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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
間章:技のゴリラ初等期・休暇
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調子こいて深入りって大抵……ね?

「……二人共、あんまりはしゃいじゃダメって言ってるじゃない。ほら、メタリアちゃんにもう一回謝りましょうね?」

「「ごめんなさい……メタリア姉さん」お姉さま……」


 なんか首から嫌な音が鳴っている気もするけど大丈夫大丈夫。うん。きっと無事だと思うんだ。お姉ちゃんは頑丈だからネ! 頑丈じゃなけりゃやっていけないともいう。


「まぁ大丈夫よ。二人の大好きって気持ちも受け止められないようじゃ、お姉ちゃん失格だしね。で、でもあんまり私に集中させると、幾ら私でも壊れちゃいそうだから、あんまりキュッと注ぐのは止めてね?」


 具体的には二人がかりで私に構うのはちょっとやめていただきたい。一対一ならまだ何とかなるけれども。二対一はマジで壊れちゃうから。物理的な意味で。


「わ、分かりました」

「――じゃあ今日はこの辺りかしら。さ、二人共行くわよ。これ以上メタリアちゃんを痛めつけたら、本当にメタリアちゃん大けがしちゃうかもしれないしね」


 メトラン母様すいませんお気遣い。まぁやろうと思えば受け止められるかもしれませんけれど……じゃ、また後程。お昼ご飯の時にお願いしまーす。はーい……


「……終わった。乗り切った……ちゃんとアレウスに向き合う事が出来たぞ」


 お姉ちゃんらしくできた……なんだろう、久しぶりに私が思った通りにちゃんと行動出来た気がする。寧ろここまで何故私の思う通りになってくれなかったのか。いっそ無慈悲なレベルだったともう。


「はぁ……ちょっと、今日はこの達成感に浸っていたい。はぁ……」


 あぁ、窓の外の景色、蒼天の向こうの日が余計に輝いている様にすら見える……成功体験は人に活力を与えてくれるんだね……良し良し! 良いぞ私!


「……もしや、流れが来ているのかもしれない。私に。この世に生まれついて、初めての、人生の流れというモノが!」


 いや、たった一回の成功だけど、ここまで想像通りにハマって上手くいったのなんて生まれて……いや、二度目の生で初めての、流れが来ているのかもしれない。


「お医者様の時もしっかり私の作戦通りに面会制限行けた、そしてアメリアとシュレクの問題を解決する案もスラリと思いついた……流れが来ているじゃないか」


 先の落馬で悪運を使い果たしたかさては。となれば、ここで一気に突っ込まない手は存在しないぞ私。となれば……一歩、さらに踏み込んで。


「アメリアの一件……アレをお父様と話し合ったり、とかか!?」


 王宮案件だからやっぱり? 大公であるお父様の意見を聞くのはやっぱり必至だし? ちょっとお父様にも色々出張って貰った方が?


「直ぐに婚約、っていう話じゃない……あくまで恋愛対象としてみて貰う的な、そんな感じだし、お父様だってそんな過剰に反応もしないだろう。それに、アメリアと王子様達を結び付けるなんて一言も言ってないし」


 あくまで紹介しろ、とは言ったがな! グハハ。これもアメリアプランの肝だ。あくまで紹介しろと言うだけで決して『婚約させろ』とか『結婚に結び付けろ』とか入っていないのである。ヤバい、冴えてるぞ当時の私。


「やはり、ある。流れが来ている。頭が冴えている……今の私は無敵だ。きっと」


 怯えすぎてはいけないのだ。私は。ここぞと言う時には踏み込まねばならん……いけるぞ。今、最大の達成感を得た今なら私は……! やってやる!


「良し、昼飯をメトラン母様が私に届けに来てくれたタイミングだ。そこでお父様を呼んで勝負を仕掛ける!」


 ぬふふふ、多少恋愛音痴ではあるが、この無敵モードの私なら、勢いで弾き飛ばして上手くいくかもしれない。やっぱり、苦手を克服する為には勢いは必要だしね。勢い最高潮の今こそだ!


「……まぁ、それまで滅茶苦茶暇で、もしかしたら勢い殺されるかもしれないけれどまぁ大丈夫だ。この勢いはそうそう消えはしないだろうよ」


 ――という事で、暫く後。


「ヴェリオを呼んできて欲しい? あらあら。寂しくなっちゃったのかしら?」

「は、はい……えっと、そんな感じです……はい」


 ほんとは違うけど。そう言う言い訳があった方がスルっと通ると思うし。何だろう今の私、凄い頭がクルクル回ってる感覚がある。ふふ、やはり勢いはまだ死んでないぞ! なんか言葉に詰まってる感じがするのは気のせいだ!


「分かったわ。呼んでくるから、ちょっと待ってて。あ、でもお仕事してるかもしれないからその時はごめんなさいね? その時は明日来てもらうように約束してもらうから」

「わ、分かりました」


 まぁそう言う事もあるだろうけど……甘いよメトラン母様。今の私の勢いと剛運を舐めてはいけない。来て欲しいなぁ、と思えば……


「――メタリア、怪我の方、調子がいいみたいだね。良かったよ」


 ……良し、来てくれた。やはり、やはり流れが来ているのだ。今の私には……まるで、某配管工の星獲得時のように、今の私に敗北は存在しないのである!


「お、お父様……お仕事、大丈夫でしたか?」

「いやいや、丁度仕事も一段落したタイミングだったからね。心配しなくていい」


 くふふふ、やはり。私の引きの強さが凄まじい。


「それに、取るに足らない案件だったしね。気にする必要も無いよ」

「取るに足らない?」

「あぁ、アメリアの婚約者を探す、だとか……全く、そんな物、私がわざわざ行うと思うか? そもそもアメリアはまだまだ若造共には渡さないって決めてるんだよ」


 ……ひゅび?


「ふん、例え他国の王族相手だろうと……メタリアに私の問題の尻拭いの為に頑張って貰ったんだ。アメリアには独身の自由を謳歌させてあげないと」


 あ、あれっ? さ、さっきまでの勢いが萎んでいく音がするぞォ?


ガチャとか、流れが来てると思う時に限って悲惨ですよね。

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