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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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爺にお任せ!

「……お話が終わった直後に私をお呼びだしとは。一体、何の御用ですかな?」


 ファラリスが出てった後、私の部屋に居るのは爺一人。年齢差何才だろう。いや、ロイ君も一緒に呼び出しても良かったんだけど、一番話通じるかなと。


「話とは全く関係ないから大丈夫よ。だからそんな気まずそうな顔はやめて。こっちがその、色々と気を遣いそうになるから……」


 ホント。女の子同士の話題に老人を混ぜるとかいう苦行はしないから。いや、人によるらしいけどさ。そういうのも。少なくとも爺にとっては苦行だろうからやらないよ。だから凄い、何か言いたげにこっちを見るのはやめようホントに。


「話というのは……捕まっている、彼についての事よ。爺、彼が重罪に問われる、というのは本当? 真実を聞かせて頂戴、それ如何では……」

「いいえ、全くの虚実にございますお嬢様。そのような事実はございません」

「……あれぇ?」


 え、えぇっと……ちょい待ちね? 今ちょっと記憶を整理するから。


『下手をやらかすと、なんもしてなくてもお上から睨まれる。止めるタイミングも、関わる機会がなくたってな』

『それが、坊ちゃんとバカがやらかした翌日には、なんもしてない俺までお尋ね者……ったく、理不尽ていうかなぁ』


 ……言ってねえなぁ! お尋ね者とか、お上に睨まれるとか、そういう事しか! 間抜けか私は! 今の今まで凄い勘違いしてたって事か!? 馬鹿じゃねぇのホント!


「何処でその様な話を聞いたかは分かりませぬが……なぜそのような事を今?」

「え、えぇと……エリィアと、話の弾みでその様な話をすることになってね。気になったのよ。普通に。えぇそれだけだから。ホント」


 嘘はついていない。ファラリスとの話で初めて話したみたいにしてるけど、全然そんな事がないだけで。何なら投降させる前からそういう話をしていただけで。うん。


「左様ですか。ふむ、やはり年頃の女子の会話という物はいまいちわかりませぬ」


 ごめんなさいね。私もそういう系の話題から一気に飛ぶのは私も想像いたしかねます。


「まぁしかし、先の質問に改めてお答えするのであれば。そうなる可能性もある、と」

「――可能性はあるのね?」


 でもまぁ、そっちの可能背は残ってるよね。あ~、やっぱそうかぁ……まぁ、一応お偉い方の娘ですし? 厳しくしないと、色々複雑な面もあるだろうし。


「何せ、立場のある、しかも幼子を攫ったのです。罪の重さはそれなりには……」

「ならばやはり見過ごすことは出来ないわね。爺、彼を助けることは出来ない?」


 ……うわぁ、空気が変わったよ。


「出来ない、とは申しませぬが……お嬢様、何を考えておいでで?」

「ごく当然の事を。監禁されていた間、私は彼に礼を尽くされたわ。であれば私も、貴族と呼ばれる者の誇りにかけて、彼に礼を尽くす必要があるの。分かる爺」

「……相手は貴方様を攫い、要求を通そうとした賊ですぞ? それでも?」


 そうだろうけど……それでもね。助けるって言って投降させちゃった以上、私にはその約束を履行する義務が出来ちゃったわけで。


「えぇ、それでも」

「全く、貴方様の行動はどれもこれも突飛な物ばかり。襲われたかと思えば誘拐されてその犯人を……こうして、庇おうとしている。全く、貴方様の事を少しは理解できていると思っていた爺の自信を、粉々にされるお積りですか」


 いやぁそんなつもりは一切無いんですけどね? でもやらんといかんと思ったら、やらないといけないでしょう


「――しかし、その動機は、私の知っているお嬢様の印象と重なりますな」

「爺、それじゃあ」

「あの男がお嬢様を乱雑に扱わなかったことは事実……完全に無罪、とはいかずとも重罪にはせず収める事も不可能ではございません。相当軽い罰で済ませる事も」

「爺、大好きよ。ありがとう」


 思わず抱き着いてしまう。全く、ここへ駆けつけてくれた事もそうだが、本当に頼りになる人だ。ロイ君とは別のベクトルで。


「ふふ、その様なお嬢様の笑顔を見れただけでも、十分な報酬ですな」

「けど、言った私が言うのもなんだけど、無茶よ? 大変じゃないかしら」

「いいえ無茶などではございませんとも。権力を動かして無理矢理に罪を帳消しにするのではなく、訴える側から恩赦をかける、というのは正当な権利です」


 あらそうなの。


「もしあの男がお嬢様を不当に扱ったにも関わらず、貴女が彼を許そう、と言っていたのであれば……それは流石に見過ごしては置けませんでしたが」

「そうは見えなかった、という事でいいのね?」

「話を聞いていた限りは。彼はお嬢様を『令嬢』として扱っていたとのことですし、それ程凶悪な人間にも思えませんでした」

「実際そうだったわそれに……彼は蛇のように、賢くもあった」


 正直、言葉の端々から伝わってきた知性と、身の丈以上の事を狙わないその性格はそれだけでも魅力的だ。私的に、ああいう人は戦略ゲーで凄い重宝すると思う。


「ふむ。それは、ロイのようにしても、良いと言外に伝えているので?」

「無理に、とは言わないけれど……小娘の目線からでも、凄い人だとは思ったから念のため。万年人材には困っているでしょう?」

「その言い方では我が家が人材不足の様ですな。とはいえ、微妙な立場にあった妹様と弟様の問題を解決しようと動こうとした小娘様のお言葉ですからな。しっかりと調べておきましょう」


 ……それ、言外にトラブル体質っていうのを改めて伝えてない?


書いてる途中で『あれ、あの人そこまで重罪に問えるのか……?』とか自分で気が付きました。

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