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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
間章:技のゴリラ初等期・休暇
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朝、ロケット、沈没

 ぐ、苦しい……なんだ、何が起きている……私は……なんだ、呼吸が、呼吸が……!


『……姉さん。姉さん。僕は……僕は、ね』


 ぬぁっ!? アレウスが……あれ、待ってどういう状況? どうして私はアレウスきゅんに馬乗りにされた挙句、逃がさんとばかりに首を固められているの? え、なに。どういう状況なのコレは。


『あ、アレウス……待って頂戴、お願い。は、話をしようじゃないの、そう、アレは貴方と私がサクランボした一万とんで三百万年前のあの時の事』

『姉さんは、危ない事ばかりして、僕は心配で、でも姉さんはそんな事気にしなくて』


 あ、ヤバい。いよいよ首にメシメシ嫌な音が立ち始めた。パワーが! パワーが充填されていく! 待ってお願いお許しを! 死ねないのよ! まだ私は! 死にたくも無いからねえ待ってまだ! まだ! 断罪の時は先でしょう!?


『だから、僕決めたんです……姉さんが居なくなれば、心配するような事も無くなるかなって。大丈夫です、苦しませないように、すぐ終わらせますから』


 いやぁ首絞めは一番苦しい死に方じゃないんですかね坊ちゃん。ね? せめてコロスにしてもちょっと……方法を考えようじゃないか! 幾らでもあるでしょう!


『大丈夫、大丈夫ですから……ね?』


 いや、ね? じゃない! あ、待って本当に意識がとおく……




「メタリア……無事で、本当に……良かった……! あぁ……!」


 ――成程な。苦しかったのは、コレが原因か。めっちゃお母様にギュっとされておるがな。ハハハ。いや笑い事じゃねぇのよな。ちょっと、夢から覚めても、息苦しいのが継続中だから。もうちょっとで落ちる。何かが!


「お……か……く……る……む……」

「? あ、あら!? 力を入れ過ぎたかしら!?」


 かしらもリーダーもないっすわ。間違いなく力の入れ過ぎです……けど、なんだろう。息苦しいのは確かだけど、なんていうか、抱擁感が色々段違いな気がする。凄い、安心して、眠りそうになるのは……


「しっかりなさいメタリア! くっ、私としたことが……! ええい、気付け!」

「はぅっ」


 背中に物凄い、訳ではないんだけどしっかりとした衝撃が!? お、お陰で強制的に目を覚まさせられた……いや、あのまま寝てたらどうなってたかは、まぁお察しだけど!


「お、母様……おはようご、ざいます……」

「お、おはようメタリア……ごめんなさいね。ちょっと、慌てすぎて、余計に危ない目に合わせてしまう所だったわ……」


 良いんですよ……いや、良かねぇけど。命は軽んじるものじゃないけど。あー……びっくりした。お母様、先に起きてらっしゃったのね。で、私の事を見て……うむ、こういういい方はちょっと自惚れているかもしれんが、愛されてんなぁ、私。


「全く、賊の盗伐から戻ったら、貴方が馬に攫われたと……それで助けに行こうと準備を整えていたら、貴方が血まみれで担ぎ込まれてきて。本当に」


 うん。めっちゃ魘されてましたね。ゴメンなさいね。無茶ばっかりしてしまって……いや待て今回は私の所為か? いや、ある意味そうかもしれんが。


「――でも。命が無事で、良かった……どれだけ怪我をしても、命だけは……」

「お母様……ごめんなさい。何時も何時も、心配かけてばかりで、本当に」

「えぇ。最近の貴方は、心配ばかりかける悪い子だから……少し、こうやって捕まえさせなさい。こうしている内は……何処にも行かないだろうから」


 まるで大冒険しまくって故郷のお袋さんに心配かけてる勇者様みたいだな私。ジャンルが違うよジャンルが。いやでもガチのロリッ子が血まみれになって戻ってきたとなると倒れそうになっても仕方ない……ん? 今カチャって、ドアの方から?


「――お早う、ルシエラ。昨日はよく眠れたかい? メタリア」


 ドアが開いたんで、誰かと思ったら。どうもお父様


「お早うございますお父様……なんとか、眠れました。はい」


 昨日は、まぁ結局一目会って帰っちゃったし。あんだけ会ったら対応を決める、とか言ってたアレウスも全くもって来なかったし。まぁ、怪我人相手にそんな纏めて何人も会いに来ると思っていた私が可笑しかったのよね。


「ってルシエラ! どうしてベットから出ているんだい」

「あなた……」

「君も昨日は体調が良くないと、医師に判断されているんだよ? 無茶をしちゃいけないよ。ましてやメタリアの事を抱き締めるなんて……力の加減を間違えて、大変な事になったらどうするんだい」


 えー皆様。一般の方々なら『何言ってんだコイツ』となる所ですが、お母様相手では正常な心配です。ごく当たり前の心配です。はい。


「そ、そうね……私の力は、それなりにあるから」

「それなり、じゃあ済まないよ。体の調子が悪い時に、感情に任せて抱き着くなんて、どんな事故を招くか分からないんだから、気を付けて」


 うーん家族の朗らかな会話なんだが内容が物騒。違和感はあるけど、まぁお母様だし。


「――それで、メタリア、調子はどうだい?」

「え? あぁ、何とか大丈夫ですよ」


 夢見は最悪でしたけど。っていうか何なんだあの悪夢。私の弱点を総攻めにするかのような。容赦と言う言葉を知らないのか私の脳は。


「じゃあ、二人の見舞いも、大丈夫かな……入っておいで」

「お姉さま!」

「姉さん!」

「二人共」


 って待ってそんな扉から加速してきてぐえー!?


「「良かった……ご無事で……!」」

「……」

「……今、無事じゃなくなったね……」


昨日、小説を書いていたら気付いた事:病人の見舞いって、直後は無理では?

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