表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
23/324

ヴォルゴオオオオオ!な顔。

 えーと、すいません。ちょっと今、寝起きでさ、何が起きてるか私はさっぱり分からないんですよ。兎も角、ちょっとでいいから説明してくれ。頼みます。あと、あとね。


「どうしましょうどうしましょうどうしましょう!」

「アウアウアウアウ」


 ガクガクしないでください、揺すらないでください。肩を掴んでガチで揺さぶるのをやめてくださいそろそろ吐きそうですいや吐きます。いえもう吐きますいや乙女なんでそこだけは頑張ってこらえたいと思います。


「あのちょっとまってアメリアさんいったいなにグベェええええええええ揺さぶらないでえええええええっ!?」

「メタリアさまどうしましょぉおおおおおおっ!」


 これは、私は死ぬ流れなのだろうか。そうか、主人公が悪役令嬢を断罪するって時っていうのは、こういう感じ、なの、か…………




 さて。マイシスター。


「落ち着きましたか?」

「は、はい」


 もう言葉で猫を被る余裕すら残っちゃいませんわ。いや、結局一回吐いたからね。ギリギリお手洗いに駆け込むのが間に合ったけどさ。部屋にブチまけてたら、泣くとか、怒るとか、そういうの通り越して、真っ白になってたよ。


「それで……どうしたのです、血相を変えて」

「あ、そう、そうでした! あの、さっきここのきしだんのかたが、おくがたふたりのすがたがみえないって……すごいこわいかおで。おなじへやで、おはなしされてたのにって」

「……んん?」


 おくがたふたり。奥方二人。奥方……えっ!? うちのママと、アメリアのおかんの姿が見えないって? 同じ部屋に居たのにって?


「……イヤイヤへいきよ、ぜんぜん。たぶんわかてさんなのねそのひとは。きっと二人して、さんぽにでもいってるのを、かんちがいしただけよ」

「え?」

「ふふ、おかあさまはね、むかしはとてもすごいきしだんの、だんちょうさまだったの。ほんとうにおつよくてね、いまでもここのきしのだれよりもおつよいの。だからどんなことがあったって、あっさりきりぬけてしまうのよ。あぶないことなんて、ないわ」


 ここで補足しておけば。うちの母上様が所属していた騎士団というのは、今残っている騎士団ではない。大分前に母上様が引退したと同時に()()()されたという、正に幻の騎士団……なのだが。解体されたのには、それはもう深い理由がある。


『お願いだからその人材達をこっちに回してくれ!』

『そこ一点にこれだけの人材がいるとか冗談はよしてくれ!』

『いや奥方欲しいとは言わないですから人材分配のお許しを!』


 とか親父にアホみたく懇願してくる各方面のお偉方。それで引き抜かれていった人材達はと言えば、出身他関係なく相当重用され、出が低かったというのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ものすら出てくる始末。

 というか、ダリアさんがそうだったりする。元ヒラの団員だった。


「そ、そんなにおつよいおかただったのですか……」

「ふふ、おとうさまもそうですが、おかあさまも、わたしにとってじまんのおかあさまですわ。ふふ、だからしんぱいせずとも……」


 あー、うむ。ならばちょうどいい。その不安を完全に取り去るのと、もう一つ、一石二鳥、いけるな。


「そこまでしんぱいなら、かくにんがてら、わたしのいえのたんけん、さいかいいたしません? だいじょうぶだってところ、ちゃんとみせてさしあげますわ」

「……わ、わかりました」


 まあ、心配なのも分かるしね。お母さんの事だし。まあ私もそんな報告を受けて心完全に安らか、っていう訳じゃない。まあ、ほぼありえないと思うけど、念のためってやつ。


「じゃ、まずはおとうさまのところにいきましょうか。ほんとうにさらわれたというならば、みなおとうさまといっしょに、おおあわてしているとおもわれますけど……のんびりとわたしたちをむかえてくれるとおもいますわ」


 まあのんびりしてるお父様からお墨付きを貰えば、アメリアちゃんも安心するでしょ。ふふ、妹ちゃんの心配を優しく解きほぐす……ふふ、姉の役割ってのは、こういうものを言うのだよ。らしくなってきたじゃないの。




「……状況は」

「寝室に残されていたのは……この、板切れだけでした」

「……『無事に返して欲しいなら、王家から手を引け』、か。ふん。随分とまぁ、古典的な」

「やられました……騎士団に、裏切り者が居たとは……」


 ……ンンンンンンン〜〜〜〜〜〜? あれれ、ちょっと待ってパピー、おかしい。いやそんなガチ大公モードのお顔は望んでいない。もっとお優しいお顔してて? アメリア泣いちゃうよ? 爺もそんな赤子が視たらショックでヴァルハラ旅立ちそうな表情しないでさぁ……ね?


「お、おねえさま、その……お、おとうさまは」

「いやほんとちょっと待ってねほんとにお願いだから今考えるからね」

「おねえさま!? かおがまっさおですよ!?」


 いや、あの、ちょっと待ってくださいませんか? これ、マジ? マジで誘拐事件起きちゃった系? え、それマズくありませんか?


「アメリア、ちょっとお姉様ご用事できちゃったからこれで! ヴォルゴォオオオオオオオッ!」

「あ、おねえさま!? す、すごいおかお……」


 ダッシュダッシュ急げ急げ、誰でもいいから詳しい情報を! ちょ、これ、な、なんかしないとあかんやろ! お、お母さまが死んだら私の精神が、精神そのものが! アメリアの精神も!


「あ、悪役令嬢になんかなってたまるかぁあああああああっ!」


 思考、ダスト、レッツ、行動!


オラウータンとオークのハーフが怒号をあげてるみたいな顔です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ