表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
250/324

次は王子様のターン

「結局誤魔化された気がするわ……」

「何があったのです? 勉強会で」

「あぁ、いいえ、何でもないわ。ただちょっと、無言で黙るっていう一手は反則だわねっていうのを再確認しただけで……えぇ。負けたわよ。正直ね」


 首傾げてるけどまぁ分からなくて当然だから気にしなくてOKですよ。結構無表情で至近距離に迫るって迫力あると思うんだけど、それにも屈さないとか強い。


「まぁ、取り合えずは勉強会は上手くいったわよ。勉強会は」

「それ以外に何かあったかのような含みのある言い方ですね、お嬢様」


 あったのよ。色々。貴方にとっては絶対に見逃せない事実だとか、ファラリスが見せた本物のカリスマとか、エーナちゃんの意外な個性とか。それを話していくと一日が終わるから言わないけど。主に最初の話題で多分大量に時間取られると思うし。


「まぁ何分プライべートな話題だから、話すことは出来ないけれど」

「いいえ、私とてお嬢様の私事の類を暴きたいわけではありませんので」


 そういう貴方で本当にうれしい。ぶっちゃけプライベートなんざ知るか全部報告してください、しろ。とかいう従者さんだったらビビっちゃうし……


「まぁ、ちょっとくらいなら部屋に帰ってから……あら?」


 シュレクだ。壁に寄りかかって、何の用だろ。私を待ってんのかな。


「……お嬢様、私はお先に失礼いたします。どうぞ、ごゆっくりご歓談を」

「あ、ちょ……ロイ!」


 待ってって言おうと思ったのに。行っちゃった。ったく、変に気を使いよってからに。別にそんな気を使って貰う必要は……いや、ロイ君からすればあるのか。


「待っていたぞ」

「はいはい。で、貴方の部屋でいいかしら? シュレク」

「あぁ、そうしてくれ。食堂でもいいが、込み入った話になった場合、少しな」


 込み入った話って。そうなる予定でもあるのか。まぁここ最近の出来事を考えるとそういう込み入った話なんかするのも、あり得そうだけどさ。


「何か、王宮から私に注意とか、それ以外にも、今の状況なら何か言われそうだけど」

「いや、そう言った事は特にはない。ないが、お前はいっつも俺を想像の遥か上を行く故な、万が一の可能性も考えなければならないと、俺は今回の一件で学んだ」


 オウフ、そっちの方向ですか……否定できないのが悲しい。


「――あんたの部屋にいくのは、初めてね」

「む? なんだ。その猫かぶり、やめるのか? 良く出来ていたと思うが」

「私の本性がっつり知ってるアンタ相手に、被っても疲れるだけ。無意味な事はしない」


 ぶっちゃけ、そうやって必死になって鉄面皮守ってるのも、意外と疲れるっていうか。


「まぁお前と話すのであれば、素のお前と話すのが一番心地がいいからな」

「あらそう? 猫被ってる私の方が、お行儀が宜しくて、話しやすいんじゃないの?」

「そんなお前を俺が望んでいると? 寧ろ文句を言ってくれるくらいで丁度いい」


 ……マゾではないんだよなぁ此奴。こんな事言っているけど。兎に角、ズケズケものを言う人材が欲しいらしい。まぁ、そう言うのがお望みであれば。


「はいはい、共犯者殿はお変わりないようで安心安全、ってね」

「ふ、そう簡単に人は変わらんさ。お前もそうだろう……っと、着いたぞ」


 ふむ、扉の見た目は私の部屋と変わりない。まぁシュレクみたいVIPをこういう特別な部屋に入れずに他に誰を入れるんだって話ではあるが。


「お邪魔するわ……ってウゲェ!?」


 待ってくれ。ちょ、入った玄関が私の部屋と明らかにレベルが違うんだけど。広いし、更にゴツイ靴箱まであるし、私の部屋が一番上のランクだと思ってたんだけど。


「……もしかして、ここ一番ランクの高い部屋だったり?」

「寮長から案内された時はそう言われた」

「確定ね。まさかあれ以上のロイヤルスイートがあるとは、想像も出来なか……た」


 わぁリビングルームの広い事広い事……私のリビングルームは部屋一つ分くらいあるけど、此奴の部屋はそれにクローゼットのオマケを付けてもスッポリ入る。


「ったく、こんな所に一人で? 寂しくないの?」

「多少はな。故に、お前をこの部屋に話をしようと思って呼んだんだが」


 あらそう。寂しいってあっさり認めるっていうのは、こっちとしては意外というか。


「じゃ、婚約者らしく、その寂しさを癒すとしましょうかね」

「なんだ、何を馬鹿な事を、と返されると思ったが、どういう風の吹き回しだ?」

「私をどんな冷血漢だと思ってるわけ?」


 寂しいって言われたら話に付き合うくらいしますよ。


「とりあえず、そこに掛けてくれ」

「はいはい……ってこのソファ、ふっかふかね。駄目になりそう」


 前世での人をダメにするソファとは違うけど、でもこれも人をダメにするソファだ。間違いない。あー畜生、もう眠っちまいそうだぜボーイ。


「さて……まずは何から話すか。油断するなと言っていたのに、普通に襲撃されてしまった事を怒るべきなのだろうが。お前ならキッチリ警戒していても、あらゆる因果を捻じ曲げてでも不幸を呼び込みそうだからな。何も言わん」

「お、おう」


 そんな今ダメになってる頭に、立て板に水みたいな言葉をぶつけられても。つーかなんか答える前に自己完結するのは止してくれ。何も言えなくなっちまうよ。


「ふむ、じゃあ他の事について話そう。今夜は長くなるぞ」

「貴方、そんなセリフ、何処で覚えたの。大体夜までかからないでしょうに。昼よ、今」


お説教? いいえ、唯のイチャタイム(または駄弁りタイム)です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ