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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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『子供』は諦めが悪い

「て、手合わせで白熱しすぎちゃったって……ホントの事なのそれ」

「えぇ。その生徒が見たという日にちも、私が手合わせをした日と合致します。勝手な行動からこのような問題を呼び込み、誠に申し訳ございませんお嬢様……!」


 馬鹿なっ!? あ、アレだけの兵隊を呼び込んだ原因が私だとぅ!? くっ、ロイ君に体を動かす機会を与えなかったのが一番の問題かっ!? それとも私の普段の態度からストレスがたまっていてそれが爆発したかっ!?


「……これは仕方ないわね。学園の関係者の方々にこの事を話して誤解を解くしかないか」


 だって。問題そのものが勘違いだったわけだし。それでアレだけのごっつい方々呼びつけちゃったわけだし。うん、これはお覚悟される案件。やっべぇ私これから生き残れるかな。まず正座じゃん。うわこわ。


「ロイ、貴方も一緒に謝りに行くから、お叱りは覚悟しておきなさいな」

「っ……大公とお嬢様の顔に泥を塗るような真似をいたしまして……誠に」

「貴方が何の理由もなしにそんな事をする人ではない、というのは分かっているわ。理由があっての事だと思ってるから、そんなに酷い事にはならないと思う。だから、そんなに落ち込まないの」


 うん。きっと私が無理をさせてしまったからあんな事になったんだ。だからロイ君に一切の責任はない。あるとしたらストレス貯めさせた私にあるだろう。


「……はっ」


 ぶっちゃけ、従者同士の手合わせというかチャンバラの一つや二つくらいならそこまで目くじら立たないでしょ。私兵十人受け入れとかいうガバガバ管理能力の学校みたいだしね? うん。頼むからガバガバであってくれ。


「ふぅ、それにしても……誰とやったのその手合わせっていうのは。お相手にも事情を説明してもらわないといけないから。あー……話したくないのであればそれでもいいけど」

「いえ、そのような事は! 私と立ち合いをしていたのは……あの、エリィア嬢の従者です。シノブという」

「えっ、あの人?」


 あー、なるへそ。そもそもロイ君と立ち合いが出来るってどんな人だと思ってたけどあの人だったかぁ……やっぱりお強かったのかなぁ。


「そうなの。じゃあファラリスにもお願いして、その従者さんを貸してもらわねばならないか、それともシノブって子と一緒に来てもらうかねぇ。うーん、さて素直に応じてくれるかしら」


 まぁ、普通に考えれば応じると思うんだけど、私相手だしなぁ。謎の対抗心持ち出して私とは別に謝りに行くとか言い出す可能性も無きにしもあらずというか……やー、また融和計略を進行途中なのがネック。


「向こうも問題の当事者という事なのですから、まず断る、というのは」

「いいえ、子供の意地というのは馬鹿にならないわ」


 子供というのは引くという事を知らぬ。進み、進み、叩き潰す。なんという征服王。子供というのは皆、何者かを蹂躙する征服者なんですよ。うん。


「たとえどれだけ親や目上の人が叱っても、決して諦めないし退かないしで、大人より諦めるという事を知らない、強い芯を……と言って、爺が言っていたわ。うん」

「統括が……なるほど。流石、重ねた齢の経験は伊達ではないのでしょうな」


 爺が有能だからなんでもかんでも『爺のお陰!』が通るのがありがたい。変なミスをする私ではあるが、有能な大人の人たちが如何様な切り札にも変わるからそのミスもぎりっぎり帳消しになる。でも馬鹿なままは良くないので克服していきたいですな。


「それを考えれば、ちゃんと言葉を尽くして説得しないといけませんね」

「そうね……」


 うぅ。爺。貴女の言う事は間違ってなかったかもしれん。私は本当に何かしら死兆星的な何かに祝福を受けているのかもしれんよ……お祓いというか、お清めというか、その辺り準備しておいて、帰る時までに。


「……しかし、十人の全身鎧……確かに、普通ではございませんね」

「ねぇ、ヘリメルの言うとおりよ。万が一、あれらが暴れだしたら危ないわよ」

「まぁ、多くの子供たちが居るこんな場所で問題を起こせば間違いなく重罰は免れませんし、それをまったく気にしない程に愚かではないと思いますが……」


 ……まぁ、確かに子供のいる場所で暴れたとなればその凶悪性も保証されるというか。ロクデナシのレッテルを張られる事請け合いだろうなぁ。


「それに誤解さえ解ければ、あの方々も帰らざるを得ないだろうしね。まぁ、どうあがいても問題起こす前にここは平和になるわ。気にする必要もないわね」

「……そう、ですね」


 ……ロイ君が凄いシリアス顔になってしまっている。そ、そんなに気にしていたのか。そりゃあ気にしない、って方がおかしいけどさ。


「まぁそう気にしないの。ちゃんと明日事情を話して、きちんと謝罪すればそう大きな問題にはならないから。ね」

「はい」


 つっても、完全に気にしないのは無理かなぁ……良し。それなら。


「ああ、そうだ。そんな顔する前に、少し手伝ってほしい事があるの。簡単にでいいから手伝ってくれないかしら? そろそろ手紙を書きたいの、実家への、ね」


 やっぱり、変に考えてしまうのが良くないと思うんだよなぁ。だから別の事に集中させた方がいいでしょう。うん。


「ね、お願いできる?」

「……分かりました。出来る限り」

「えぇ。お願い。でもあんまり遅くまでは無理ね。明日は早めに謝りにいかないといけないしね」


 これでおーけー。まぁ、この問題は明日、決着をつけるとしようか。決着つけるって感じじゃないけど。何となくかっこつけてみた。

 ……あと、真剣にお祓いを手配するように手紙に書かないとなぁ……


意味深なタイトル。

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