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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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癒しが得られると思ったか? 残念!

「――って事があって、疲れてて。朝ちょっと起きるのが遅れちゃったのよね」

「メタリィは本当に家の人が大好きなのねぇ」

「そういう問題なんでしょうか……」


 そういう問題やで。うん。みんな家族大好きだから、実家からの手紙が届いたらああなるんやで。私だけ意志薄弱とか、そういう事ではないんやで……うん。


「家族のみんなに会いたい、というのは私もそうですけれど……即断即決でちょっと家に帰る、というのを選ばれるのは、流石メタリア様……というべきなんでしょうか」

「ああそれは違うと思うわ。多分メタリィは混乱していただけよ。それ以外考えられなかっただけ。家族が好きすぎるのも考えものねぇ」


 そんな風に現実逃避をする私にベスティの容赦ない一言が突き刺さる。うん。ばっちり当たってるから特に何も言えない。そっと涙を拭うしかないのである。


「でもメタリィのお父様もお母様もとってもかっこいいから、そうなるのも仕方ないと思うわ。へりメルも、きっと大好きになるわよ」

「はい! 叶うなら、ぜひ大公様にお目にかかりたいです!」

「大丈夫よ。お父様もお母様達も、ヘリメルが来るのをきっと歓迎してくれるわ」


 少なくともメトランお母様は『お友達連れてらっしゃいね~』的なテンションだし。お母様もお父様も、どんな相手にも酷い差別をする人じゃないし。流石に威厳とか保つために必要な時にはそういう事もするけど……それも明確に敵対してる賊相手とかだし。


「私もそう……そういえば、ヘリメルを次の夏のお休みに連れて行くってのは、書いたの?」

「えぇ? やぁねぇベスティ。そんな大切なこと、忘れるわけが……」


 ……忘れる、訳が……あれ? 私書いたよな? ヘリメルの事、夏におうち連れていくって。だからメトラン母様もああいうお返事を……まて、だとすればお父様とお母様も何かしらのリアクションっていうか、反応を手紙に書いていてもいいような……


「……メタリィ?」

「いえ、本当にちょっと待ってね……」

「メタリィ? 私はあんまり変な顔とかしない貴女の顔から、何か、察する? っていうのかしら。そういう事は出来ないから、ちゃんと教えてね?」

「え、えええええええっと……」


 あっベスティが非常に怖いんですけどもしかしてやらかしました? 私なんかやっちゃいました? い、いや待ってくれベスティ。ホント、ちゃんと言い訳するから。


「……えっと」

「ちゃんと、説明して、頂戴ね?」

「………………えっと、その、ね? そ、その」


 ……なんも、思いつかねぇ……っ!


「言い訳は思いつかなかったのね。いいわ。ここで色々言うのは、教室の人にも迷惑だから、場所を移しましょ、メタリィ?」

「……はい」


 法廷に向かう罪人って、こんな気持ちなんだろうか。はは、心細くてしゃあねぇや。




「……」

「あの、メタリア様。大丈夫ですか? その、えっと。何か食べますか?」

「ヘリメル。甘やかしちゃだめよ。自分で言ったことなのにすっかり忘れてるなんて。お父様も言っていたわ、『忘れてた』で済ませてしまうのは無責任の始まりだって」


 五分間しっかりお説教いただきました。やー、絵に描いたようなお説教でつい聞き入らざるを得なかったというか……はい。反省しました。はい。


「そ、そういうものですか」

「そーよ。メタリィが間違えたらちゃんと言ってあげるのが友達なんだから」

「……! なるほど! そう言われるとそんな気がしてきました!」


 ……ヘリメルちゃんも加わりそうだけど、でもヘリメルちゃんは飴だって信じてる。鞭はベスティだから、ヘリメルちゃんは飴の部分を担ってくれると信じて、この会話はもう忘れよう。うん。


「じゃあまた後で実家に手紙を書かないとね。ちゃんとヘリメルの事について、許可を取らないといけないから」

「そうね。言ったのに忘れちゃうのは一番駄目だからね」

「うっ、ベスティさっきから厳しいわね。分かったわ、ちゃんと気を付けるわよ……」


 ふぅ、癒しと言っていた少女にここまで絞られるとは……いや、完全に自業自得だから文句なんて一言も言えないんだけど。迂闊な発言と行動には気を付けよう。


「そういえば、夏の時にはシュレク様もメタリィのおうちに行くのかしら」

「あー……それなんだけど、彼奴もヘリメルが来る機会に合わせて家に来るそうよ」

「えっ、そうなの」

「えぇっ!? しゅ、シュレク王子もご一緒になるんですかぁ!?」

「うん」


 いやー、前にアドバイスもらった時、ついでに教室での様子もちょこちょこ話したんだけどね? そうしたらシュレクが『お前の友人二人とは、一度ゆっくり話してみたい』って。


「それで、折角だから、友達も私の家に来るからその時に一緒に来ればッて」

「へー……ってわぁ!? ヘリメルさんどうしたの!? 顔真っ青よ?!」

「お、おうじさまと、たいこうさまのいえで……ひえええええええ!?」


 あわわわわわしまった私がスーパーセレブのお家なの忘れてた!? スーパーセレブとロイヤルのコラボとか普通でも貴族でも大抵腰抜かして当然やろ!


「ちょ、メタリィどうしましょこれ!?」

「き、気持ちを落ち着かせるしかないわ……良し!」


 私にいい考えがある!


その癒しから怒られるようなポカをやらかすのがお嬢様なんだなぁ!

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