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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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お嬢様ったらお茶目さん♡

 えっと……とりあえず、終わった、って認識でいいのかしら?


「そちらの決着、ついてよかったわねぇ。あ、大丈夫メタリアちゃん?」

「あ? は、え、えぇ。一応は、無事です……傷とかもありません。はい」

「そう。なら間に合ってよかったってところかしら。まぁ、王子様を連れてきてるあたり終わりも終わりの所で、おいしいところだけもってっちゃったって感じかしら?」


 え? 王子様連れてきてるって……っておおぉ!? シュレクだ! シュレクが居る!


「シュレク、アンタどうしてここに!」

「何を頓珍漢な事を言っている。お前がロイに連れてこさせたのだろう」


 えっ……? いや、私はそんなこと一言も言ってないんですけど。


「ロイ?」

「お嬢様の言葉無きメッセージ、確かに。籠城戦ではなく、あえて王子を呼びに行かせるやり方を取るとは、お嬢様らしいと思います」


 ……そ、そんなことないんだけどなぁーうん。はっはっはっはっはっはっ唯の偶然なんですけどねぇ~~~~? うん。黙っておこう。黙っておいた方がいい事だってきっとある。信長の三段撃ちの真実とか?


「注意しておけと言っていたのにこうなるのは、もはや呪いか何かなのかこれは」

「おおうあった直後だというのに何というナチュラル辛辣ぅ……」


 うむ。ちょっと混乱してたけど、シュレクのナチュラル辛辣でペースを取り戻せた。良し。とりあえずは状況を確認するとしようじゃないか。


「まずは……リビドアさん。お助けいただいてありがとうございます」

「いいえ、良いのよ全然。この前、昔の友達からの頼みで、トラブルが起きたら何とかしてくれって手紙が来てたし。それの序で助けただけだし」

「そうなんですか……それで、その謎の格闘技能は一体何なんでしょうか」


 ……そんな、口の前に人差し指充てるだけで誤魔化されるとお思いですか。駄目ですよそれじゃあ、普段のドレスとかなら兎も角、なんか変な形のレザーアーマー着こんでるじゃないですか。駄目ですよ、アンタ絶対ヤバい人だって丸わかりだもん。


「教えてくださいよ……」

「淑女には秘密が必要なのよ? 覚えておきなさいな」

「その秘密を暴いて見せる……いつか、なんとしてでも……!」


 だってこんな気になる要素しかないのを放っておくとか無理でしょ。目の前にさぁ、虹と金銀のカラーのウミウシ居たらそりゃあ気になるじゃん。それとおんなじよ。


「お嬢様、寮長殿の経歴を探るのは後にしましょう」

「いいえ、今探らねばこの人は一生話してくれはしない気がするのよ……!」

「気持ちは分かりますが、今はこの状況、我々に一切の非がない事を証明しなければ」

「……うぅ」


 だが、だが……それでも、まずは私達が襲われたって事をしっかり皆に示さないと。そもそもその為にリスク背負ってこの図書室に入ったんだからさ。


「はぁ……仕方ないか。って、そういえば私たちが襲われてる所見せなきゃいけないんだけど、ロイ君。シュレクを連れてこれたのよね?」

「? えぇ、まぁ」

「あの従者さんを倒してからじゃないと無理よね。そんな事するのって」

「えぇ、そりゃあまあ、あの男をどうにかしないと何処かへ向かうのは……あれ?」


 ……気づいてしまわれましたか……ふふ、やっちまったよ私たち。


「あ、あの、もしかして……殴り倒さず、時間を稼いだ方が!?」

「……少なくとも私たちが襲われてるっていうのを証言してくださる方はいらっしゃいませんわねぇ……あーこれは……」


 も、元々は時間を稼いで、この状況を誰かに見て貰う、出来ればシュレクに見て貰うのが最良って作戦だったので……し、しまった。作戦が根元から瓦解した!?


「えっ、えっ? どういう事? メタリアちゃん?」

「……ちょっと、張りきり過ぎまして……はい。こうしようかなって感じのが、崩壊しました。私たちが襲われた側だっていうのを、証言して欲しかったんですけれど」


 あー駄目だよ。っていうか、誰も見てない状態でシバき回しちゃったからなぁ……寧ろこっちが悪人に見えるまであるんじゃないだろうか……


「証言なら、私がしましょうか?」

「証人が欲しかった……ん?」

「だから、証人。それこそ誰も見てないのだから、私が普通に寮長として証言すればたぶん貴方たちが被害者って事で通るわよ?」


 ……そ、それだぁっ!?


「そ、そっか……リビドアさんがいた! なんか信じられないくらい強いっぽいけど、でも普段見てたリビドアさんはあくまで寮長さんだし!」


 うん。バレなきゃ当事者にはなんねぇんだ! 向こうがやったんだ。こっちだってやったって罰は当たらんぞ! ふはははは! しくじったなぁジェイルよぉ!


「……それだけでは弱い。俺が彼女が信用できると口を利けば完璧だろう」

「シュレク」

「今、そして以前の状況を見る限り、襲われたのがお前たちというのは、俺でも分かるからな。流石に婚約者が襲われたとなれば、何もしない訳にも行くまい……ふあぁ」


 あっ……ご、ゴメン。眠いよね? うん。今結構朝早いもんな? 私が変な判断したからこんな事になったもんな? ホント、ロイ君共々、何時かちゃんと謝ろう……


「……兎も角、誰か、学校の関係者に会って、それから用件を伝えないとね」

「じゃあ、衛兵の人たちがいいかもね。彼らの起きる時間は比較的早いし」


 ま、まぁ今は謝罪はあと。ジェイルと、シノブ。二人を拘束してから、向かうとしよう。


作戦を自分から台無しにしてくなんて!

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