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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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勉強会三回目。二人きり。

 ……良し、髪に寝癖等もなし。制服もバッチリ決まってる。完璧。後、気になる所があるとすれば。まぁ、顔の辺り、涙が残ってるかだけれど……念入りに濡れタオルで拭いておいたし、きっと大丈夫なはず。


「どうかしら、ロイ。何かおかしなところ、あるかしら?」

「一切ございません。いつもと変わらぬ、完璧な淑女にございます、お嬢様」

「貴方の言う事ならまず間違いないでしょうね。では行きましょうか。今日の授業へ」


 昨日泣いたせいか、今朝はいつも以上にスッキリとしてるし、勉強に身も入るでしょ。まぁ昨日は噂が広がり切ってなかったけど今日は違う。まず間違いなく質問攻めにされてもみくちゃだろう。


「じゃあ、行きましょうか。鉄火場にでも」

「……? テッカバ?」

「危ない場所、というのが一番分かりが良いかしらね?」


 っと、鉄火場とは完全に日本語なんだよなぁ……こういうのも不思議だよなぁ。私は日本語で話していても普通に通じてるのに、偶に通じない言葉もある。日本由来の名詞とかが基本的に通じないのよなぁ。


「教室が危険なのですか?」

「昨日までは水がカップに満ちて、零れる寸前……今日は派手に零れるのよ。質問っていう大嵐になって、凄まじい勢いで私に向かってくるわ」


 なんてオシャレな言い回ししてみたり。要するに今日で噂が皆が知る所になったんで限界で雪崩れ込んでくるだけだけど。私コミュ強者でもないんで勘弁して欲しい。


「……成程。昨日の一件の質問が、今日になってドンドン飛んでくる、と。いざとなれば抑えに回りますが、宜しいでしょうか? お嬢様」

「えぇ、教室の前に待機していて貰えると有り難いわね。でもあんまり手荒な真似は」

「当然、我が名誉にかけて、お嬢様の名誉に傷をつけるような真似は致しませんとも」


 良し、なら問題は無い。さっさと行って面倒は終わらせるとしましょうか。


「行きましょう。話題提供に、ね」

「了解しました。あまり調子にのって、暴れすぎないよう、ご注意くださいね」


 いや幾らなんだってそんな調子には乗りませんよ。ガキじゃないんだからさ。いや昨日は子供みたいに泣き叫んだけれども……大丈夫でしょ。


「でも時間はギリギリね、間に合うといいのだけれ……ど?」


 あら、なんか玄関ホールに子供たちがみっちり……中心には? リビドアさんだ。何やってるんだろ。あ、ベスティ居た。


「おはようベスティ」

「あ、メタリィ、従者さんも! おはよう!」

「おはようございます」


「ねぇ聞いて、今日学校お休みなんですって!」

「今日は休み? あら、どうしてかしら?」

「どうやら、あの危ない従者を、王都の方へ運ぶそうですよ、メタリア様。ロイさんも、おはようございます」

「おはようございます」


 おや、ヘリメルも……って、これは私が一番遅いだけか。ったく、準備に手間をかけるのを面倒とは思わないけど、時間厳守が基本の日本人としてはねぇ。もうちょっと早く起きようかしら。


「危ない人が拘束付きとはいえ外を出歩くから、万が一もあるし、今日はお休みなの」

「成程ね。それなら丁度いいわ……三回目の勉強会でもやりましょうか?」


 一日中ずっと暇してるくらいなら、何かやった方がいいでしょうし。


「……あぁ、でもやっぱりダメかもね。ちょっと彼女が今、ちょっと微妙な状況だし」

「誰が微妙な状況ですって、オースデルク?」


 あら?


「……エリィアさん。ご機嫌よう」

「ご機嫌よう、オースデルク……そういえば、以前名前で呼んでましたね。その事について追及するのをすっかり忘れましたけど、貴方とそんな仲ではありませんわよ私」

「じゃあこれからはエリィアと呼ぶから許してくださる?」

「調子のいい事」


 うん。会話している限りもう落ち込んではいないみたい。これなら大丈夫かな。


「で、勉強会? 早速始めようじゃない。少しばかりショックなことが多すぎで、それを忘れるくらい、知識を頭に叩き込みたかった所なのよ」

「じゃあいつもよりみっちりやろうかしら……そういえば、残りのお二人は?」

「ルキサとエーナならぺーネロトの部屋に。私がお世話になったと……私自身がちゃんと礼を言ったというのに、ちゃんとお礼を言いたいって」


 あらそう……本当にファラリスっていいお友達が居るのねぇ。


「じゃあ先に行きましょうか。二人が合流するまでは……あ、そういえば私達だけしか知らないし、お二人は知らずに普通にお部屋に帰ってしまうのでは?」

「じゃあメタリィ、私とヘリメルで迎えに行きましょうか?」

「あら、いいの?」

「うん。勉強するならみんなでやる方がいいでしょう?」


 流石ベスティ。良い子ランキングスーパー一位。伝説級。


「ごめんなさいヘリメル、お願いできる?」

「はい! 私も一緒に勉強したいですから!」


 流石ヘリメル。純粋な子ランキングエクセレント一位。伝承級。


「ならそちらの二人に任せて、私たちは先に言って、準備でもしておきましょうか。ロイ、部屋に言って勉強道具を持ってきてもらえないかしら」

「承知しました」


 良し、後は……勉強する部屋は、ファラリスの部屋でいいかな。


「……準備って、何をするんですの、私たち二人だけで」

「雰囲気を、整えるとか、かしら?」


 自分で言いだしておいて、一体をすればいいんでしょうか。うーむ。まぁいいや、なんかしよう。なんか……そういえば、私とファラリスだけになるのか。二人きりになるなんて初対面の時以来じゃないかな。


ロイ君は居ない、部屋に二人きり。

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[一言] レジェンダリーピュアガールベスティ。守護らねば...!
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