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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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お嬢様サイド:大人たちを出し抜いて

 ……しかし、死なせないように頑張る、とは言ってもどうしたものか。


「……それにしても、朝って静かだなぁ。こうやって誘拐してる最中じゃなければじっくり考えを纏めるのに丁度いい時間だったんだが。今はそんなゆっくりしてる余裕ない。ったく、万が一要求が通っても、その後にとんでもない大穴が待ってるなんてなぁ……」


 ロイ君の時はなんだかんだいって、向こうを裏切って私を助けてくれた事の恩赦があったからなぁ。今回はそんな恩赦も存在しないだろうし。


「ん? どうしたい、お嬢ちゃん」

「いいえ、なにも。ただこの服が予想以上にしっくりしてしまったのがちょっとね」

「まぁその服ともそう付き合いは長くないからよ、安心しろや」


 まぁ服はどうでも良いけど、貴方との付き合いが大分短いものになりそうなのを心配してるんだよ。いや、別に誘拐された私が気にする事じゃあないんだろうけど。なんもしてないっていうのがホントなら、助けてあげたいじゃない。


「……兎に角、どうやって逃げるかだな。国境を超えて……さて、何処に行くか」

「国外に出るの?」

「それ以外ないだろう……まぁ、またどっかで雇ってもらうさ」


 まぁロイ君の時みたくは上手くいかないだろうし、私が何とか出来る範囲を超えちゃったら諦めるけど……うーん、でも見逃したら見逃したで、やっぱこう、気にならないと言えばウソになるかもだし。


「……ん?」


 せめて、何かきっかけがあれば。もしかしたら……


「え? 食料の補給? そうかい。ありがとよ……って、給仕にしちゃあ妙に小さいじゃねぇか。え? 入ったばかりの新入り? そんな子達に任せるなよこんな役割」


 って、いつの間にか誰か入って来てる。アレは……給仕服着てるな。っていうか小さいけど。なんであんな子たちがここに……


「まぁいいや、その台車をこの中に入れてくれ。中身は食べ物なんだろ?」

「どちら様かしら?」

「ん? 給仕の新入りさんに、ここに食事を運び入れる任務を……って!? やっべ見つかった! 速く! 速く! それ入れて部屋から出てって、扉閉めてくれ!」


 あ、ホントだ部屋の外に兵隊さんが。

 

「おいなんで出ていかないんだ……まって、なんで扉閉める。ちょっと待て、ストップ待てってば! 出てから閉めないと意味ないって……」


 ってえ!? あの、お嬢さん方しっかり内部に居残ってるけど閉じちゃっていいのねぇちょっと! どうして!? どうして自ら閉じ込められたの!?


「お、おいおい……嘘だろ、人質志望、とか言わねぇだろうな」

「……まぁそんな所ですわ。ふふふ、残念でしたわね。私たちをここに入れた時点で罪ですのよ、貴方は。ねぇジェイルの飼い犬」


 ……!?!?!?!? こ、声!? その声! 聞き覚えしかないぞオイ! というか最近、勉強会でよく聞いていた声ですよ!?


「っ、アンタ。給仕じゃねぇな。誰だ」

「うふふふ……因縁の相手に借りを返しに来た、唯の令嬢ですわ!」


 やっぱりファラリスやーん!? え、どうして給仕になってるの!? どうしてここに入ってきたの!? 理由は!? リーズン!?


「エリィア!? なんでそんな恰好でここに入って来てるの!?」

「ふふん、貴方の友人から聞きましたのよ。貴女が誘拐されて捕まったと。全くトラブルが余程お好きなようですわね? そんなトラブル体質の貴女を助けに来て差し上げた私に感謝して欲しいですわ」


 ぐ、なんか久しぶりに聞いた気がするその憎まれ口。って助けに来たってなんで!? こんな状況に貴女が割り込むとか嫌な予感しかしないのだけど!?


「その子だけじゃないわよ!」


 ファッ!? 聞き覚えのある声がもう一回!


「メタリィ! 待たせたわね! 助けに来たわ!」

「え、えっと……メタリア様。おはようございます。ご無事ですか?」

「お嬢声張り上げすぎっすよ~、メタリア様をこっそり助け出して、知らんぷりするつもりじゃなかったんすか~?」

「流石に逃げ切るまでは無理だと思ってましたよ、私」


 って全員集合!? ベスティヘリメル、ファラリスガールズ! なんで纏めてこんなところまで来ちゃったの!? ちょ、皆どれだけ無茶が好きなの!?


「えっと、その。皆、貴族のお嬢ちゃんたちは、なんでこんな所に来たんだ?」

「もちろんその子を開放してもらう為ですわ。さもなくば私を含め、四人の誘拐及び私への傷害の罪が追加されます! 罪が六倍になる前にさっさと投降なさい!」

「………………はぁっ!?」


 えっ、なにそのトンデモ台詞は……罪が六倍になるって何?


「え、えっと、待ってくれ、その……状況が、理解できんのだが」

「簡単ですわ。貴方がそちらの小憎たらしい娘を開放しないなら、今ここで私たちはある事ない事を叫びます。乱暴されそうになったとか、その為に誘拐したのかとか」

「ええええぇぇぇえ!?」


 意外っ! それは冤罪っ!


「さらにそれだけではなく、貴方は外で貴方を見張っている人たちに見つからないように私たちを攫ったという、凄腕の幼女趣味の知能誘拐犯、という愉快なレッテルが張られますわね?」


 お、おっちゃんの顔が! 青ざめとる! そ、そりゃあそうだ。普通に考えてそんなとんでもない偏見されたら死にたくなる! この子なんてやり方を……あ。

 そうだ。()()()()()()()()()()()()()()()


さぁ、こっからです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ひでぇ...!wwwww
[一言] 悪魔だ・・・悪魔がいる・・・(´・ω・`)
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