表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
26/324

勢いと打算しか存在しない危なすぎる救出劇開始

「なるほど、それでその騎士さんは、疲れたからと詰所に戻った、と」

「はい、しゃべることも、もうむずかしそうでしたわ」

「そうか……ありがとうアメリア、後は、私が何とかしよう。爺、後で詰所に行ってその若手の騎士にも話を聞いてくれ。くれぐれも……よろしく頼むぞ」

「承知」


 よし、伝えられたぞ。これで取り敢えずお父様の行動開始シークエンスを秒読みに出来た。とはいえ今すぐにその廃鉱山になだれ込むとか無理よ。中国大返し時の覚醒秀吉じゃないんだし。


「では、おとうさま、わたくしは、これで……あの、おかあさまたちは」

「あぁメタリア、ありがとう。後は、アメリアと一緒にお部屋で待って居てくれ……大丈夫さ、直ぐ二人を迎えに行って、帰ってくるからね」


 うむ……お父様、すまぬ、それは生憎と不可能なのだ。これから私、怒りの進撃を開始するんだ、本当にすまない。




「……良し、ロイ。行こう」

「はっ、メタリアお嬢様」


 という事で、扉の近くで控えて貰ってた今回の我がスネークミッションの道連れ役、ロイくん。大変申し訳ないが後で一緒に怒られてもらおう。


「取り敢えず、この状況で私が外に出られる訳もない……私の部屋の外を見回るふりをして。飛び降りるから、下で受け止めてくれ」

「承知……えっ、なんて?」

「じゃあまた後で!」


 問答などして居る時間はないんだ……お父様が動き出したら間違いなく脱出する隙がなくなる。色々ゴタゴタしてる、今しかチャンスはないんだよ!




 さて、ロイはまだ来てない……今の内に、屈伸でもしとくか。万が一足捻った、とかなったらいよいよ出して貰えなくなるよ。勢いで誤魔化したのが無意味になる。


「よーし念入りにやろ……何もできないと悲しいからね」


 伸ばし、縮め、片足伸ばし、片足縮め……っていうかこのドレス邪魔だなぁオイ! ヒラヒラヒラヒラよぉ! 高級品ってのはこれだから……ヨシッ!


「ロイが来るまで、まだあるし……」


 という事で、キッチンへゴーして、確保してまいりました……コレッ! ただのナイフ!


「最悪の状況で着飾ってる意味なんてないんだよ! それっ!」


 取り敢えず裾をカット! あ、クソいい生地だなコレ、頑丈だぞ……大人しく切られなさい、無駄な抵抗するんじゃない! グヌヌヌ……


「……あの、あの、おねえさま」

「あ、アメリア! ちょっと手伝って!」

「えっ」

「このドレスちょっと、裾、ズタズタにするから!」

「……えっ、あのおねえさま、これ、たぶん、とてもたかいものだとおもうのですけど」

「そうよ、高級品だから頑丈さもピカイチ、切れないったらないのよ! 自分一人じゃ無理ね!」

「あっ、そ、そうですか……わ、わかりました」


 ヨシッ、手伝いを手に入れた、ちゃっちゃとやるぞ、さすがにロイくん待たせっぱなしっていうのもあれだしな、あ、そっちもって。うん端と端を抑えてね。で、これを……


「力任せに引きちぎるんだよぉっ!」

「な、ナイフをつきたててっ、あぁっ、そんなご、ごういんにっ」


 うるしぇっ! 切れればいいんだよ!


「いくぞぉっ! うぉおおおっ」

「あぁっ、や、やぶれ、ちゃってます、こ、こんなめちゃくちゃに……」


 そこはかとなくなんかエロいね。っていうか主人公ちゃんがこういうことを言うだけで大きいお友達は大満足とちゃうんかってお願い待って今重要なことに気がついたぞ。


「……あの、アメリア、いつわたしのへやに」

「う、うわぁ、こんなキレイにすそきっちゃって、だいじょうぶかなぁ……あ、えっとついさっき、おへやに……わたしのなまえ、よんでたんですけど」


 マジか完全に無意識に名前呼んでたよ……全く余裕なかったけど無意識からアメリアに怯えてる所為で名前だけは呼ばねばならぬとか判断してたんかな。


「あ、うん。そうなの」

「さっき、きゅうにはしりだして、おいてかれてしまって、びっくりしました……」

「ご、ごめんなさい、ちょっと、いろいろ余裕をおいてきてしまって」


 ああそういえば、あまりの事態にアメリア置いてきちゃったんだっけ。すげぇ申し訳ない事を……あっ、そういえば。


「……あ、あのね、アメリア」

「でも、さっきあんなふうはしりだしてしまったって、ことは、おかあさまは……」


 あっ、あっ、やばい涙目になってるあかんあかんこれヤバイよ、幼女泣かせるとか悪役の死亡フラグバリッバリだっての、ど、どうにか落ち着かせて泣き止ませねーと終わる……良しタイミング謎すぎるが、ここで渡しとこう!


「え、えっと、その……だ、大丈夫よ! 私がなんとかするから、まーかしておきなさいな! あ、あとこれっ!」

「……ふえぇ?」


 おらぁアクセサリケースから取り出したるは仕立て直しアクセサリだ受け取れぇ!


「プレゼント、あの、こういう時に渡すのもなんだけど」

「これ……じゅうじか?」

「えぇ。悪いものを退ける十字架。それに祈れば、きっとお母様達も、無事に戻ってくるわ……多分!」

「わるい、ものを……」


 よし泣き止んだな! オッケイ。


『お嬢様!』

「ロイ、来たわね……それじゃあアメリア、少し留守にするわ。大人しくしていてね」

「え……るすに……も、もしかして、おかあさまをさがしに!?」

「それは秘密、それじゃあ、すぐに戻ってくるわ」


 ワンチャン死んで戻れなくなるかもしれんけど。いや意地でも死んでなんかやらんけどなぁ! おし、行くぞぉ!


「ロイ! 行くわよぉ!」

「あ、あまり無茶な落下はなさらぬようにお願いしますね!」

「ママン達をさらった悪党のところに行くのよ、それ自体が無茶よ!」


 アンタ居なかったらふつうに死ぬレベルだかね? こちとらただの令嬢だから。だったら行動するなって? なんもしなかったらパニックになって気が狂うわ!


「……っ!」

「そ、そうですね! では、ゆっくり、丁寧に降りて」

「はー「おねえさま、わたしもついていかせてください!」えっ」


 なんか、後ろに、組みついて、窓から、押し出され……あぁあああああっ!?


「えっ、ちょっと、待って、メタリアお嬢様だけじゃないでぇええ!?」


 母上さまごめん、なんか出来るかと思って出撃したけど、なんかする前に死ぬかもしれません。


本能のままにしか動いていないって書くと、そこはかとなく悪役っぽく聞こえるから不思議。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ