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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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これにて一応問題解決?(フラグ)

 ……結局無駄な時間を過ごしただけで終わってしまった。


「今度からは自分で決めた指針から逸れないように……肝に銘じよう」


 なんか新入社員がするみたいな目標立ててんな私。まぁ二度目の人生の新入社員だし是非もないわ。某魔王のやり直し。なろうでありそう。


「いやこの世界にないでしょなろう、いや、ワンチャン中世時代にそういう文化が生まれてる可能性が……いや別に今はいいでしょ中世なろうとか」


 まぁ、今度本だけは探してみようかしら。うん。そうしよう。なんだったら図書館にあるかもしれない、お宝みたいな感じで。探すのも楽しそうだなぁ。

 はい。この話おしまい。現実に戻って冷静に、しくじったのをカバーしましょう。


「……とりあえず謝るのを諦める訳にはいかないわね。さて、どうしましょうか」


 見つけて謝ろうと思うともう一度探さにゃならん訳だけど。いや、流石に今からもう一回聞き込みをするのは非効率が過ぎるので却下。となれば。


「やっぱり教室で待ち構えるのが、一番の上策かしらねぇ……」


 なんで最初からそうせんかったんって? いやーそれには深い事情が……


「……ないわね。ぶっちゃけ一人で行動したかっただけだし。失敗した以上潔く」




「……来ない」


 教室にてどっかりと待っているというにじぇんじぇん来ないでござる。授業もひと段落するまで待ってたというに、私に話しかけてくる男子は五人、うち三人はナンパ目的、そんなんしか来ない。待ち人とは縁がない日らしいねぇ。


「うーん、どんなに頑張ってもダメな日はダメなのねぇ」

「何が?」

「……ベスティ、部屋に戻ったんじゃなかったの?」

「メタリィが教室に残ってるのが気になったの。ヘリメルさんも一緒よ」


 おや本当だ。教室の扉近くからチラッと。なんか申し訳ないな、私自分の都合で普通に待ってるだけなのに、気にさせちゃった。


「私用だからベスティ達が気にする事ないわよ? お部屋に帰りなさいな」

「部屋に帰ってもどうせ暇よ。だったらヘリメルさんやメタリィと一緒にいた方がいいわ」

「——えぇ。私もそう思います!」


 な、なんとありがたないお言葉……! おい男子、見ろよこの輝かしい我が友を! この子達との約束を当然最優先するからすいませんねぇ。流行りに乗ったナンパじゃ、ね?


「そう言ってくれて嬉しいわね。じゃあ、せっかくだし一緒にいてくれる?」

「うん!」

「わかりました」


 あぁ……私が原作メタリアより恵まれていると、胸を張って言えるのは人間関係だとつくづく思う。カッコよく頼りになる従者、可愛い愛しい妹と弟、優しい友達二人。


「そういえばなんの用事なの?」

「この前の男の子にちゃんと謝らないと、と思って」

「この前の、って……あー彼奴! メタリィの事誘ってたあの子ね!」

「そういえば、結構厳しいお言葉をかけてましたね、メタリア様。その事でしょうか」


 原作の私の方が自由奔放で楽しい人生送ってるかもしれんが……しかしこうやって私と一緒に色々付き合ってくれる友人がいるだけで、トラブルだらけ、障害だらけな人生でも全然……すいません、実を言えばもうちょい自重して欲しいです。


「えぇ。失礼な事を言ってしまったし、その事について……あら?」

「確かに、ちょっとメタリィ怖いくらいだったもの、謝るのはいい事だと……あ!」


 おぉ、噂をすれば。良かった良かった。流石に最終下校時間まで待って結局何もかからなかった! 三振空振りスリーアウト! とかシャレにもならなかったし。


「あの、少しいいかしら?」

「おや、オースデルク嬢。何かな?」


 ……あれ? もうちょっとツンケンとした態度されるかと思ってたんだけど。案外恨みには思っていなかったんだろうか。それともかっこいいお兄さんと話せて気分がいいとかそういう……待て、そっち方向に舵を切るな! 修正修正。


「先日の事についてなのだけど、少しこちらも感情的になってしまって、申し訳ないと思っていたのよ。それで、謝罪を、と」


 ちゃんと頭を下げて、ごめんなさい。他の人がいなくて正直良かったかもしれん。ファラリス辺りが見てたらまたぞろ何か言われそうだし。


「……あぁ、その事だったら、もう別に構わないさ。気にしていないとも」


 おぉなんと寛大なお言葉! もうちょっと渋るとかして手こずるかと思ったけど、でもラッキー、トントン拍子に進むのあればそれに越した事はないね。


「そう言っていただけるとありがたいわ。ジェイル……で合ってるかしら?」

「おや、どうして僕の名前を」

「不躾を働いた相手に謝るのに、名前も知らないというのは流石に失礼でしょう?」


 まぁ知れたのは完全に偶然な訳ですけれど。ゲスでごめんなさい。


「そこまで気にしなくていいさ、僕もあの時は礼を欠いていたからね」

「そう言ってもらえると助かるわ……」


 あー良かったぁ……これで問題は一応、解決って事になるのかね?


「用件はそれだけかい? なら僕もそろそろ戻らせてもらうよ。用事があるからね」

「用事?」

「うん。とっても楽しいパーティの準備があるんだ」


 へぇ。ホームパーティならぬスクールパーティでもやるのかな? さすが貴族、学校でもパーティするとか規模が違うなぁ。


「良ければ君も招待しようか?」

「あ、それは大丈夫。あなたに不愉快な思いをさせた私が一緒にいたら楽しむものも楽しめないでしょう? だから」

「そうか……残念だなぁ」


 まぁ、今回はしょうがないというか。タイミングが悪かったとしか。またパーティやるときに誘ってもらえたら……そん時は一緒に楽しめたらいいなぁ。


「じゃ、僕はこれで。また何れ」

「はい。機会があれば」




「君が居た方が楽しめそうなんだけどなぁ……ククククク」


こういう時、穏便に終わる話ってあんまり聞かない気がします。

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