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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
間章:技のゴリラ初等期・休暇
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悪事(冤罪)千里を走る。

 夏、その長い期間をかけて、弟の闇を払拭する事は決定した。


「まぁ、あの子たちが来るときは、嫌でも私たちがしっかりしないと行けないけどね」

「あ、そういえばお姉さま、お手紙でお友達が暫く滞在する、といった事を」

「えぇそう。ベスティと、学校で来た新しいお友達。それと……シュレクと」


 まぁ、我が弟の諸々を解決するのもそうだが、この夏季休暇にはイベントも盛り沢山という奴で。細かいのを上げていったらキリがないが、その中でも一番デカいのはその、我が家への友人たちのお泊り会……というより、避暑? どう言えば正確なのか。


「楽しみですね! 私、新しいお友達の方と会うのがとても楽しみです!」

「はしゃぐのは良いけどアメリア、気を付けてね? あの子たちはゲスト。我々はホスト。粗相のないようにしないと、駄目よ」

「あ、それは……確かにそうですね」


 うむ。とはいえ楽しいイベントではあるので、楽しむときは物凄く楽しむ様に。


「私の家に誰かが遊びに来るのは初めてだし……私達も、おもてなし、手伝える部分は手伝いましょうね、アメリア」

「はい! 分かりました……あ、でも、そのお姉さま。一つ気になる事が」


 ん? 気になる事? あぁ、もしかしてヘリメルの事についてかな。楽しみって言ってもどんな子か位は知りたいもんよね。うん、分かる分かる。よーし、ちょっとここは、まだ話せてなかった学校での武勇伝をだな……


「あの家に置いてある置物を退けないと、私達あやしいお家だって思われるのでは」

「……あぁ」


 そういえば、そうね。あの彫像もあったわね。あんなものあったらマジで悲惨な勘違いとかされそうねぇ……良し、アレウスよりもまず優先するものは決まった。


「あの像をどうにかするのが先ね。そう言えばお母様はまだ撤去を始めていないの?」

「えっと、『アレを早急に撤去しても、置く物がないからそれはそれで違和感を生んでしまうから、代わりの品が準備できるまでは』って言ってました。母様は」


 なるほど。要するにすっからかんの廊下を見せるっていうのは流石にマズいと。まぁ屋敷の廊下ってのはその家の経済状況を如実に表しますし。そういう所はちゃんと気にしていくのは、流石は大公の妻。


「代わりに置く物って何なんでしょう。必要なモノなんでしょうか」

「必要なのよ。石像を置いていた場所には、同じような石像が。アメリアだって、歯抜けなるのは嫌でしょ? それとおんなじ」

「……あぁ! なるほど! 確かに隙間が空いてるのは、何かいやですね!」


 そういうのを気にしなきゃいけないのが貴族ってものなのよねぇ。

 『オホホホホホ廊下の装飾が歯抜けでしてよ!』とか普通に嫌味言われるからね。モンスター貴族様の嫌味は三百十六式まであるんだよ。怖い怖い。


「じゃあもうちょっとアレを何処かへやってしまうのには時間がかかるんですね」

「まぁそんなにはかからないと思うけど……」


 我が家は伊達に大貴族……を、超えた大公一家やってない。そういう像も、お抱えで援助している芸術家の失敗作なんかを流して貰って飾っている。出来はまちまちだが、それでも統一した感じが出るので、結構悪くないのである。


「……お父様手彫りであれ作ったって言ってたけど、もしかして習ったのかしら……?」


 だとしたらパトロンとしてもっとマトモな事をやってもらいたい。いかん、お父様の余罪が雪だるま式に出てきてしまう。これ以上考えるのはやめよう。


「気になるなら、お母様に訊いてみましょうか」

「そうですね! あの怖い像がずっとあるって思うのも嫌ですし、どれくらいでなくなるのか聞いて、ホッとしたいです!」


 君結構高度な事言ってる自覚ある? いやないんだろうなこの天才児。ったくホント誇りに思うぞコラ。覚悟しろ。マジでベスティとヘリメル来た時は自慢し倒すからな。照れても一切容赦はせんぞ。ぐへへ。




「……」


 ――異変だ。この家始まって以来の異変だ……! ど、どういう事だ!?


「お母様が、お母様が、まるで深窓の令嬢の如く……はかない顔を!?」


 お母様は部屋に居ると言われてきてみれば……扉の奥に見えるこの異常な光景は一体どうした事だ。違和感しかない。震えが止まらない。


「そ、そんな驚く事なんですか、お姉さま」

「えぇ、お母様と言えば獅子も腹を見せて服従を誓う。伝説を生きる軍神。そんなお母様が、まるで蝶よ花よと育てられたお嬢様みたいな顔をするなんて……!?」


 緊急事態どころの話じゃあない。例えるなら、爺が突然ラッパーに目覚めてタップダンスと組み合わせた新たな音楽ジャンルを開拓しようとするくらいには異常だ。


「お母様!? 如何なされたのですか!?」


 我慢できない。あんなお母様見てられない!


「……メタリア」

「お母様、どうしてそのような……! 何があったのですか!?」


 昨日はあんなにキビキビと! いつもの、自信に満ち溢れた立派なお母様だったというのに……私が、私がなにかしてしまったのか?!


「……それが」

「?」

「王宮の方から、このような書状が……」


 書状!? なんだなんだ、一体何が書いてあるって……あ、すいません拝見しますねお母様……えっと、何々?


『大公の屋敷で悪魔の彫像が飾られてるという信じられない噂が立っているので今から伺います。証拠の処分とかはやめてください』(要約)


 …………じーざず。


そりゃあ(大公の屋敷に悪魔が飾ってあったら)そうなるよ。

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[一言] ですよねーーー!!www
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