表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
247/324

DLCスチル『報復令嬢のカリスマ』

 だから私は考え無しって言われるんだよ……分かるか? 気になった所にさ、なんの考えもなしにカチコミかけて、抉って。知能派気取っていますけど、所詮私は人の心が測れもしない獣……ゴリラに過ぎない……っ!


「……ねぇ」

「な、何かしら、エリィアさん?」


 お、落ち着け私。ここは冷静に、穏便に、無難にこの雰囲気を軟着陸させることだけを先ずは優先するべきだ。これ以上ゴリラ的な失敗を繰り返すわけには。


「勘違いをしているかもしれないから、一応、言っておくわね。私は貴女との決着をうやむやにするつもりはありません。今回の事とて、それも踏まえても、あまりにも王子が不憫だから、言ったにすぎないのですから。そこを間違えない様に」


 う、うわぁああああっ!? て、典型的なツンデレだぁあああああああ!? やべぇこんなん絶滅危惧種じゃん、保護しないと……じゃなくて!? また興奮してるぞ私!


「そ、そうですか……それは、貸しになってしまう、かしらね」

「そんな風に数えないでくださいませんか? 私、一々そんな貸しを押し付けるような狭量の女ではありませんので」


 こういうツンデレは下手に指摘して刺激するだとかすると大爆発起こしてどっちにも被害しか齎さないから……というのは漫画からの知識。リアルツンデレはどうか知らん。


「兎に角、気を付けるように、とだけは言わせていただきますわ。いいですか?」

「あ、はい」


 まあ何れにせよ、変な反応はせず、あくまで相手の思惑に沿うようにすれば大抵何とかなるので……イエスマンで居よう。不義理? ここで互いに心に傷負うよりはましでしょ。


「……」

「……」


 しかし会話を軟着陸させても、この、この独特の緊張というか! 硬さというか! それの残ったこの死んだ空気感は残ったまんま! さ~どうしてくれようかこの状況をねぇ!


「……」


 と、兎も角黙って窓の方を眺めるだけになってしまったファラリスと、何とか会話を再開したいところ! 会話は偉大なり、やってれば空気が死ぬこともそうないし。なんとかして話題を、彼女の気を引く話題をだな……!


「え、っと」

「……」

「きょ、今日は貴女の従者が王都に連れていかれる日だけれど、思う事は無くて?」


 ……やった。こーれはやらかした。言った今、自分で最大限の後悔をしております。よりにもよって地雷原にロケラン十連射叩き込むかのような暴挙を我が口からスルリと……いかん大噴火じゃすまないぞこれはドクロ雲もあり得るレベルの……!


「……そうですわね」


 ……あれ?


「ない、と言えばウソになりますが……そこまで気にする事でもありませんわ」

「え、でもアレだけ、彼の事で落ち込んでいたのに……嫌な出来事を、その吹っ切る事が出来たのは、とても良い事だと思うのですけれど……えっと」

「彼と離れ離れになるのであれば……確かに、私も少しは落ち込むでしょうけども、ね」


 ……離れ離れになるのであれば?


「今朝、父から早馬が来ましたわ。シノブの事は、聞き及んだ。身柄は此方で預かる、と」

「えっ?」


 こちらで預かるって……え? 王都に運ばれるんじゃないの? 今日。どうして?


「ふ、驚いているのかしら……貴方を殺そうとした人物が、処刑にされない事が不満?」

「え、いや……驚いている、というのが、大きいですけれど」

「顔色一つ変えずに、良く言うわ。ええでも、申し訳ありませんが、彼は我が家の預かりになるので、悪しからず」


 いや、私自身は殺されそうになったのは怖かったけど……そこまで、こう、『ソイツヲコロスザマス! ヤツザキニシテウミニマクザマス!』とかまでは別に恨んでない。まぁちゃんと罰して欲しい、と思ってはいるけどさ。


「ふふ、理由が知りたい?」

「……まぁ、被害者ですからね。私は。気にならないとなればウソになりますわ」

「そうでしょうね。あまりはぐらかす趣味の悪いマネをするつもりもありませんし、話しますわ。貴女の気に入るような話では、ないと思いますけど」


 いや気に入る気に入らん以前に情報が欲しいっすわお嬢さん。話しておくれやす。


「我が家は成り上がる為に、どんな手立てであれ使ってきた家系です。故に、敵も、何もかもが多い。力を得る為なら、汚い手でも、誇りを投げ捨ても、構わないのが常套策です」

「力を得る……あのシノブ、の事ね?」

「百年に一度の逸材。そして、今回の事で発覚した、目的を達成する為にはどのような手段であれ速攻で実行する、その精神性……我が家の家風にも合致する、優秀な人材ですので」


 それは確かに。こんな子供しかいない学校で、何かしらの目的を達成する為に事件起こすとか、確かに覚悟は決まってると思う。悪い意味で、だけど。


「故に……少しばかり、精神面を矯正する事、そしてシノブという名を奪い、名前の無い騎士として運用する事を前提に、我が家で改めて引き取る……という事になりました」

「……それは」


 名前の無い、顔の無い人として運用する。それは、言葉にするだけでも、恐ろしい、そして実際にやるのであればそれはどれだけ……


「罪を起こした程度で、名前を奪った程度で、輝きを失う程、彼の価値は安くない。とお父様は判断したのでしょう。寧ろ、あの手紙からして、今回の一件でより気に入った節さえあるのは、私としても少し引きましたが……まぁ」


 ……わっるい笑みしてるよ。


「兎も角、王都に行って裁かれるのは、実態も無い架空の人間。ならそんな人物に私が何か特別に言葉を言う事も、ないでしょう」


 なんていうか。この子は身内に甘い子だと思ってたけど……それだけじゃないな。本来のメタリアじゃあ逆立ちしても勝てないような、カリスマがある気がするわ。


連れ込まれるとき時に、誰も居なかったら、不自然ですものね。

目撃者は居ない方が、都合がいいですよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] アイツの頭のおかしさからしてそう上手くいくもんなんだろうか? それこそメタリアがフラグ立てたように脱走してまた襲いに来そうだし そもそもソレ喋っちゃっていいの? ロイ君を経由して大公家…
[一言] まあ元シノブを暗殺だの虐殺だのに使いたい放題だよね たとえバレてもそんな奴は居ないと言い張れるしそう言って構わないと認められたからこそ名を奪って引き取る事を認められたのだろうし、認めた側に楯…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ