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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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大抵自分の考えって穴がある

 ……マズった。マジでマズった……ど、どうするんだこれ。お嬢様大ピンチじゃぞ!?


「……滝のような汗をかいているが、どうやらその辺りは思考に入れてなかったようだなメタリア。まぁその一歩足りない辺りはお前らしいが」

「けなしてるんじゃないわよ……っ! ど、どうする、マジでヤバい!」


 部屋の中で『やー有能な人っぽいし、適当な素性用意して適当に兵士として仕官させればいけるいける!』とか思ってたのに……思ってたのに! 甘かった! 大甘だった!


「途中までは完璧だったが、その直後で完全に思考を放り投げたな。そこでもう一歩止まってもう少し考えるべきだったろう……冷静に考えて、元罪人を兵として雇う事はあったとしても、こんな大ごとの張本人は雇わないだろう」


 あああああああっ! アタシの馬鹿ぁあ!?




 とりあえず、保護された後、気を使われてシュレクと一緒にされたわけだが。婚約者に縋るほどに不安そうに見えたんか私……まぁ、女子扱いされるのは悪くないし、いいんだけど。都合もいいしね?


「親衛隊……?」

「ああいや、その。ちょっと口が滑ったな。親衛隊じゃなくても、まあ要するに、常備してる兵隊さん、って言えばいい、のかな? そんな人たち」

「……あぁ、居るな。まぁ、確かに多少不足している所がない、という訳でも無いと思うが。それがどうした?」


 ふふふ、私を舐めないで貰いたい。そういう兵隊さん、というのはある程度腕っぷしが強い人々を雇う必要があり、必然、そうやって捕まっている罪人なんかも、雇う事があるのだと、なんかそういう感じの記事で読んだことがあるのよ!


「あの人、話してみたけれど、凄い聡明な人。罪人として咎を問うばかりじゃ勿体ないのよ、マジで。折角だし、雇ってみない? 罪人雇う位、やってるんでしょ?」

「……やってるはやってるが、しかし何故それを知っている? それは公にはしていない筈の情報なのだが。まぁ、別にそこを今さら気にしていても仕方ないか」


 まって、これそんな重要な情報だったの?


「……私、またなにかやってしまいました?」

「いや、その情報は国が戦力の増強の為に密かにやっている事業の事でな……まぁ前回の一件で、いよいよもって軍備から国の威信を取り戻す為にと、本格的に始めたと聞く」


 いやーん凄いシークレットな情報でございますわねぇ……?


「……それでなんでアンタそれを知ってるのさ」

「将来国の政治に携わる立場故に、知らないでは済まされないからな……前も言ったかもしれんが、この学校に入るようになった時点で、そっちの方面の勉強もしている」


 そりゃあそうですよねぇ。はい。そして私はそんな、王子にしか知らされてないような内密の情報をあっさり抜いたんですよねぇ……いや、ホント。まって。今回は違うのよ。色々考えて、普通にやっててもおかしくないだろうなって奴を、選んだのよ……


「そこまで怯えるな。気にしてはいない。お前を信頼しているからな……というよりその知識を悪用できる程、お前の頭が回るとは思っていない。そういう意味でも信頼している」


「ひ、酷い信頼……前もこんな話した気がするわね」

「そうか?」


 それはまぁいいや。置いておこう。


「まぁでも丁度いいじゃない。試験中だというなら、その試験者として、彼を使えばいいと思うのだけど?」

「なるほど、そういう事か。俺の権力、ではなく、俺の発言が必要だと」

「貴方が一人の国を支える臣として、動く丁度いいチャンスだと思うけど? 制度の被験者を見つけた、となれば凄いんじゃない?」


 ……ぶっちゃけこの間、ファラリスの家がやってた事を見て思い出したのよね、罪人を兵士として雇うっていうの。それを着想として、今回のプランを思いついたのだけれど。


「うふふ。婚約者を立てる令嬢として、仕事をしたって事で、理由付けも完璧」

「まぁ不可能だから、土台から無理な作戦だったと思うが……?」


 ……??? んん?? 不可能?? 試験は進行中ではなかったのかしら???


「『何を素っ頓狂な事を言ってるんだお前は』っていう顔をされてもな。この誘拐事件の一件は当然王宮全体に響き渡る。この試験は、色々と問題のある事でもあるからな。全ての人間に知らせている訳ではない」

「……もしかして、当たり障りのない、小悪党くらいしか使えない、とか?」

「まぁ試験段階の制度だしな。そうなるだろう」


 ……は、はわわわわわわわわわ!?




「……落ち着きましょう。まずは深呼吸をしないと……どうにか、こう、代案を考えないといけないわ……ひゅいぃぃぃぃい……」

「なんだその珍妙な叫びは……?」


 珍妙な悲鳴って酷いわね……いや、今はそんな事気にしてる場合じゃないわ!


「しかし、代案を考える必要があるのか? お前を誘拐した男相手に」

「……ちょっと話しちゃったし、罪悪感とか、結構あるのよ」

「それを抱えて生きるのが、辛いという事か?」

「それもあるし……ここで成功して、勘を取り戻しておきたいというか」


 ……謎って顔してるけど、仕方ないよ。これは私個人の問題だし。はぁ、どうしましょう。ロイ君の時にワガママ聞いて貰って、私の所じゃ受け入れてもらえないでしょうし。


「――メタリィ? 大丈夫?」


逆に穴の無い事がない。

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