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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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斧より剣の方が早いとかいうバグ

「ただいま、っと……ったくシュレクったら、アレから好き勝手言ってくれて……婚約者としてそういう方向も配慮した方が良いかっていえば『それを配慮できる程の度量はお前にはないだろう』って……事実にしたってもうちょっと包んで物言えっての」

「あの、出迎えからその様に愚痴をぶちまけられましても、私にはどうしようも……」


 あー、ロイ君はいいのよ気にしなくて。まぁ年取ったくらいじゃ変わらないだろうな此奴のナチュラル失礼は、って思わせるシュレクが悪いんだから全く……


「あの、お嬢様?」

「あぁごめんなさい。ビックリさせたわね……食事は?」

「そろそろ届くと思われます」

「そう。それならのんびりと待たせて貰おうかしら」


 あー、ピッタリに届く時間を狙ったつもりだったが、ズレたか。結構ガヤガヤしたからお腹減ってたんだけど……まぁ、ちょっとくらいなら、待つのも苦痛じゃないし。


「そういえば、お嬢様。寮長殿から伝言がございます」

「あら、リビドアさんから? なにかしら」

「旦那様からの連絡を預かっている、それを受け取りに来てほしいとの事」


 実家から連絡、か。普通に考えれば今回の一件についての事かな。まだ食事が届くまで時間もあるし……良し。行ってきちゃおうかな。


「分かったわ。今から行ってくる。食事が届くまで時間もあるでしょうし」

「では私も供を」

「それは大丈夫……と言いたいところだけど、あんな事があったばかりだし、そうね。お願いするわ、ロイ。ちゃんと守ってちょうだいね?」

「承知いたしました。部屋の戸には……お待ちください、今書置きを」

「じゃあ、部屋の戸の外で待ってるから、早めにね?」


 さーて、のんびり待ってると……なんか腕がっちりつかまれてんですけど。


「それでは意味がないのです。お分かりですね? 私の見える範囲で、お待ちください」

「あっ……ハイィ……」


 め、目が笑ってねぇ。ここは大人しくしとくのが吉か……




『はいはーいメタリアちゃんね……はいじゃあ、コレ。ご実家からのお手紙。従者くんにも宜しく言っておいてね。あと、良かったわね、従者ちゃんと一緒に来て』


 とか言ってたけど。一体何だったんだろうか……あ、パンおいし。


「やっぱり貴族向けの学校ってだけあって、おいしいわねぇ……」

「お嬢様、それは庶子がいう事であって、貴女が言うべき言葉ではないかと」


 だって美味いもんは美味いんだもんよ。それとも貴族向け、っていう方か。まぁ私自身貴族だし、それが『貴族向け』なんて態々他人行儀な言い方せんでもいいわな。まぁ中の人に取っちゃ他人行儀ですけど。感覚はずっと庶民ですし。


「……さて、食事もそこそこに、手紙を拝見しましょうか」


 ちょっとマナーは良くないけど。まぁでも緊急の要件だったら早めに見ておいた方が良いだろうし。便せんに入ってはいるが、封蝋も家紋入りじゃない方……相当急いで出したとか、そう言う感じにしか見えないよねぇこれ。


「中身は……」


 お、この跳ねをピッて感じにする癖、ちゃんとお父様の字だ。良かった。これまで偽物とかだったら泣くよ私は。一体だれを信じればよいのだ。


『始めに書き記しておくが、これを受け取りに来た時、もしメタリア一人で行動して居たりしたら、自覚無しと見做してお家に戻ってきたときお説教なので、覚悟しておくように。ロイと一緒なら問題ないので、安心して欲しい』


 ……せ、背筋が冷えた。もしシノブと面会するメンタルのまんまだったら私、帰った時にお父様からガチ説教を貰っていたかもしれんのか……ロイ君に感謝。


『こんにちは、メタリア。此度の事件ではさぞ辛い思いをしただろう。お疲れ様。夏季休暇の折には是非ゆっくりと羽を伸ばしてくれ。さて、今回の要件だが……王宮の事だとかそんなんはどうでもいいので一通でもいいから手紙をおくれ』


 ほうほう王宮の事はどうでもよろしいのですか!? いや、待ってくれ大公、あんた何をトチ狂った事言ってんだ。国の一大事だぞ。仕事して下しあ。


『普通ならこんな事は言わないんだが、ルシエラが、ママがヤバいのでもうそんな事は言ってられない。先の一件を聞いた時点で屋敷の木を切り倒して現役の勘を取り戻し始めてしまった。今、彼女がどれだけ怒り狂っているか、想像もしたくない』


 ヒエッ


『こうして手紙を書いている後ろで、「我が身に代えても……」とか言い出してる。怖すぎる。何をしようというんだろうか。兎に角、ママを暴れさせない為にも、君からの手紙が欲しい。それさえあれば少しは収まると思う』


 や、やし、屋敷の木を切り倒して……まって、おこ、怒ってるとか、そんんんんなじ、じげじげ、次元じゃないとおもうんですがそれはちょっと……


『後、王宮の事に関してはこっちの仕事なので、君は気にしなくてもいい。王子から話は行ってると思うけど。そんな事よりてがみを』

「……ここで手紙は途切れている」


 そりゃあ……うん。私にしか見せらんないわこんなん。大公の醜聞とかつつかれたら全くもって反論が出来ない……いや、お母様が心配して下さるのはありがたいけど、木を切り倒してリハビリはヤバいっすよ。お母様。

「ロイ、手紙を書くわよ」

「……何が書いてあってので?」

「私が墓場まで持っていく内容」


泣く子と母上には勝てないという事。

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[一言] 奥さんにもね(笑)
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