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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
間章:技のゴリラ初等期・休暇
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懸念がまた一つ増えるお嬢様

「それではお嬢様、私はこれで……おい貴様も、態々室内で護衛をする事もないだろう」

「へいへい。じゃあお嬢、俺は見張りに戻るからよ、精々ごゆっくりってな」

「あ、ちょっと待ちなさ――」


 ……行っちまったでやんの。別に室内で護衛位普通だと思うんだけど。いや、病人相手じゃそうでもないのか? 病人、と言う感じで出て言ったようには見えなかったが。となれば考え得るのは。


「……態々二人きりに……いや二人きりじゃねぇな。お母様隣に寝てるし」


 ったく、いっつも思うが、変な気を利かせおってからに……私が此奴となんか、恋人らしい会話でもするとでも思ってんのか。ロイ君とか絶対思って無いだろう。


「かー……もう何度目かも分からんが、どうしろってんのさ。そんな艶めいた事言えんぞ私は~、期待されても、無理ったら無理なんよ!」

「前にも似たような状況で似たような愚痴を言っていなかったか?」


 そんだけ私が期待されてるのか、それとも気遣って貰ってるのか。前者は期待が重すぎるし、後者は羞恥心と期待が混ぜこぜで気が狂いそうだよ! 無事にね! このタイミングで気を遣われたってどうしようもないんだよ! そっちで空気読んでくれ!


「ったく、子供を産めってか!? 無理無理! ちゃんと幸せにしてあげられる自信なしだし! そんな偽善はいらんとか、うっせー! 子供不幸にするよりはマシだろ!」

「落ち着け、そんな事は誰も言っていない。お前は一体誰にものを言ってるんだ」


 前世の世論的な何か! もーさー、会社でのキャリア長いからって私に好き勝手ぬかしやがって! なんでこのタイミングで思い出したとかどうでも良いわ! なんか、ちょっと頭もふら付いて……あら?


「っ……血が足りない状況で激昂するからだ。少しは考えろ」

「ご、ごめん。支えて、貰って」

「構わん。まだ寝ていた方が良さそうだな」


 ダメだ。あまりにも興奮しすぎている。一旦気を落ち着けよう。それにお母様が起きちゃうかもしれんし、あんまり騒ぎ過ぎるのも良くねぇ。


「はぁ……駄目ねー。なんか、急にカーっと、頭に血が上ってきた。本調子じゃない証拠みたいなもん。心が不安定になってるわ」

「いや、お前は割と感情面に関してはふり幅は大きいが?」


 おう現実から目を逸らしたいからそういう言い方をしてるんだから、突きつけるなや。我慢しきれず咽び泣くぞ。唸り声みたいな泣き声あげんぞホント。


「とはいえ、消耗で多少それが大きくなっているのは確かだとは思うが……とにかく休め。流石に今回は……いや、今回も肝が冷えた」

「すいませんね、学校でも家でもまぁまぁ事件に巻き込まれてまして」

「毎度毎度、俺の心配など全く覚えていないのではないか、と思ってしまうな」


 んな訳ないじゃないの……いや、マジメにそう思われても仕方ないとは思うけど。っていうか私、なんで無事なのか毎度毎度不思議になる。そもそも私しか巻き込まれてないのが奇跡的よねぇ。


「……まぁ、忘れてるって訳じゃないから、そのあたりは」

「あぁ、忘れてる訳ではなかろうよ。寧ろ、ちゃんと覚えていて、先生方に面倒を任せようとしていたら面倒に巻き込まれていた辺り、巡り合わせが致命的と言わざるを得ない」


 あれはホントビックリした。私だって、拾ったブツがそんなもんだと思わないし、しかももしヤバくても大人にちゃんと任せて自分で何とかしようとし無かった辺りとか、凄い冷静で的確な判断だと思ったよ。裏目に出たけど。


「巻き込まれた身だからな。あの理不尽なまでの不運は身に染みている」

「あ、普通に巻き込んでたわ……ごめんねシュレク、アレに関してはマジで態とじゃないのよ。本当に。真面目な話」

「アレが計画されたものだと思う方が無理だ」


 大体、私がパンくず零しまくってたから鳩が寄って来たとか何じゃい。そんなんをどう予測しろってんだよ。その鳩に宝石細工くっついてたら、そりゃあ届けるでしょうよ。


「っていうか、あやうく外交問題だっけ、あれ。その後どうなったのよ」

「一応俺とその他、使者何名かで出向いて謝罪した。万が一にも国交断絶だけは避けたかったからな……全く、肝を冷やした。というか、アレが初の外交デビューとは。年を考えて欲しいのだが」


 まぁ小学校低学年の年齢だもんね。王族だからその程度の年齢でも容赦なく駆り出されるのかもしれんけども。


「……他人事のような顔をしているが、お前も行く可能性はあるのだぞ?」

「は? なんでさ。外交って言ったら王族とかがやる……あ」


 大公って王族の血族じゃんかよ……そりゃあその長姉たる私も、出向いて当然ちゃあ当然じゃん。流石に王族筆頭格なんざ外交に出すのは無理だし、めっちゃ丁度いいな私。


「理解できたか? 何れお前にも召集が掛かるぞ。覚悟を決めておけ」

「……こんな場では聞きたくなかったくらいには、頭の痛い話題ね」


 まぁ少なくとも、この夏季休業の間にはまぁこないだろうからいいんだけど、夏季休業は楽しみなイベント沢山だし……? あっ!?


「そ、そういえば! ベスティとヘリメル! 二人の訪問! ちょ、しまった怪我してる場合じゃないってのに!?」

「……そう言えばそんな物もあったな」


 あぎゃああああああしまったどうするんだコレ!? いや、どうするもこうするも出迎えないって選択肢は……あっ、頭がふらつくぅ


「ダメそうだな」

「い、いいや……必ず、必ずそれまでには治す」


 夏季休暇の一番楽しみなイベントなんだ……諦めんぞ!


作者がイベント忘れかけてたとは言えない。

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