結果。陥落。陥落っ! あまりにも早すぎる陥落よ……っ! 私では無理……どうしても聞き逃しちゃうし集中するのに体力使うしで……


「疲れたでしょう。気晴らしに、一つ話でもしましょうか」

「……話?」

「えぇ。あの人に話していたもう一つの事です。過保護さに関しては、私もメトランさんも少し気がかりだったところでした。貴方の一件もありますし。まぁ、貴女があの人を説得した、というのが些か驚きではありますが」


 あぁ、あの悪魔像とかか。凄かったよねぇ、あの執念と言うか。結局置き換えは進んでいるのだろうか……まぁそれは置いておいて。お友達は作った方が良いとは言ったけど、結局どうなったのやら。


「シュレク王子に、既にお話を聴きに行って……状況次第では、考える、とのことです」


 おっと展開が速すぎやしないか?!


私は普通に居眠りして授業聞き逃してばかりでしたねぇ

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