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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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勉強会二回目解説

「……で、ここはこうやって解いて……そう、この順番が一番やりやすいです」

「なるほど。これは覚えたほうがいい、というのも分かりますわね。いろんな問題に生かせるやり方ですわね。ありがとうございます」

「いえいえ。こうやって教え合う為の勉強会ですから」


 えー、本日は二回目の勉強会。いやぁ今日の勉強会の前に問題を解決できてよかった。勉強会の一件がキッカケだったし、何かしら支障になるかもしれないし。いやぁ、最近の私の不幸具合だと、彼が勉強会を台無しにするとかいう急展開もあり得るかもしれないし?


「……あれ、ここはどうやって読み解けば……おかしいわね?」

「それはこの辺りからヒントを得るのです。ほら、ここが伏線になっているでしょう?」

「あら、本当……となるとこの問題は……こう、かしら」

「そうですわね。そこは結構重要な部分なので、他の所にも関係して来る。こう言った要点を抑えるのが文章を読み解く場合では大切ですわ」


 ふーむ……なるほど、読解問題にもそんな弱点が……でもその要点を読み解けないとあんまり意味ない気もするけど……いやいや、それでも使えるテクは吸収するに限る。

 この勉強会、仲を緩和する為に始めた事だけど、普通に賢くなれてお得やなぁ。


「……近いですわよ。あんまり顔を近づけないでくださいまし?」

「えっ、あ、ごめんなさい?」

「全く……髪の毛が絡んだら面倒でしょうに」


 しかし本来の目的はいまいち達成できてはおりません! 今の通り、態度はしっかりツンケンとしたままでございます! 二回目だし、そこまで目的が達成できるとも思わないけど、それでも、ちょっとちょっとくらい軟化するかなぁ、とか思ってたら……はい。


「いやー、お嬢があんだけメラメラしてる相手といっしょに、めっちゃ頑張ってお勉強とか? 私としては驚きというか? ねぇエーナ」

「えぇ。本当に嫌いな相手とは迎合どころか妥協すらしないファラリス様が、ねぇ……あぁそうだ、ベスティアーゼさん。そちら、解き方が違いますよ?」

「あ、そ、そうなの……じゃあ、こんな感じ、かな」


 それに加えてファラリスとの仲が改善する前に周りの女の子たちが仲良くなってるのはちょっと何かが引っかかるというか。いや、いい事だとは思うんだよ? でも周りの子達が仲良くなったら釣られてもう少しくらい、ねぇ……


「はい! ベスティアーゼさん。お見事ですね」

「ルキサさんの教え方が丁寧だからよ! 分かりやすくて嬉しいわ」


 ……なぁファラリスさん、あの光景を見て何か感じ入ることとかありませんか? こう友情の大切さとか感じませんか、お嬢さん。あ、勉強に集中してらっしゃる……ダメだ。


「なぁヘリメルちゃん、こっちの問題ってどうやってやるんだっけ?」

「えっと……この辺りは、こうやって……あの、ルキサさん。さっきから全部私に聞いてませんか? 気のせいでしょうか?」

「きのせーきのせー。ほら教えてちょうだいヘリメルせんせー」

「せ、せんせ……! 分かりました! ヘリメル頑張ります!」


 なんか予想だにしないくらいに仲良くなっててお嬢様羨ましいよ……二人とも……取り巻きちゃん二人は普通に誰とも仲良くなれるコミュニケーション強者であった。


「教え方ではありません、ベスティアーゼさんの飲み込みがいいのですよ」

「え、えぇ? そうかしら……なんか、照れるわね。えへへ……」


 エーナさん。賢い。得意な科目を教えあう、って目的の筈なのに、なんか大抵の問題を上手いこと教えられるというか。なんでもこなせるっていうのは凄い。あとすっごいお淑やか。ヘリメルちゃんと並んで一番令嬢らしい。


「わぁ、うまいこと解けるなぁ、さすがヘリメルせんせ、賢い」

「え、えへへ……私もお勉強しっかりしてますから!」


 でもってもう一方、ルキサちゃん。なんていうか……中世版ギャル、という言葉がぴったりと合う感じ。賢さよりどっちかといえばコミュニケーション能力の方に振ってる子。だがその振り方がちょっと極端だったようで……お勉強は苦手なよう。


「うーん……みんな仲良くなってよろしいというか……」


 私もファラリスと和解して、お家同士の問題とかいう厄ネタを作らずに学生生活を穏やかに送りたい訳で……ダメですかねぇファラリスさん。


「何をよそ見しているの。さっさと進めますわよ」


 あっはい。こっちは相変わらずツンケンしておりますようで、この牙城を突き崩すには相当じっくりやっていかねばなりませんなぁ……


「全く……我々をあんな言葉で鼓舞した割には集中力に欠けますわねぇ」

「どんな人間でもいつまでも集中できる訳もございません」

「ふん、情けない……そうならないように、小刻みに集中を持たせる為に細工をしているのですわ、私は」


 えぇ!? そんなやり方あるの!? この子マジで色々有能な子だな本当に。


「まぁ、やり方は教えませんけれど……貴女が集中できてない間に、大きく溝を開けるつもりですので? ふふふふふふ」

「なっ……中々に酷いことを言いますのね」

「ただ協力する、などという緩いことをするつもりはありません。貴女が公平を望むのは結構ですが、私はそれを利用し尽くすのに一切の躊躇いを持ちません」


 う、うわぁ……この少女なんという容赦ゼロ! 公平を期す、って言った相手に利用するってよく言い切ったなぁほんと……上昇志向高杉だろ。まさに烈火のように……


「ムー……エーナさん、あの子またあんな事を……」

「あれは唯の照れ隠しみたいなものですから気にしなくて構いませんわ。お嬢様は仲良くする人にも仲良くしない人にも基本的に喧嘩腰ですから」

「エェェェェェナァアアアア!」


 ……一概にはそうとも言い切れないのかもしれない。


取り巻きちゃん二人は、メタリアの友達と似てるようで違う感じに仕上げました。

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