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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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圧迫善意駄目絶対

「……それで俺のところに連れてきたわけか。なるほど、流石に悪知恵が働くな」

「言い方は兎も角として、言わずとも意図を理解するのは流石ね」


 はい。という事でシュレクの教室でございます。まぁ王子に憧れを抱くのは貴族淑女の嗜みみたいなもんですし。とはいえ憧れが過ぎれは過剰に反応もするだろう。さもありなん。しかし、大抵の場合憧れと現実のギャップは結構なもんで。


「まぁお前の事はそれなりに理解しているからな……ところで、メタリア。一つ言いたいことがあるのだが」


 そういう女の子には現実を見せれば夢も冷め、ちゃんと王子にも対応できると踏んでいる。ふふ、こういうのを百聞は一見に如かず、という。力任せだがなんとも効果的。賢い。久しぶりに自力で頭脳プレーかましてしまった……っと、言いたいこと?


「あら、何かしら」

「後ろを見る限りその目論見はあまり上手く言っていない様に見えるが、気のせいか?」


 ……後ろ。後ろ。えっと、ベスティが居る辺りかな? その、上手くいってないって。


「ヘリメル! ヘリメルしっかり! そんな幸せそうな顔で寝ちゃダメ!」

「……おうじさまとごたいめんできるだけで、まんぞくです……」

「ヘリメルゥゥゥゥゥゥウウウウ!」


 …………なんか、私の親友が、私の友達を抱きかかえながら天に向かって吠えてるんですけど。えっと。すいません。もしや、もしやこれは……


「ま、また私なにかやってしまったのかしら……」

「とりあえず介抱を手伝え。お前は悪くはないが原因はお前だ」


 ……はい。大変申し訳ございません。ちょっと短慮が過ぎました。ヘリメルちゃんのメルヘン具合をもう少し考えて動くべきでした。




「ヘリメル、本当に大丈夫? まだちょっと幸せな影が残ってるわよ?」

「だいひょうぶでふ。私は強いこ。つよい子なんですから……はい」

「とにかく、そこのベンチに横になって。お日様を浴びて少しでも元気に、ね」

「だいじょうぶです~ったら……うふふうふふふ」


 教室でなんか「えっ、何あの集団……」って目をされたので移動しました。


「全然大丈夫じゃなさそう……駄目じゃないメタリィ! ヘリメルに生王子はまだ早すぎるわ! 段階? を踏まなきゃだめよ!」


 生王子とは……? まぁ何というか、意味は分かるけど、その言い方はどうなんだろうか。ほら、シュレクも「生……?」とか首捻ってるし。あ、いや今はそんなこと言ってる場合じゃないか。


「ご、ごめんなさいね。ヘリメルがここまで王子に弱いものだとは思ってなくて」

「……王子に弱い、とは、一体」


 うるせぇ顔面兵器。お前、私は見慣れてるからアレだけど、普通にゲームで登場したら攻略対象ランキングで上位に食い込みそうなガチイケメンなの忘れんなよ?


「メタリィ、もうちょっとやり方を考えてね? ヘリメルが倒れちゃったら大変だから」

「肝に銘じますわ……はい」

「うん! じゃあヘリメル、もう一回王子様チャレンジ、しましょうか!」

「えっ」

「ふぁっ!?」


 うわビックリした!? ヘリメルちゃんそんな声出せたの……いや、でも気持ちは分かるよ。さっき倒れたばかりだというのにシュレクにもう一回チャレンジさせるとか控えめに言って鬼畜の所業よ?


「あ、あのベスティ。それこそヘリメル倒れるわよ? だ、大丈夫?」

「いいえ! 一回倒れたのだからきっと耐性も付いてるわ! さっきまでは早かったけどもう大丈夫になったから! 明日は今よ!」

「いや、今は今日だからね……しかし」


 ふむ、ベスティの言う事にも一理あるやもしれん。如何な強大な衝撃とて、一遍体験してしまえば存外薄れるもの。初めて入ったサウナは地獄の如くだが、二度目は案外そうでもなかったりするのだ。


「え、え、え? あ、の、そのですね!」

「良し、やりましょうかベスティ。ヘリメルにより成長を!」

「成長を! よーしやりましょうヘリメル。王子様チャレンジ二度目よ!」

「えぇぇぇぇぇぇぇえええええっ!?」 


 まぁ、何をもってしてチャレンジ挑戦とするのか知らんけれどまぁ兎も角やってみる事から始めましょうか! うん。なんでもやってみれば意外と何とかなるなる!


「という事で何からやる?」

「そりゃあ……まずはしっかり顔を突き合わせてのおしゃべりからかしら」

「お二方!?」


 ヘリメルちゃんが驚いているが、しかし本人が躊躇っているからと言って止めるのはヘリメルちゃんのためにならない。それに、ここを乗り越えればどんな男子にも余裕で対応できるパーフェクト淑女へと、ヘリメルちゃんが進化するかもしれないのだ。


「ヘリメル、ここは躊躇っちゃダメ。頑張って飛び込むのよ」

「そうよ! 夏に向けて対策をしないといけないわ!」

「あわわ……」


 さ、君も、立派な淑女への道を踏み出すのだ……さぁ……さぁ! なんか話題がズレている気もするがそんなのは些細なことなのよ……さぁヘリメル。一歩を踏み出す時なのよ!


「……そもそも俺はその案に協力する、とは言っていないのだが」

「「あ」」


 ……ヘリメルの成長は次回にお預け、という事で。はい。


善意というのは施すもので、押し付けるものではありません。気を付けましょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヘリメルーーーーーーーーー!! アニメなら白黒劇画調になるシーンだwww
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